日は登った3
隠れ家に男が入ってきた。
「アマジャ、待たせた…おお、すいません神様、お騒がせ致し、申し訳御座いません」
「エギラ、外は?」
「こんな辺鄙な場所に、どうにも数が多い、しかも、アーマの兵隊も来てる」
あ、膝ついたの、親戚さんだ。どーも。
「ミゲヤが近い斥候も含め、処理はしてるが、
…それでもここも、あの数の獣人じゃあ、多分時間の問題だな…」
「客人は、アーマにとって相当な価値が有るらしいと言う事か…」
「客は勿論だが、我らの神には、例え指一本さえ、絶対に触れさはせんぞ…、我ら一族の誇りに掛けても…」
アマジャさんは強く拳を握りしめていた。
出来ればゆるりとお眠り頂きたいのですが、
神様、申し訳有りませんが、直ぐに移動頂きたい、お願い致します。
そう言われた。
「あ、了解です」
エッタ殿も、準備を。
子供は背負えるように、背負子を用意する。そちらの荷物はエギラ、お前が運んでやってくれ。
「…判った」
…では、用意が出来ましたら、出ましょう。
言われるまま、移動を開始した。
河原には岩や石が多く歩き難いのだが、
俺は田舎の子、平気ってか、寧ろ遊び慣れてる。近所の河原は遊び場だったからな、もう、ヒョイヒョイ進む、ちょっと楽しい…内緒だが。
だが、女性は…、
あっとエッタさんだな、自己紹介された。
だが、俺は名乗りを辞退、丁重にお断りされた…
会って数分で嫌われてんのか俺?と、
ちょっと、いや、大分凹んだが、
アマジャさんが、不敬だと言って、名乗る気満々の俺を止めた…からだった。…良いんですけどね、別に俺…。
ああ、成る程、そう言えば、こっちで一切名乗って無いな…
いや、待て、今死んでも俺、氏名不詳の身元不明遺体では?
警察のモルグに、身元不明って、書かれちゃう…
あ、警察、無い無い、ここ。
…でもまあ、どっかのタイミングで名乗っといた方が、良いんじゃ無い?…
割と強く、そう思った。
で、エッタさん。
慣れてない上、足元が覚束無い、
ずっと危なっかしいし、あんまり進めないし…
俺は提案した。
「アマジャさん、荷物交換しましょう」
俺が、エッタさんの荷物と子供を運ぶんで、
誰か俺の荷物、運んで貰えますか?
アマジャさんは即答する。
「いけません、これ以上ご負担をお掛け出来ません」
「いやいや、ここは、合理的に行きましょう」
そもそも、女性が持って移動していた子供と荷物、
野球で無駄に鍛えたこの俺に、それが持てん道理は無い。
多分、両方足しても俺のカバンのが、重いと思うし。
結果、無茶苦茶謝罪されたが、俺のカバンは親戚さんが引き受けてくれた。エッタさんもフリーになったし、俺もさっき迄よりちょっと、軽くなった。
予めポケットに忍ばせたおいた実弾…飴ちゃんの効果か絶大…で、
抱えた幼女も泣か無かった、いや寧ろ笑っている…
かわちい…
俺には、
スーパー癒しパワーが急速チャージされた。
ふ、最早、無敵。
今なら、百万の敵でさえも…
…嘘です。勘弁して下さい。




