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アザーエルの仕事4

 半ば無理矢理に、

 管理を押し付けられた粗末なボロ小屋、

 それ以来、これが私の寝床となった。


 それ迄は、山中での野宿や、木の上で一夜を明かすなんて、

 それこそ毎日、普通にしていたのに、


 こんなボロ小屋が、

 思いの他、快適な住まいとなった。

 住めば都と言うやつだろうな…


 更には、仕事も用もなければ、或いは、悪天候ならば、なんと小屋でゴロゴロ出来ると来た。


 生活が一変した。

 著しく向上した気がする。


 …それがまあ、悲しくもあるな…


 店が空いてない日でも、稀に香辛料を求め、商人が訪れたりもした。


 嘘だろ…少し話しただけだったが、一歩も歩かずとも、思わぬ情報が拾えた。


 いよいよ今迄の私の暮らしとは?、

 …疑念が頭を過ぎるが…


 辛くなるから、考えない様にした。

 



 ある雨の日、一人の女が店に来た。


 近くの別の村で、私の居場所、つまりここを聞き出し、やって来たそうだ。




 「お願いです、情報を買って下さい」


 「えーっと、ですね、ここ、雑貨と香辛料の店なんですよ…

 しかも今日は店、開けても無いしねえ…」っと、


 一応すっとぼけた。

 …建前だが本当だ。



 俯いていた女はゆっくりと顔を上げた。


 ここいらじゃ珍しい、異国人だった…

 

 女は静かに、懐に忍ばせた、布に巻かれた何か、を取り出した…


 私は目を見開き、驚いた…

 

 まさかの【印剣】だった。


 驚いた…


 女は決して印剣を持てない。

 もし、それを持っていたらば、殺した仲間から奪った…敵だ。


 我々は、組織の全ての【剣】の力を集め、

 仲間を殺めた敵を、洗い浚い全力で根こそぎ抹殺、排除する。


 何があろうとそれは我らの血の掟、絶対だ…



 私は背中に回した手に、密かに暗器を握った。


 「それで…一体それを、何処で?」

 その印剣には、確か見覚えがあった気がした…



 「…ここでは話せません、どうか何処か誰にも聞かれない場所で…」

 女は言った。


 仮にもだ、ある程度、私も修羅場は潜って来た方だ。そんな仕事だ。


 相手を見れば、どの程度闘えるのか…

 多少なりともは、判るつもり…だったが…


 この女、目つきも、殺気も、武人の気配も、


 どれも微塵も感じ無い…

  

 身体つきも、至って普通…

 手に持つ印剣以外、剣や武器も持っていなそうに見える、


 …いや毒や、暗器の場合もある…


 もし…そう、


 その様に弱そうに見える様、


 私にそう見せているのなら…

 それは恐ろしい使い手に違いない。


 そんな奴を地下室に案内して良いのかどうか…


 沈黙の中、女は言った。

 「あなたの名前…を朝に聞く…の、ならば、

 昼の食事と、お茶の用意がいる…そう…ですね、

 そうミゲヤ様が教えてくれました、そう言えば判ると…」


 …またしても驚いた。


 それは、決して他人には話さない、

 我々身内のみで笑い合う、いつもの冗談だ。


 一瞬で…全身の血が沸騰した気がした。


「ミゲヤを……拷問し、殺したのか?」


 

 …俺は暗器と別に、

 隠すこと無く、胸に有った自分の印剣も、強く握りしめた…

 

 怒りが込み上げる、やつは私の数少ない友人、


 何なら大酒呑みの大親友だ。

 つい先月、そう、この間だ、

 また呑む約束をして、そして別れた…


「も、申し訳在りません、その、あの方は私達を庇って、追手の獣人の一団に…」


 !?「…わたし…達?」

 「はい、連れが、連れがおります」


 …庇った?女を?



 話が変わってきたな。あいつは女に甘いからな…



 クソ、取り敢えず、話だけでも聞いてみるか…

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