呪われし恐怖の海賊船 2
此度の…海賊の襲撃を受けて以降、俺達は今後の更なる襲撃を見据えて、
より、幽霊船らしさ?を追求すべく、皆が熱い意見をそれぞれ出し合った。
俺達の目指す理想の幽霊船…コンセプトはズバリ、戦わずに勝つ!しかも圧勝!それだけ。
その為には、よりお越しになったお客様の恐怖を、トコトンまで煽り倒す、
そんな素敵な演出が、もっともっと必要なのだと。
実際問題、お化け屋敷ってやつを、かつて散々経験済みな異世界出身の俺と違って、
当然、こっちの世界では、誰もがそれは未体験ゾーンなのだった。
それはつまり…早いもん勝ち、今が旬っ、てやつ?
一応、死後の世界や、幽霊の様な概念も、ぼんやりとはあるらしい。
なのでただ、勝手にバケツが転がっただけでも?ここの連中にすれば、それは相当怖いらしい。
つまり…今がチャンスと言う他、無いんだよな。なんでも、最初にやったヤツが正義なんだよ!知らんけど…
ただ唯一の懸念は、ゼリー状の海賊を皆纏めて、すっかり成仏させてしまった事で…
まあ…それについては当然の事なのだが、
アレほど視覚的に、恐ろしく高い攻撃力を持ったオブジェクトなど、他にはそうそう無いって事だな。
だが…無いものをねだっていても話は先には進まない。
幌を張らないで動いてるのも、船乗りが見れば結構怖い、との事で、
基本的には、海流に乗れない時は、俺が【深淵】で船の後ろを、ちょいちょいっと、適当に押すって事にした。
そして敢えて、先の襲撃に付けられた鈎爪も残している。寧ろ、お客様はここから上がって来てねって、アピールポイントにしたった。
這い上がった先には、ゼリー状の何かと、謎の粘着床が待ち構える。
これも意外と嫌だと思う。
そこには更に、見えない糸で倒れるバケツや、
床下の船室内で引っ張る紐でガチャガチャと大きな音を立てる、デッキの上の小物類とか…
ヨミ達小芝居担当が、上手く隠れたり、緊急時に素早く避難出来るように、忍者屋敷の隠し扉を参考にした、
床の…と有る一部分を押すとパカッと開き、素早く人が隠れられる仕掛けも、
俺がイサクに発注し、直ぐ様製作し、そして直ちに船に実装された。
急に人が現れたり消えたりってさ…うん、安全面も含め、良いよね?
なので、俺は何度か、シャダのトコに、木材やら釘やらの材料の調達を頼みに行ったり、
それを回収したりした。
そう…あと一応?幾つか別のお願いも追加しといた。
当然、金貨の詰まった袋何個かをシャダに握らせといた。
金なんざ、腐る程有るからな?
ニヤリと笑って、たった一言…
「勿論、判ってるよな君?くれぐれも、宜しく頼むぞ?」って、優しく伝えたった。
シャダは、とっても良いお返事を返してくれた。何故かガタガタ震えていたが?…変なの。
そして、甲板には敢えて残ってるゼリー状を残りを、そのまま利用する事にした。
キモいんで絶対触りたくないとか…決してそんな理由では無い、決して…。
あと、【深淵】の中に有ったキモヘビの胴体と尻尾、これもどっかに置こうかとぼんやりと思ったてはいたが、
それはヨミに慌てて止められた。どうやら、とんでもない猛毒が付与される呪いが、ヘビの全身から吹き出してるらしい…うあ、危ねえな…うっかり出したら大惨事って…思い切って処分して良かったわ~
あとは…まあ正統派?王道?
急に大声だしたり、濡れ雑巾の水滴を上からポタポタ…とか?
急に足首を掴んだりとか…それは流石に俺の担当だな。
あと…九郎が謎の悲鳴やら、不気味な音を鳴らしてくれるっていうギミックに、
追い打ちで更に、俺のブルートゥーススピーカーで、謎の音楽も流す事にした。
例えば…オジーオズボーンの、ミスタークローリーとか、ブラッドバスインパラダイスとかのイントロ部分?
黒魔術?的な奴…知らんけど…
いかにもって感じの、恐怖を煽り倒す感じのイントロがさあ、もう堪らんよね?
他にも、かけたい曲はまだまだ沢山有るよな。
ヨミの小芝居隊に、一糸乱れぬ揃ったダンスってのも、まあ…有りっちゃあ有りかも?
絶対的な恐怖の中、生まれて初めて聞くのが、濃いーいヘビーメタルの、ランディ ローズの、ザック ワイルドの、その強烈なギターリフとか…
怖いわ…もう絶対に怖いわ。
そもそも絶対に訳判らんやろうしな、こっちじゃイミフ過ぎて、寧ろ相当怖すぎちゃんって感じ?…
知らんけど…
…いや、そもそも?
見えない俺に、後ろから急に声を掛けられたら…それだけでも相当怖いよな?シンプルな方が怖いってか、初見だったら絶対、おしっこちびるよな?
ならそうだな…エッタさんにも、大きな声で絶叫してもらおうかな。
そもそも、女声の方が良く通るし、ご来場のお客様に与える心理的プレッシャーも、結構大きそうだしな。クックック…
いやあ、なんだろう?メッチャ楽しいんですけど?
あんまりビビんない奴にはさあ、見えない俺が、頭上から獲ってきた獲物の生き血を…
ポタリ…ポタリと、落としてさしあげようかな?
うわうわ怖いわ~、絶対怖いやつやん?いやああああ…怖っ、ヤバいわ~
ホラーのお約束のやつやん?これはマジで怖いわ~
あと、昼は勿論だが、夜にお越しになったお客様の為に、幾つか専用の恐怖もご用意しないとなとな。
急に一斉に火がついたり消えたりするろうそくとか…
辺りが曇りで、月明かりさえ無い真っ暗だと…
ミューも、ジョンも、九郎も、
みんな完全に景色に溶け込んじゃうんだよね…
そう言う特性なんかな?
いや…怖いわ~、急に目の前に魔獣とか、ガチで怖いわ~…普通、死ぬしな?
もう完全に、心折れちゃうよな。
凄えな…完全にやりたい放題なんですけど?ワクワクが止まらねえ…
えーっと…
ダメだ、俺も皆も、超ノリノリなんだが?
くっそ楽し過ぎるんだが?
最初のお客様には、相当サービスしちゃいそうだわ、マジで。
サービスって大事だよね。初回ログインボーナスてんこ盛りって…フッフッフッフ…最高かよ?
あーあ、早くお客様来ないかな〜。
ん?ちょっと待て…
違う違う…おい、良いか?俺の事は総監督って呼べ!
知らんけど…




