表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/182

海は広いぜ大きいぜ 3

 早速俺は、手に入れたお宝を使って晩飯の調理を開始した。


 優秀なアシスタントの親戚さんも手伝って、そいつを焼き始める。


 それが焼けるに従って、辺りに香ばしい香りが立ち込める。




 ニヤリ…

 皆、目を閉じ、鼻をクンカクンカさせてやがるな…わかるよ…



 そうだ、コイツは魚醤、異世界のナンプラーだったのだ…多分。


 俺が屋台でやった客寄せの撒き餌、

 つまり、この焼ける醤油の香りを嗅いで、

 それを知っていたシャダが気を利かして、密かに用意してくれていたのだった。


 やるな、シャダめ…1ポイント獲得だぞ。知らんけど…



 この壺に、切ったイカをドブ漬けして火に掛ける。



 竹串は無いので、代わりに木の枝を使ってみたが、まあ…ええやん。



 更に、シャダが積んだ良く判らない調味料を、親戚さんがテイスティングして、色々振り掛けてみた。


 偶然だが…いい感じで、味に奥行きが出たな。




 さあ出来たぞ、実食だ!

 さあ食うが良い、このイカ好き野郎め!



 え?野郎って君?…まあ、食べるけどさ…


 お?…うん、うん、こりゃ美味いね、この香ばしい香りとこの味、実に良いよ、凄く良いよ。

 本当に美味いよ、これは。


 「おう!だべ?」


 どれどれ、俺も一口…

 おお、焼くと魚醤の嫌な匂いが消えて、メッチャいい感じやん?

 なる程…美味いわ、これ。


 味の指標?の…お爺の涙も確認したし、


 エッタさんに至っては、


 まさかの…両手食いしてやがる…のか?

 わんぱくかっ!?




 皆、次々におかわりしてるしな。


 ただ焼いただけなんだが、ただの塩焼きよりもずっと料理っぽいな。



 これは俺の想像以上の攻撃力だった、

 後でシャダに、魚醤を追加発注決定だな。



 あらあら、マーオちゃんもおかわりかい?


 えらいねー、ちょっと待ってね、

 もう焼けてるヨミのやつ、ぶんどってくるからねー。


 おいおら、その汚え手離せや?

 テメーよりも、マーオちゃんが先だろうが?


 え?あ…

 だ、だがそれは我のイカで…


 おい、まだまだイカは腐る程、唸る程有るんだぞ、

 そんな哀しい顔は辞めとけ…

 飯が不味くなんだろうが?



 グヌヌ…我のこの手より大事なイカを奪っておいて、よくもぬけぬけと…



 まあ…良いよ、許すよ、次が焼き上がったからね。

 焼き立て、焼き立て♪



 ところで主よ…

 この調味料はこれからも手に入るのかい?



 ん?


 ああそうだな、後で急ぎシャダに聞いてくるわ。


 これは是非とも、屋台の商品にも使うべきだしな…





 っ…て、


 …事なんだが?



 「う、うわっ!?」


 い、いや…ちょ…

 急に出てきたら、焦るでしょ、か、会長…?


 おお、すまん、わりいわりい。

 ちょっとさ、気になる事が有って…来たんだが、

 お前が積んでくれた、これ?この壺のヤツ。


 これ…もっと有るかな?


 ああ、それですか。ええ…多分、まあ、近所をくまなく探せば、多少は有ると思いやすが… 「探せ!」そして全部回収だ。絶対な!

 判ってるだろうが、奪うなよ?ちゃんと買い取れよ?



 それと…当面の、俺の手数料は払わんでも良いから、

 これを増産出来る施設を作って、直ぐに増産を開始しろ。


 良いか、時間との勝負だ。これは相当デカい商売になるぞ?

 どこよりも先に、うちが…このシャダ商会が始めるんだ、


 俺の商人としての感がそう言ってる。知らんけど…



 …は?はあ…


 俺は懐から…持ってた金貨の袋を全部シャダに渡す。


 人手が無いならこれで雇え。

 そうだ!この辺りなら、戦闘のせいで孤児もいっぱい居るんじゃね?



 はあ…まあ、そこらを探しゃあ、そこそこ居るっちゃ、居ますが…?



 そうか、ならその孤児は全員、お前が囲い込め。


 はあ?…何でそんな面倒なこ…「チッ、おい?

 良いからよく聞け!」


 この先な、恐らくお前の商売は、お前が思うよりずっとずっとデカくなるんだよ、


 そうすっとな、必ず直面するのが優秀な人材の不足、

 そう、深刻な人手不足なんだよ。



 ああ、そりゃまあ…商売の規模が大きけりゃ、それはそうなるんでしょうけどね…

 どこも、人手不足は常につきまとう問題ですからね…



 ニヤリ…そこでだよ、シャダ君?

 俺は馴れ馴れしく、シャダの肩に手を回す…


 その孤児らを、お前が実の子供の様に、甲斐甲斐しく面倒を見てやって、

 そして、計算や読み書きくらいはちゃんと出来るように、それなりに勉強もさせとけや?



 はあ?

 いや、でも会長?

 ガキなんて、そもそも邪魔なだけで、ただの労働力にもならな…

 「チッ、このバカチンが!?」 バコンっ!


 ギャああああ…痛ってえええええ


 おい、良いかよく聞けシャダ?

 そして、そこの取り巻きの三下共よ…


 これはな、明日や明後日の話じゃねえんだヨ?


 良いか、今から数年、いや数十年掛けて、


 お前…いや、このシャダ商会の将来を担う人材を作るっていう、

 壮大な計画の始まりなんだよ、判るか?



 おい、そこのチンピラ、お前が今、仮に、シャダに拾われたガキだとして…


 散々コイツに、毎日毎日飽きもせずにいびられーの、

 挙句、飯もまともに食わして貰えずにって、


 そんなコイツにお前は感謝するか?出来るのか?忠誠を誓えるのか?

 絶対に、無理だろうが!


 いつか絶対ぶっ殺してやるぞって…そう考えるだろ?

 裏切ったって、そりゃ当然だろがって、そう思ってしまうだろうがよ?


 「え…あ、はい…そうですね…」

 ちっ…キレのねえ返事だな…



 良いか、お前らの考え方がな、


 そもそもな、全く逆なんだよ、逆。


 だから今、テメエらはこんなザマなんだよ?判るか?


 目先のちっちぇえ日銭なんかに気を取られ過ぎてて、挙句に盗賊まがいか?


 それじゃあな、ダメダメなんだよ?

 一番大事な、肝心の…その先のお話ってのが、お前ら、全然お留守なんだよ?


 親を亡くした子供が、見ず知らずのお前らに可愛がって貰って、

 飯もちゃんと、腹一杯食わして貰えたらどうよ?


 そんな親を裏切るなんて、まあ無いだろ?

 どうよ?


 いやまあ、それはそうですけど…でもそ… 「ガチンっ」「ゴンッ!」「ゴキンッ!!」


 ぐぎゃああああ…

 うわあああ…

 いってええええ

 ぎゃああああ…


 クソが、一蓮托生だ。


 おい?良いか…そもそもこれはお願いじゃねえんだヨ、命令だぞ、おい?…判ったか?



 それにな…お前らさあ、ここでの評判が悪過ぎる、もう最悪なんだよ。

 殆ど悪口しか聞かねえぞ?まあ…盗賊だしな…


 だがしかし…


 それってもう、商売人としては、ダメダメだろうが?



 この商売をきっかけにな、今後はお前ら自身のイメージアップを図って行く必要が有るんだよ、判るか?


 ぐうう…


 ふうう、ふうう…いっってえよ…クソ痛え…


 わ、判った、判リました、やります、やらせて頂きます。


 だからもうこれ以上は勘弁してくだせえ…



 おう、分かりゃ良いんだよ、分かりゃ。


 良いか?他の全員にもちゃんと言っとけよ?


 あとな…ガキを理由もなく殴る様なアホな奴はなあ…


 くふふふ…


 そりゃ…恐ろしい、死ぬより辛い地獄を見るぞ?ってな?


 俺はいつでも、お前等を見てるぞ?


 おい…勿論、そこのお前らもだぞ?

 こんなモンじゃ無ぇ…そりゃヒデえ目に合うんだぞ、うっへっへっへ…楽しみだよな、逆に?



 は、はい、も、勿論です。よ、良く、言っときます…



 よしじゃあ、早速直ぐに頼むぞ?

 じゃあな、アディオス!




 …消えたか?




 待て…テメエらまだだ、まだ油断すんなよ…



 …まだだ、



 ……行ったか?


 行ったな、よし…



 ふーーー…



 ありゃヤベエ…


 あの悪魔…また不気味にヘラヘラ笑ってやがったよ…



 なんだよ…これより恐ろしい地獄って?



 ダメだ…ありゃ逆らったら、きっと最後だ…



 怖ええわ…死ぬよりも怖ええって…



 なんだよクソ、ふ、震えが止まらねえ…




 こりゃ、本気で直ぐにやらねえと不味いな…




 ダメだ、グズグズしてたらこの脚が…

 いや心も絶対に持たねえ…


 きっとすぐに歩け無くなっちまうし…


 最悪、あの蜘蛛の魔獣に、生きたまま食われて死ぬんだよ…餌だ…




 ダメだ…い、急がねえとヤバい…


 おい、お前らも聞いてたよな?

 痛えよな…


 もう、こんな酷い目に会いたくねえよな?


 良いか、死にたくなきゃ、どうするか判るよな…

 だったら協力して…



 予告もなく、悪魔アイツは突然来るからな…


 すぐにでも、目に見える結果が要るぞ?…しかも大至急な…



 明日…いや、ダメだ、遅い、


 最悪…明日の朝とか…すぐに来たらヤバい、


 いや…ありゃむしろ、敢えて直ぐに来るって…気がするな…


 もう…今日からやるぞ?





 

 こうして…




 シャダ商会には、小さいけれど、素敵な孤児院が出来ましたとさ。



 めでたし、めでたし。

 知らんけど…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ