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グルリネからペースへ 3

 ホクア領に入ってから明らかに、現れるモンスターが変わった。

 久しぶりにスライムが出てきて、ひとまず安心する。空を飛ばれていないだけで、やりやすさが全然違う。

「ピー!」

(それー!)

 スライムはサクッとミドリが倒した。

「ピー!」

(二リハ、先輩、やったわ!)

「ええ、ありがとう。でも、これからは私達にも倒させて。地上にいるなら、私達でも倒せるから。それに、ミドリも毎回魔法を使うと疲れるでしょ?」

 私も技を使うと疲れるし、きっと似たようなものだと思う。

「ピー、ピー!」

(ええ。そうね、わかったわ!)

「にゃー!」

(よし、そろそろ俺の出番だな!)

「キュー」

(久しぶりに雑魚敵でしたね。ここらへんは戦いやすいんですかね)

「そうだと思う。でも、皆。油断しないで。ここからも新しいモンスターが現れるはずだから」

「にゃー!」

(わかったぜ!)

「キュー!」

(わかりました!)

「ピー!」

(わかったわ!)

 やっぱり安心するのは、町に入ってからよね。


 次に現れたモンスターは、茶色い大きなカエルだった。

「ゲコ、ゲコ」

 うっ。ブツブツが体中にあって気持ち悪いっ。

 けど、あれがアースフロッグね。ランクは2。体が重くて移動は遅いらしいけど、そのかわり。

「にゃー!」

(こいつは俺が倒すぜー!)

「ゲロっ」

 ああっ、アースフロッグが長い舌を伸ばした!

 それがとびだしたモエルに巻き付いて、モエルを口の中へと引っ張る!

「にゃー!」

(うわあー!)

「キュー!」

(先輩ー!)

「ピー!」

(先輩がー!)

「モエル!」

 私達も思わずとびだすけど、アースフロッグがモエルを飲み込む方が速い。そんな、モエル!

 と思った瞬間、アースフロッグが口から炎を吐いてひっくり返った。

 そしてモエルが出てくる。

「にゃああ」

(うへえー、べとべとー)

「モエル、良かった。無事で」

 なんか粘液まみれだけど。

「キュー!」

(先輩、無事ですか!)

「にゃあ」

(ああ、まあな)

「ピー!」

(今回はモエル先輩に先を越されたわ!)

 うーん、そうとも言えるかもしれないけど、被害が大きい。

「モエル。次からは、気をつけて」

「にゃあ」

(うん、わかってる)

「あと、今は私に触れないでね」

「にゃあ」

(うん。まあ、わかってる)

「なにか拭くものがあればいいんだけど」

「にゃー」

(今はあのお風呂とやらに入ってもいい)

「それじゃあ町に着いたら、真っ先に行こうね」

 そして、アースフロッグの素材だけど、今回はその場でお肉をいただくだけにしておいた。

 だって、ベタベタなモエルを見た後だと、余計に討伐証明部位の舌なんて触りたくないし。

 でも、アースフロッグの肉は食用だって書いてあったから、試しに食べてみる。

 すると、なんだか鳥肉っぽくて美味しかった。

 素材の味そのままだったけど、保存食より美味しかったし、また丁度良く倒せたら食べてもいい。

 でも、味付けかあ。余裕があれば、旅の用意に塩胡椒なんかあればいいかもね。


 その後もアースフロッグが数体現れ、倒した。

 モエル、シャイン、ミドリは伸びる舌を警戒しながら攻撃。

 私の時は、舌で捕まえられてから剣で切り裂いて対処する。

 また、相手の動きが読めれば、盾で防御。そして近づいて攻撃。

 ちょっと厄介だけど、まあ2ランク程度ということもあって楽に倒せる。

 だから今のところ、移動は順調。

 このまま、次の町ペースを目指そう。


 関所を越えた翌日、私達は更に新たなモンスターと遭遇した。

「ヒヒーン!」

 私達を見下ろす青い馬、スタンプホースだ。

「にゃー!」

(火魔法!)

「ピー!」

(木魔法!)

 まずはモエルとミドリが魔法を浴びせる。

 スタンプホースに直撃したけど、相手は意にも返さず突撃してくる。

 狙いは、モエルか!

「サポートガード!」

 私はモエルの前に来る。敵の攻撃を防ぎ切るのは、私の役目だ。

「ヒヒーン!」

「ハードガード!」

 スタンプホースが前足を上げたのに合わせて、しっかり盾で防ぐ。

 けど、スタンプホースの体重をのせた攻撃が重すぎて、私は大きくのけぞった。

「く!」

「ヒヒーン!」

 しかも、スタンプホースは即座に私に追撃してきた。

 今は体勢を崩されてしまっているうえ、私の盾を押す程の力で攻撃されたらただじゃ済まないかもしれない。

 私は防御も反撃も捨てて、とっさに跳んで回避した。

「にゃー!」

(火魔法!)

「ピー!」

(木魔法!)

「キュー!」

(ボクもいますよ!)

 そこを皆が攻撃してくれる。するとスタンプホースの意識が私から外れた。

 ありがとう、皆。そう思って立ち上がった時のことだった。

「きゅっ」

(え?)

 グシャッと、シャインが相手の後ろ足で蹴られた。

 そのまま吹き飛ぶシャイン。

 その光景を見た私は、即座に走り出した。

「シャイン!」

 仲間を傷つけたこいつを、許せそうにない。

「パワーアップ、ゲイザースラッシュ!」

 全力の一撃を、敵にぶつける。

 私の剣はスタンプホースの首を深く切り裂き、よろめかせた。

「にゃー!」

(火魔法!)

「ピー!」

(木魔法!)

「ツヴァイブレード!」

 更に攻撃して、やっとスタンプホースが倒れる。

 でもそれより今は、シャインだ。

「シャイン、大丈夫!」

 あの攻撃を受けて、しかも体格差もある。どうか無事でいてほしい。

 シャインに近づくと、シャインはわずかに動いた。

「キュ、キュー」

(回復、魔法)

 私が見ている眼の前で、シャインの体が治っていく。

「キュー」

(ふうー、助かった)

「シャイン、良かった」

「キュー!」

(ええ、ギリギリセーフでした!)

「もう、心配させないで」

 私は思わず、シャインを抱きかかえる。

 大切な仲間を失わずに済んで、本当に良かった。

「キュー!」

(それより二リハ。ボク、新しい力を手に入れました!)

「そう。それは?」

(一撃死回避です。どうやらボクは、全快の時一撃で死なずに済むそうです!)

「そう。それは、安心ね」

 それは、私にとっても嬉しい力だ。だって、シャインが死ににくくなるのだから。

「キュー」

(でも、覚えられるなら攻撃魔法が良かったです)

「いえ、いいのよ。それで」

 そんなことは、モエルだって、ミドリだってできる。

 ただの攻撃なら、私だって。

 でも、シャインはそんな私達を支えてくれる柱のような存在だ。

 柱はもう、あるだけで私達の支えになってくれるになっている。

「あなたはあなた。シャインはシャイン。シャインの役目は、そんなことじゃない。いつでも、私達のそばにいてくれること。私達の窮地を救ってくれること。あなたに攻撃する力は必要ないわ。だって、私達がいるから」

 私はやさしくシャインの頭をなでた。

「だからシャイン、あなたはあなたなりの戦い方を貫いて。敵を倒すのではなく、私達を守るのがあなたの戦いよ」

「キュー、キュー!」

(うーん、はい!)

 ちょっとヒヤッとしたけど、今回もどうにかなったわね。

 そして私も、結構強くなったけど、それに慢心せずに、仲間の危機に敏感になろう。

 私は最後まで、皆と一緒に旅をしたいから。








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