1 友君ライフ
一週間に二回ほど更新していけたらいいと思っていますができるか分かりません!
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アンティカーサ歴2773年。春。4月8日。午後2時55分ごろ。
アンティカーサ王のパレードが行われる。
「じゃあ行ってくるね〜」
「ライフ王! 行かないでください! ちょっといい加減に! 行かないで! おい行くなぁ!」
ライフ王は兵士たちを置き去りにして王城から飛び出した。
王女は王城の巨大な門を蹴り開けると、両手に抱えていた角のある少女を地面に下ろし笑いかけた。
「よし。ティスティ。行こう!」
ティスティと呼ばれた少女は小さく頷くと、王女の手を握った。そして、二人は城下町に向かって走り出した。
城下町で一番栄えているアンティカーサ城下通りには様々な店舗が立ち並んでいる。毎日地元民や観光客であふれかえり、五メートル先すら見通すことができない状況である。
「今日も凄い人だね。ティスティ、怖くなぁい?」
「……大丈夫」
「そっか」
ライフ王は一つの屋台を指差した。
「ティスティ。あれはなんだっけ」
「……串焼き」
「そう! じゃああれは?」
「わたあめ」
「そう! じゃあね。あそこに書いてあるのは?」
「ミリーおばさんのパン屋」
「正解! 文字覚えてきたねティスティ!」
「うん」
ティスティは戦争孤児であった。満足な教育を受けることができず、文字を読めなかった。
「あれは?」
「もんぐりもんぐりばばばビョルドル」
「正解! ……は? あれ何?」
その時、少女達の背後を歩いていた青年が「え?」と声を漏らした。
「この美しい金髪に、角の生えた少女……え、ライフ王女?」
ライフ王女は振り向くと、青年に「こんにちは」と挨拶をした。
「ほら、ティスティも」
「……こんにちは」
青年は彫像のように固まった後「な、何やってんですか!」と声を荒げた。
「あなたはこんがりベーカリーの息子さんでしたよね。あとで行くのでパンをこんがりさせておいてくださいね」
「いやいやいや! また抜け出してきたんですか王女様!」
青年は周囲に聞こえるよう声を張り叫んだ。
「友君様が出たぞぉ!」
青年の声に周囲の目がぎょろり動いた。
「どぅえ! 友君様!」「ライフ王女!?」「ライフ様こっち向いてぇ!」
人が押し寄せる。ティスティがライフ王女の足に抱き着いた。
「みんな。ティスティが怯えてる」
周囲が静まり返った。
「全部回るから待っててください。観光客の人は後で中央広場にも行くから、そこで」
「「「「「「はぁ~い!!!!!!」」」」」」
『友君ライフ』はひざを折ってしゃがみ、ティスティの手を握った。
「ティスティ。私の目を見て」
「……ライフ様」
「私の目を見ていると、ほら、だんだんと落ち着いてくるよ」
友君ライフの緑色の瞳に淡い光が宿った。その目を見て、ティスティは頬を赤く染めた。そして、もじもじと手を弄りながら小さく呟いた。
「ライフ様、好き……」
「うん。私もティスティのことが大好きよ。落ち着いたみたいでよかった」
ティスティは自分の気持ちが正しく伝わっていないことに気付きむすっと頬を膨らませた。それを見た友君ライフ王女はティスティの頭を撫でると立ち上がった。
「よし。行こう」
そう言うと、ライフ王女とティスティはお散歩を再開した。




