Out of Blue 5
人生ってさあ、つい…調子に乗っちゃって、
後でえらい目に合うってさ、まあ…結構
あるあるだと、思うんだけどさ…
よく判らない相手を、つい、調子に乗って軽く…いたぶってしまった挙句に?
さて、この後一体どうしようかと、深く思案する俺…
ほら、たまに有るよねーそーゆー事ってさ…
え?無いですか、そうですか…
人はそれを、自業自得と、そう言うらしいよね?…うん、知ってる、
いや…これは流石に不味いなって…
よし、こうなったら適当に…
なんかもう、妙に謎っぽい感じでお茶を濁し…
勢いだけでこの場をバックれよう。
もう、さっさと消えよう、そうしよう。
「ハーッハッハ…海神王セーオリッツよ、お前の力は見せて貰ったぞ…
では…いずれまた会おうぞ…さらばだっ…あーッハッハッハッハ…」
俺は逃げた…
俺はこの空気に耐えられず、【深淵】に逃げたったのだった。
きっとセーオリッツは今頃、ポッカーーーン…って、なんじゃ…アレ?
って…無駄に痛いだろうし、多分…そんな感じなんだろうな、知らんけど…
卑怯と言うなら、言うがいい…
その誹りは甘んじて受けよう…いや当然だよな、マジで反省しよう…
で、直ぐ様…
俺は皆のとこに帰って、
実は、カクカクシカジカで…
海賊の島に、囚われの子供が居るので、その子供らを何とか助けたいのですよと、皆に切々と訴えた。
勿論、セーオリッツと揉めたなんて話は、今は…
いや、今後も多分しないね、アマジャさん怖いからな。
皆は飯も食わず、俺の帰還を待っててくれたようだったが…
分かりました、ならばすぐに行きましょう、って、そう言ってくれた。
丁度焼き立てのイカは、一旦【深淵】に収納して、
急遽、皆で海賊のアジトに向かう事になった。
ミューを置いてきたので、子供の心配はむしろ全然無いのだが…
ミューご本人そのものがかなり気になる…
いや…正確には、あの常に頼りになるミューが、俺の横に居てくれないってのが、
俺自身が正直、不安で不安でしょうがないのだった。
皆が乗り込んだ船を…どうにもソワソワが止まらない俺が、
居ても立っても居られない俺が、
【深淵】の壁を使って、船そのものを後ろから、思いっきり押してみた。
一応…方向は判っているが、ヨミには舵を任せて…
押す力が余りに強いと…
恐らく多分?一瞬で音速を超えてしまうし、
そうなりゃ、こんなポンコツ船は、あっと言う間にバラバラだ…
なので…、
大胆かつ慎重に、深淵の壁を船に押し当てて、
更に、深淵の輪舞曲も同時に発動させて、
目の前の障害物…岩だの、魔獣だのとか、
あと、高い波そのものも、ガッツリ削り取って、常に平らな海面を作って…
アレ…これってパワーボートかよ?って勢いの超高速で、
俺達は海上を移動したった。
これは何となく、ただの思いつきでやってみたのだが、使える。
ぶっちゃけ上手くいって良かった…マジで。
結果、普通なら半日以上は掛かるであろう距離を、
僅か数十分で移動できたのだ。
残念ながら?
師匠とエッタさんは、速攻で気を失っていた。
イサクは辛うじて意識は有ったが…ありゃダメだな。
まあ…普通の人は、普通そうなるんだろうな…
屈強な筈のアマジャさん達も、
到着直後は手足がプルプルしていたが…
港にいた三下の子分らを、あっと言う間に片付けてくれた。
…親戚さんが、投げ物を一回外したのは、
皆、見なかった事にした。
ヨミを筆頭にジョンとカラスさん、そして用心棒のアーデが居残りで、気を失った三人と、
スヤスヤ寝ているマーオちゃんを見ててもらう事にした。
決して酔っ払った訳では無いのだが、どうやらアマジャさん達は、超高速移動で、三半規管が若干?やられていた様で…
まあまあな…いやかなりの千鳥足だったが、
何とか無事に、俺達は海賊のアジトにたどり着いた。
一応…状況は話してあったものの、
ここにいる海賊の連中の大半が、一箇所に閉じ込められているってのが…
戦闘のプロ達は中々上手くは、素直には飲み込め無いようで…
伏兵を警戒して、三人は建物内のあっちこっちを、何度も執拗に調べていた。
その間に、俺はちびっ子らの元へ急ぐ…
いや、愛しのミューさんの元へと急いで走った。
おお、子供達よ、この俺が、頼りになる援軍を連れて帰って来たぞ、っと。じゃあ、行こうか。
…ミューが視界に入った途端の、その安心感がエグい。
俺がシバいた三下共はミューの糸で既にグルグル巻きだった。コイツらはもう、このまま放置でいいよな…
で、哀しい目をした、簀巻きのチンピラは華麗にスルーして、
俺達はちびっ子らを引き連れて、アマジャさん達と合流した。
そう言えば…
谷底の、あのデカい船、この際アレを分捕って…いや、頂いてしまおうぜ、っと、
アマジャさん達をそこに案内した。
潮が引かないと、正面の穴からは出られそうも有りませんね…っと、親戚さんが言うので、
俺は直ぐ様、洞窟部分の天井を、【深淵】でサクッと丸ごと、U字型に削り取ったった。
どうです、これでもう大丈夫ですよね?
大きな船はそもそも、誰も操縦方法もなんも一切判らんので、
当然だが、俺が【深淵】で無理矢理押して、何とか動かしたった。
皆の待つ、強引なメリー号の近くまでゆっくりと移動し、
皆はその大きい船に、ミューの糸で引き上げて、順々に乗り込んだ。
子供達を大きい船に引き上げている、まさにその最中…
突如、横で大きな音を立て…
まさか…
俺達の、強引なメリー号が、バラバラになって、ゆっくりと海に沈み始めた。
うえええええ?ちょ、ちょ、ちょ…
俺は慌てて、【深淵】に、壊れてバラバラになったメリー号を急いで回収した…
待ってくれよ…まさかコイツは?
メリーは…
俺達を助けるまでの間、壊れずに…ずっと頑張ってくれていたのか?
おいおい待てよ…なんてヤツなんだよ…
うおおおおおおー、めりいいいいいいいいい…ごめんなあ…
まさか…
まさかだよ…
本家?と、同じ結末を辿るなんて…
そんなん、もう泣いてまうわ…泣いてまうやろーーー!?
メリーって名前だったからなのかな?
いや…違うな、
俺が…
有り得ない超高速で、海をぶっ飛ばしたせいだろうな、絶対に…
ごめんな…メリー号…
…いや、待て待て、そう言えばヨミも、乱暴に扱ってたよな?そうだよ、
そうだ、悪いのは全部ヨミだよ…この際、そう言う事にしよう、そうしよう。
クソ、ヨミの奴…なんて酷い事しやがるんだよ…
だけどメリー…
落ち着いたらきっと、ちゃんと直してやるからな…
後で、与作のおじさんに…いや、イサクに頼んでみよう。
そうそう、そう言えばでっかいヘビを探す時間も、もう無いよな?
閉じ込めた海賊の連中に、きっつい罰を与えてやらんとって、そう思ってはいたが…
まあアレだな…
奴らにも、たっぷりと反省する為の時間は必要だろうしな…
その為に、ちょっとだけ食料を与えておこうと、
ブッタ切った、キモいヘビの頭を、奴らのど真ん中に出したった。
コイツ…表面がネチャネチャしてるわ、なんかキモいわ、
しかも、口からなんか汁が出てて…かなりくさいんだが?
お前らみたいなもんはなあ、これでも食って反省しやがれって、
あいつらには、ひとまずそう伝えといて…
ついでに、あの素敵な壁画だけををサクッと削りとって、頂いたった。
これで海賊騒動は一件落着だな、知らんけど…
いや…セーオリッツの件を除いて…
だけどね…ゲホゲホ
取り敢えず、船の上では今後についての作戦会議も必要で有るって事から、
ここから一番近い、あの…キモいヘビの島に行くことになった…なってしまった…
ええ…ウソ、マジかよ?
あそこは辞めましょうよ…なんて言えないよね…なんで?って、なるしな…
俺は、ちょっぴりガクブルなんですけど?
ア、アイツ…もう、晩御飯食べに、自分のお家に帰ってて欲しいなあ…
いや、お願いだから、帰っててね、お願い、マジで帰っといてくれよ…
夜空の星を見上げ、ああ神よっ…と、
俺は小さい星に、そっと祈った…
俺のちょっと向こうで座ってたヨミが、急に盛大にくしゃみをしていた…
いやいや…違う、お前のことじや無いんだけど?
知らんけど…




