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ちびっ子大作戦 1

 俺達が保護した、少年二十の少女十一、合わせて三十一名。


 今後の処遇について俺達は緊急会議を始めた。


 子供達の年齢は…


 下は八歳位から、一番大きい子でも、十二〜三歳程度、


 長い子で凡そ三年位の間、奴らにこき使われていたらしい。全く酷い話である…


 現状、栄養不足からくる成長の遅れや肌色が優れないって感じでは在るものの、大きなケガや病気は無い様だ。食事を採る度に、どんどん表情も明るく、元気になっていってる気がする。


 当然だが、俺としてはそれぞれの家族の元へときちんと送り返してやりたいのだが…

 そもそも戦争で国を追われ、更に海路で他国へ移る途中に、ここのバ海賊らに襲われて、


 両親…唯一の家族もクソ海賊どもに殺されたそうだ…


 そう言う意味では、アイツら海賊の末路は、あれが至って当然だと、そう思ってしまうな。


 さてさて…

 この子供達をどうしますかね、御老公様?


 「は?…ああ、私めで御座いますか、神様…そ、そうですな、このまま連れ回すのは流石に大層危険ですし、

 かと言って、何処かにこの子らを保護出来うる場所が有るかとなると…この戦の最中で、果たしてその様な場所が本当に有るのかどうかも…」


 アマジャさんも親戚さんも、シレンさんも…やはり直ぐには答えが出ないようだった。



 そうだ、困った時の知恵袋、悪の参謀ヨミ君、君の意見を…って、

 あれ?…あいつ何処行ったんだ?


 キョロキョロして見渡すと、船の先端の方で、でヨミが子供達となにやら話し込んでいた。そこに直ぐ様移動して声を掛ける。


 「おい、テメまた変な話吹き込んでんじゃ無えだろうな?」


 おいおい、またって?止してくれよ、君じゃ有るまいし、我はそんな事はせぬよ…


 「あ?…君じゃ有るまいしって…何よ?いやっ…ぐぬぬ、ちっ、まあ…それは、まあ一旦良いや、ところで何を話してたんだ?」

 

 うむ、どうやらこの童らが、この海賊船を操れるそうだ…

 どうも海賊らが、無理矢理この童らに、これの操船させてたっぽいのだが…つまり、そうだね…


 「つまり?」


 つまり…我々がこのまま船で移動するなら、この童らは、この先も我々にとって必要だと、そう言うことになるね。


 先程までの、君達の話は我も聞いてたけどさあ、実際に君も見たでしょ?通ってきた街の酷い有様を…そこに、この童らを放り出すのかい?


 この先に有る街も、恐らくそうは変わらんだろうよ。

 そうつまり、我はこのまま皆一緒に…って、のがまあ、唯一の答えって気がするんだけどね…


 君はどうだい、深淵の主よ?

 何か、もっと他に良い考えが有るのかい?


 「うー………ん、無い…ですね…」



 …


 ……



 確かに、ヨミの言う通りでは有るんだけど…


 でもさ、折角自由の身になった子供達を、また働かせるってさ、


 それって結局、俺達も海賊とやってる事が変わらん気がしてさ、

 どうにも俺はスッキリしないの、なんかモヤモヤするのだよ…



 でもなあ…当然、危険な場所に置き去りにも出来ず、そもそも保護施設なんて、そんなこっちに都合の良いモンもマジで期待薄でさあ…



 ん?なら、当の本人達にも、一回聞いてみよう。


 俺の問いかけには、少年少女の中の最年長で、皆のリーダー的存在、頼れるお姉ちゃんの、サラちゃんが答えてくれた。


 私達は、何処にも行く当てが有りません。

 頼れる肉親も、恐らく殆どが戦争か盗賊のせいで居ません。私の両親も殺されました…


 ですので、どうかお願いですから、どうかこのまま、あなた様達の為に働かせて下さ…「はいはい、ちょっと待った」さ…い?


 良いかい君達?


 俺はね、俺達はあの…極悪非道なクソ海賊では無いんだよ。


 寧ろ、とっても優しい素敵なお兄さんなのだよ?そんなお兄さんが、今後君達を、無理矢理働かせるなんて事はね、絶対にしませんからね?そういうのはね、俺、一番嫌いなの。


 うーん…ダメだ、この子達は海賊から我が身を、そして仲間を守る為に、異常に従順過ぎる…完全に心を折られてるんだろうな…


 違う違う、これは違う、ダメだ。


 子供って、本来もっとイミフで自由なのよ…



 うぬぬぬぬぬぬ…


 ぐぎぎぎぎぎぎぎ…


 どうにも苛つくが、いい考えは一切浮かばない。苛ついているせいか?はたまたアホだからか?

 うーん、八方ふさがり?



 そして、暫しの沈黙の後、ヨミが俺の肩に手を置き言った。


 「良いかね…どうにも君は考え過ぎだよ。別に全ての作業を、全て童らにさせる訳じゃ無いのだ。まず我等は童らから、操船の教えを請いつつ、我等大人達の足らぬ所を、此処な童らに手伝って貰おう…と、我はそう言っておるのだが?」


 「お?…なる…おう…」


 妙なモヤモヤと闘い、変にウジウジしてる俺を見かねて、まさか?

 あのヨミが、俺に気を利かせて来やがった…


 こ、これが…神の御慈悲…ってやつなのか?


 まさか…こんな俺に?


 遂に神が、気の利いた優しい言葉をお与え下さる日が来ようとは…

 知らんけど…


 

 だが…そう、確かに考え過ぎだよな、

 これも考え方の問題でも有るよなと…


 彼らの身の安全と食事の提供をする代わりに、俺達、ダメな大人達のお手伝いをして貰うって…そういう事だよな。


 そうだ…実際問題、俺達も子供達も、今はお互いの協力が大事なんだ。



 クソ、マジかよ、あのヨミに変な借りを作った気分だぜ?


 ふー、仕方が無い…

 次に食うイカの切り身のサイズを、特別にちょっとだけ大きくしてやろう…俺は密かにそう思った。


 で、俺はアマジャさんらの元へ戻った。

 


 ねえ師匠…?


 「へ?ししょ?わ、私めで御座いましょうか?」


 うん、俺達が向かっているカーナンではさ、あの子らを、まとめて何とか出来ますか?


 「え…はい、私共の施設が無事であったなら、特に問題は御座いません…」


 なる程…なる程。


 では…あの子らを一緒に連れて行こうと思います。

 何故なら、危険なここいらには放置出来ませんし、

 何より、彼らはこの船の操船方法を知っております。


 故に、俺達は彼らから操船の教えを請いつつ、お手伝いをしてもらって…


 当然ですが、彼らのお手伝いの見返りとしても、彼らの身の安全と、食事の提供の一切を約束します。そうしたいんですけど…


 どうですか、師匠?


 「どうかお辞め下さいませ、我等の神よ、ただ一言…我等にやれと、そうお命じ下さいませ」


 …判った。ではみんな頼む。

 俺を助けてほしい。力を貸してくれ…ください。



 「「「御意!」」」



 そして子供達。今迄は無理矢理仕事を押し付けられて、それは辛い思いもしたんだろうが、


 これからは、強制的に仕事を押し付けたりはしない。

 だが、俺達は船を動かせ無いんだよ。

 だからさ、みんなに船の動かし方を、俺達に教えて欲しいんだよね?


 ちゃんと毎日、ご飯だって用意するからさ。


 だからさあ、


 お兄さん達のお願い、聞いてくれるかな?



 …?

 え?どした?


 ちょっ、ちょっ、違う違う、これは命令じゃ無いよ?

 俺達は絶対に、君らに命令なんかしないよ?



 これはあくまでも、お願い…お願いだからね?


 どうですかサラちゃん、俺のお願い聞いて貰えるかな?


 「…うん、判ったわ…良いよ」


 そうかそうか、ありがとう。じゃあ、このまま一緒に、カーナンってトコまで行くからね。


 当然、君達の居場所も、俺が責任もって用意するからさ。


 どうか大船に乗ったつもりで…


 大船?


 あれ?もう既に、俺達乗ってたね…大船に…




 おっと…

 こりゃ、お後がよろしいようで。

 知らんけど…


 

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