表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/195

Out of Blue 2

  俺は密かに潜入する。


 物陰に潜む海賊と思しき輩を発見し、観察した。


 まあ…俺のほうが、遥かに潜んでは居るのだが…


 全部で四隻の小型船に、それぞれ十人づつくらいが、パッと見乗ってる様だ。

 

 それらを、端から順にゆっくり観察してみた。


 その船は、正式な名前とかは知らんが、遠い島国のドキュメンタリーとかで見た事ある様な?

 船体の横にフロートの様なのが着いた船で、


 槍や弓がいっぱい積んで有って、多分乗り込む為用のロープも、沢山見えるな。



 でもまあ…コイツラは下っ端、雑魚っぽい奴らだなと。


 折角ここ迄来てやったんだし、

 どうせだから、コイツらの親玉ってやつを、是非見たいよな。


 俺は、海賊の木っ端の隠れて居る岩陰から、ひっそりと伸びている獣道っぽいところを、


 ゆっくりと、逆に辿っていった。当然…コソーリと。


 島の真ん中より、ほんのちょと手前の小高い岩山が、

 どうやら海賊達のアジトのようだった。


 え?勿論、遠慮無く侵入するよね。

 だって、一切見えないだろうしね。


 そこは大きなV字型の谷になってる岩壁に住居なんかが有って、


 その谷底の一部が、どうも海にも繋がってるっぽい。


 大きな船が二隻、そこに隠して有る。

 今開いてる、先っぽの出口の穴が小さいのは…


 多分…潮の満ち引きで大きさが変わって、

 それで出たり入ったりするんだろうか?知らんけど…



 ミューと相談して、【深淵】でデカい船の船底に穴を開け、それをミューに糸で塞いで貰った。

 もし、これらが俺達の船を追ってきたら、

 その船底の栓を抜いてやろうって事で。



 そして更に探検を続ける…


 クソ、なんかドキドキして、メッチャ楽しいぞ、

 まるでゲームか、なんかアトラクションみたいだよな?


 ドキドキが止まらねえ!


 なんでこんなに楽しいんだろ?って、思ったが思い出した。


 こりゃまるであれだよ?

 単独で敵地に潜入するあのゲーム…


 コイツはまさにあの、スニーキングミッションなんだと。


 どうやら俺は…伝説の英雄と呼ばれるあの…


 ソリッドなヘビさんの…すっかりそれになりきった…そんな気分だったのだ。


 ああ…もうどうせなら段ボールも欲しいくらいだが…


 あ、ここってそもそも段ボールとか無ぇよな…




 俺は単独で…


 たった一人で敵のど真ん中をどんどん、コソーリと進んでいく。

 勿論、そこには不安と恐怖は有るが…


 だがしかし…


 無茶苦茶ワクワクすっぞ?

 くっそ滾るぜ?昂りやがるぜ?

 フッフッフ…のってきたぜ…

 「来た、来た、来た〜っ!!」…って感じ?


 …まあ…【深淵】に居る限り、絶対に見つかる事は無いんだけどね。


 見えないのに、わざわざ角に隠れてはこっそり覗きつつ、ササッと進む…


 そして…遂に最奥、奴らの親玉の前まで来たった。


 どうやら、全員集まっての、なにかの作戦会議的な?



 向こうからは一切見えやしないと、そう解っては居るのだが…


 わざわざ壁に隠れたりして…それがもう、堪らん、ドキドキが最高潮で有る…




 そして…


 ダメだとは知りつつも、良からぬ事ばかりが頭に浮かぶ俺は…


 やっちゃダメだって、思えば思う程に…


 姿が視えないことを良いことに…


 並んでる下っ端の鼻の穴に、拾った髪の毛でこちょこちょしてみたり、


 一番偉そうにしてる子分のケツを、急に思いっきり蹴っ飛ばしたり、


 なんなら、中学校以来に、肩をトントンして、人差し指をほっぺたに突き刺すやつをやってみたり…


 しまいには、膝カックンとかして、メッチャ遊んだった。


 そして、一人で大爆笑していたのだ、勿論、【深淵】の中でだが…




 真面目な会議っぽい、かなり張り詰めた緊張感で有ったせいで、


 真面目で有れば有るほどに、この微妙な空気が…

 もう腹が痛い…とにかくめちゃくちゃ面白かった。

 俺は転がりながら、腹を抱えて笑い転げていた。


 こっちに来て以来、これ程笑ったのは、これが初めてだったわ。


 で…

 とうとう親玉が怒り出したので、一応…

 一旦そこで止めといた…なにせ、下っ端が俺のせいで殺されそうになってるしな、


 まあここで一旦、自粛だな。知らんけど…



 で、

 密かにその下っ端の列にコソーリ混ざって、親玉の話を聴き入る俺。

 

 なんでも、コイツらが崇める海の大魔獣…邪神ヤート様ってのが、


 数日前からずっと苛ついてて、


 今朝方、遂に痺れを切らし、この島を凄い勢いで飛び出して行ったらしい。


 その原因が判るまでは、迂闊に海に出ると、それの巻き添えを食ってしまうぞって事で、今、コイツらは絶賛待機中なのだそうだ。


 しかも今…シフト?配置の確認なんかがされてるっぽい。



 そんな親玉の後ろの壁一面には、

 どうもその、ヤート ってのが掘って有るんだが、

 それがまあ、めちゃカッコいいんだよな。

 これ掘ったヤツのセンス、最高かよ?


 カッコいい角があってさ、ダイナミックな動きが、いかにも竜って感じで、

 あれ?若干…さっきの海ヘビっぽくも有るが?


 いやいや、如何せん、あのさっきの海へビって、凄えキモいブスだしな…

 壁の彫刻と違い、手も脚も無かったからな、

 多分、劣化版の雑魚とか、全く違う種類なんだろうな…


 マジでそんなバケモノと、下手にかち合わんで良かったよな。


 邪神ってくらいだから、きっととんでもなく、

 恐らくメッチャ強いんだろうな…あー怖。知らんけど…



 さてさて、どうやらコイツら、もう暫くは動きそうもないな、どうする、どうしようか、俺?


 そんな俺の前で立ち上がった親玉を見てつい、

 

 そいつにも、反射的に超高速膝カックンしちゃったのよね。


 親玉は相当驚いたのか、この不意打ちに対して前に数回転がって、そして大声で叫んだ。


 「テメエらは入り口を塞げ、絶対に誰も逃がすなよ…

 おい、一体誰だか知らんが、コソコソ隠れて無いで、今すぐ出てこいっや!」


 おお、さっすがに親玉やな…良くぞ気が付いたな…褒めて使わずぞ、ホッホッホッホ…



 でもなあ…

 俺に、出てこいやって言うならさ、

 そう、だったら高田延彦みたいにさ、


 「漢の中の漢、出て…来うおいやあっ!」とかってさ…


 もっともっと、溜めに溜めてから、感情込めて言って欲しいわな…


 違うのよ、今のじゃ全然ダメ、無いわ。知らんけど…


 部屋が閉じられ、海賊総出で家探しが始まったので、

 俺はサッサと部屋を出た。

 せいぜい気の済む迄、探してくれや。

 俺はとっくに居ねえけどな…




 そして、その間にゆっくりと、他の場所も散策したった。



 そして…俺は色々と思わぬものを発見する。



 こ、これは…


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ