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暗闇2

 大きな大きなクモと…

 ガッツリ目が合ってます。数メートル先に居ます。嫌な汗がびっしょりで、あと怖くてピクリとも動けません。


 そんな、超ビビってる俺です。


 クモの方も動かず、そのまま数十秒不思議なお見合い時間が経過した。


 一向に襲われないどころか、何なら助けてくれたのかも?

 と、ふと頭を過ぎる。


 しかし怖い。


 だって、こんなデカいの見たことも聞いたことも無いやん?

 おっどろおどろしいって言葉がピッタリやん、怖いやん。


 そして、段々と視界が正常になり、やがてここが屋外、ってか山の中の少し開けた場所であり、

 何故か、多くの死体が転がってる様だと、認識出来た。


 こっ、このクモが全部ヤッちゃったのか?と、

 更に恐怖が募る。


 とにかく今、全くもって意味不明な上に、

 多分今、俺は絶賛大ピンチの真っ只中だ…


 しかし、あまりの圧倒的情報量の多さに、思考も何も、まるで追いつかない。

 

 で、何故だか俺は、ふとクモに声を掛けていた。


 「なあ…実は、助けてくれたんだ…よな?」


 クモは小刻みに震えてはいるが動かない。当然、返事も無い。あ、いや、返事されても怖いんだが。


 クモの目を見ていると、ただ何となく、何となくだけど、俺を食うわけでも、殺したい訳でもなさそうな、そんな気がした。


 まあ勘違いの可能性しか無いとは思うが、

 何故か、妹の心配そうに俺を見つめる、あの目を思い出していた。


 クモの目って、…妹よりいっぱい有るけど。


 妙な沈黙が続いた次の瞬間、なんとクモの身体がバラバラと崩れ始めた。

 俺はビックリしつつも慌てて、クモに近づき崩れる身体を手で必死に押さえようとしていた。


 「おいおい、大丈夫か?何だよ、どーしたよっつ、死んだの?死ぬんじゃないよ、頑張れよっ」


 一体何故そんな事を言うのか、しているのか、俺にも分からないが、

 多分、感情だけで突き動いていた。しかし崩壊は止まらない。


 数分でクモは黒っぽい砂のような残骸になり、その中に赤い宝石のような石を見つけた。


 拳に握れる大きさで冷たい。何となく拾って上着のポケットにそっとしまった。遺品ってか形見みたいなもんだから、どこか景色の良い場所に埋めてやろうと何故か思ったんだよな。


 暫く感傷に耽っていたが、まあしかしだ…どこやねんココ?


 イヤイヤ、まずは落ち着け、俺。慌てる乞食は貰いが少ない、否!そいつは所詮二流の乞食だ! 


 そう…昔、

 少年野球の鬼監督が良く言っていた。

 どんな事でも、どんな時でも周りを冷静に観察し、次の行動に繋げるのが一流だ。

 ぼーっとすんな。二流になんざに留まるな、常に他人より一歩先に動ける一流を目指せ。

 お前達なら出来るんだ、野球も人生も、生き残るのは何時だって一流の思考を持つ者だ。


 頭の中にこだまする鬼監督の言葉。それを噛み締めつつ周りを見渡す。


 え〜っと、どうやら戦場らしい。多くの死体は血みどろで、武器を持ち、大きな傷がアチコチ有る。

 が…よく見ると何かおかしい。


 普通の人間にしてはやたら大きい2メートル超えてるのとか、150センチ以下の小さいのやらがゴロゴロいる。極端だよな。


 いや寧ろ、普通の?ってか、平均身長位のが居ない?


 更に驚いたのが猿みたいな見た目の人型やら、鎧のような物を纏った猪やら狼みたいな死体だ。


 アカン…益々理解が追いつかん。ブンブンと頭を振る。


 あっ、夢か!そっかそっか、夢オチだな。何だよ、脅かすなよ…って、んな訳ないよな…。


 物が焼ける匂いに混じって、何より、ここで匂うのが濃い血の匂いと死臭だ。だって夢に匂いなんて無いよな。


 しっかし判らん。何だよ、これ。


 これからどうすんだよ。考えろ俺。

 スマホを取り出したは良いが、圏外。ですよね〜。そっとポケットに戻した。



 まずは落ち着ける場所、最悪寝れる場所の確保だな。次に死体から使えそうな物や食料と水の確保。兎に角、あんまここに居るのは良くない気がする。


 火事場泥棒みたいで多少気が引けるが、背に腹案件です。

 構わず俺は周りの死体を漁った。

 おっと、一応手を合わしとこ。

 「南無阿弥陀仏」「南無大師遍照金剛」

「南妙法蓮華経」「アーメン」取り敢えず思いついた念仏を唱えておいた。


 死体では無く遺体(仕事モードん入ったらそう呼ぶ)は、死後硬直の有るものと無い物が混在していた。

 俺の知る常識なら個人差は有れど、通常24時間位で硬直が解ける。


 …まあ、これが普通の人間…だったら…だが。つまり戦闘があってから一日経ったのかな、ここいら辺、多分。


 更に目を凝らし声を出して生存者を探してはみたが、見た限り皆、御臨終だった。

 ただ余りにも広範囲だったので途中で諦めた。

 見つかった食料は主に板状の干し肉ぽいのと、丸めた黒っぽい何か。あと焼いた板状の魚…いや鰹節みたいな硬いの。


 食えるかどうかも判らんけども、

 多分、無いよりマシだろうと自分に言い聞かせた。

 序に落ちていた使えそうな袋に、それらを片っ端から詰め込んだ。


 少し歩き林の中に入った場所に、壊された荷車を見つけた。


 それに腰掛けて、少し一息ついた。


 そして改めて考えてみた。

 一体何でこうなった?何が起きたんだ。事件ですか?事故ですか?


 

 …ってか、俺…誰なん?


 ここは誰?私はドコモ?いや…そんなん言ってる場合じゃない筈なのに、

 不安からか、何か一人で喋らずにはいられなかった。


 暗闇を抜けたら、そこは人生、真っ暗闇でした

 って、

 …流石に笑えねえよ。


 あ〜あ、しかし喉乾いたなあ。何か旨いモン食いたいな…。


 ちょっと黄昏た。

 


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