冬が来る前に 1
俺達はヨミの案内で、俺達が越冬する為の候補地、つまり無人島を巡る運び、内見ツアーとあいなりました。
そして…
お知らせ
関係者各位へ
当施設をご贔屓賜り、誠にありがとう御座います。本格的な冬の到来に伴い、まもなく施設は全面的に冬季休業となります。
詳細は追ってお伝え致します(知らんけど)
勿論、当幽霊船にご興味の有るお客様におかれましては、現在も絶賛サービス中で有ります。尚、当施設の営業時間に関しましては、24時間対応出来はするのですが…そもそもクソ面倒な上に、夜間は寒くなって来たし、
夜更かしは、ちびっ子達の健康に大きな問題が生じる恐れが有りますので、
又、エッた…コホン、一部…女性従業員のお肌に、深刻且つ重大なトラブルを招く危険が有り、
誠に勝手ながら、当施設は当面、ラストオーダー十九時、最終二十時迄の営業とさせて頂きます。
尚、時間外に必要以上に当施設に接近した場合、問答無用で直ちに撃沈する事を、どうぞご了承下さい。…的な?
…みたいな?
一応、お休みの告知?お知らせの張り紙でも、幽霊船にはしといた方がええんかな?知らんけど…
そんな、アホな事を考えて居た矢先、最初の候補地…いや、候補島に到着した様だ。
錨を降ろし、ミューのカモフラージュ魔法?ステルス魔法を幽霊船に掛けた上で、
幽霊船に搭載された小型艇で、
ヨミ、アマジャさん、シレンさん、そして俺とジョンが島に移動し、上陸する事となった。そのカッターを、俺が上空で放出したジョンが、ミューの糸で牽引する。
まあ…俺は一緒に小舟には乗らず一足先に上陸した。
皆の手前、先に安全の確保が必要だとか、テキトーな事を言ってはみたが…
当然、ただ一番乗りしたかっただけである。
一番乗りこそ、男のロマンなのだよ。そうだろう?知らんけど…
島の大きさは、多分…野球のグランドが三つか四つ入る程度…島の周りは全て岩場ばかりで、一周して確認したが、砂浜は無かった。
多くの木々が生い茂っており、生活の拠点を作れそうな平野部は、一見したところ無さげだ。
海から突き出した尖った岩山って、そんな感じかな。
俺の希望の新居の条件としては…
そう、先ずは可能ならなるべく駅近で、複数のコンビニが有れば尚最高。
そして、風呂とトイレは別。これだけは絶対に譲れない、負けられない闘いが有るのだ…っと、
俺の元いた世界なら、不動産屋にはそう言うのだが…
現状の…今置かれている状況の希望だと、随分と話は変わってくる。まあ…当然だよな。
周りの岩場、特に高い崖なら、海からの侵入が困難になるので悪くは無いが…この船を近くに係留するのは困難だよな、しかも、乗り降りも不便だし。
ん?そうか…最悪の場合、俺が岩場を削ってしまえば良いのか?
そうすりゃあ、ひとまず駐車場問題はクリアだよな。
この多くの木々も、海からの風を防ぐ防風林になるんなら、実は結構有り難いのか?燃やす薪にもなるしな。
あと考えなきゃならんのが、大半が子供達と言っても、
ぶっちゃけ四十人近くが一緒に生活するのだから、そこにはある程度の広さは絶対に必要だよな。つまりここだと手狭って感じかな?
まあ…この俺、ド素人の意見ですけどね?
一応、皆の到着を待って、意見を聞こう。
待ってる間に、近づいて来るカッターが接近出来る取っ掛かりを、一番上陸しやすそうな岩場を削って作ったった。
あんまり露骨な船着き場にすると、妙に目立つので、海中の見えないトコをコソーリ削って見た。我ながらいい感じだ。
そしてカッターが接岸?…いや接岩した。
ロープで固定して、皆が順に上陸していく。上部の森林ゾーンまでは結構なクライミングが必要だったので、
急遽、俺は細めで、なるべく一直線に、【深淵】でショートカットの道を造った。地面をU字型に抉って回収しといて…
帰る時には、それを元に戻すつもり。
そんな中、急な岩場の崖をものともせず、ジョンが一気に駆け上がっていく。
おいおい…時々妙にかっこいいんだよな、あいつってさ…。
…
審査員の皆さんの意見は、残念ながら当物件は不合格だった。
皆も、俺達が大人数ってトコが最大の問題点だと認識していて、
せめてこれの倍の大きさは欲しいなと。
今回、無駄足だったが、それでも得た物も多く有った。
まあ…今後の基準が出来たのが大きい。
さしあたって…元の有った状態に道を塞ぎつつ、第一次調査隊は幽霊船に戻った。
ちな…調査隊に親戚さんが同行しなかったのは、ヨミとシレンさんの留守中に、万が一お客様が来店した時に備えてだったのだ。
客は来なかったが、待っている間にも、親戚さんは入念に動きのシュミレーションをしていたようだ。
…なんかさ、ただのおふざけだったのにって…それをもう二度と、決して言えない様な謎の空気が日々、
この船上にしっかりと出来上がって行くのが実は…
俺はちょっと怖かったりする…
何故、みんなここ迄真剣なんだよ?これはただのお遊びなんだが?
うーん、元々こんな筈では無かったんだけどなあ…
もっとこう…かる~い感じの?
ほんの冗談のつもりだったのになあ…この状況は完全に予想外だよ。
うむ…
今後は…もう思いつきだけで突っ走るのは…よくよく考えるまでは、一旦辞めとこうかな…
いや、絶対やめとこ…基本、ろくな事無いからな…
知らんけど…




