ミドリ 5
しばらく歩くと、また鳥モンスターが現れた。
また黒い小さな鳥達だ。数は3羽。私達に向かって迫ってくる。
「にゃあ!」
(また出たな!)
「ピー!」
(私に任せて!)
ミドリがそう言って、私の肩から飛び立つ。そして矢継ぎ早に木の枝を放った。
「ピー!」
(えい、木魔法!)
「ピー!」
鳥達は簡単に倒され、地に落ちる。凄い。鮮やかなお手並みだ。
「やったわね」
「凄い。今まであんなに大変だったのに」
私とカルファは素直に感心する。
「にゃー」
(ふん。まあまあだな)
「きゅー」
(これならかなり助かりますね)
「ありがとう、ミドリ!」
「ピー!」
(これくらい、簡単簡単!)
ミドリがそう言って戻ってきて、また私の肩に止まる。
「飛べるミドリがいると、空からの敵が大分楽ね」
「ピー!」
(あのくらいどうってことないって!)
「このまま安心して進みましょう。ああ、といっても、またさっきみたいな大きい鳥が現れたら厄介ですが」
「そうね。カルファの言う通り。ミドリ。もし強敵が現れたら、私達に任せて。皆でなら、倒せるから」
「ピー!」
(わかったわ、二リハ!)
なにはともあれ、これならこの先も安心だ。
私達はこのままミドリに守られながら、村へと歩き、無事たどり着いた。
「ピー!」
(二リハ、人のいるところに入るよ!)
「ええ。大人しくしててね、ミドリ。今日はここで休んでいくから」
「ピイー」
(へえ。ここをよく見るの、初めて)
「そうだわ。ミドリ。テイムモンスターになってくれたんだから、なにか目印をつけないとね。良いお店があったら寄るから、その時好きなのを選んでちょうだい」
「ピイー?」
(なにかくれるの?)
「ええ。あなたが気に入るものがあればいいんだけど」
「ピー!」
(私、肉が良い!)
「うーん、ちょっと違うかな」
その後、宿の前に道具屋があった。
そこに、白い翼が刺繍された緑色のスカーフがあって、ミドリに見せてあげた。
「ミドリ。これをあなたの首に巻いてもいい?」
「ピー!」
(それをくれるのね!)
装備してみると、ミドリは軽く上空を飛んで戻ってきた。うん、スカーフはしっかり巻かれていて、はずれないようだ。
「ピー!」
(二リハ、私、これ気に入ったわ!)
「良かったわ。飛ぶのにも邪魔になってなさそうで良かった」
「おやあんた、そいつはグリーンバードだね」
「あ、はい。お姉さん」
というか、ミドリってグリーンバードって言うんだ。
「グリーンバードは危険なモンスターだと思ってたんだけどね。そうしていると可愛いもんだね」
「テイムモンスターなんです。だから、この子だけ特別ですよ。はい、これお代です」
「はい。たしかに。毎度あり」
これで誰がどう見てもテイムモンスターね。
「にゃあっ」
(ふん。俺の赤の方がかっこいいぜ!)
「きゅうっ」
(ボクの黄色もイケてます!)
「もちろん、あなた達も似合ってるわよ」
「ピー!」
(けど、私が一番似合ってる!)
「にゃあ!」
(なにをお!)
「キュー!」
(新入りのくせに生意気ですよ!)
「はいはい。喧嘩しないの。皆一番似合ってるわよ」
皆可愛い。それでいいじゃない。
素材センターにて。
「おお、ハードバードを倒したのか」
「ええ。ひとまずくちばしだけ持ってきたけど、売れるかしら?」
「おお、売れるぞ。というか、あいつは羽も足の爪も全部売れる」
なんと。
「唯一売れないのは肉だけだ。あいや、肉はたしか錬金術の素材になるんだったか。まあとにかく、ハードバードはこのあたりじゃ狙い目のモンスターだぞ。だがなんだ、これだけしか持ってこなかったのか?」
「ええ。どこが売れるのかよくわからなくて」
「そうか。それはもったいなかったな。たしかに鳥モンスターの討伐証明部位はくちばしだが、両足の爪の方が高かったぞ。時間があれば羽全部むしってきてもかなりの金額だった」
「なんと」
「はっはっは。残念だったな、嬢ちゃん」
「次は気をつけるわ」
「だが、ハードバードを倒せるんだからそれなりのランクだろうが、ここらへんは初めてか?」
「ええ。護衛の依頼で来たの」
「そうか。まあ、空への備えがあるなら問題ないだろうが。ああ、その肩にいるのはグリーンバードだな。なら一応心配いらないか」
「ピー!」
(こいつ、私を呼んだ!)
「ええ、そうよ。ミドリ、平気よ。それで、お兄さん。ここ、やっぱり鳥モンスターが多いんですか?」
「多いってもんじゃないさ。ここらへんはほとんど鳥モンスターしかいないよ」
「あら」
それはかなり大変そうだ。ミドリがいるとはいえ、彼女だけに戦わせるわけにもいかない。気持ち的には。
「本当にここらへんが初めてなら、ギルドの図書室で資料を見てきな。村のギルドでも、最低限の情報はあるんだからさ」
「ええ、そうするわ」
今まではなんとかなってたけど、ハードバードも現れたことだし、モンスターの情報は知っておいた方が良さそうね。
ギルドで調べ物をするのは、明日にした。
もう大分日が落ちていたし、今日はミドリが初めて仲間になった日だから。
宿の人に頼んで、ごはんを少し豪華にしてもらった。
「ピー!」
(凄い。ごはん、いっぱい。肉もある!)
「ええ、そうよ。これは皆の分だけど。はい、これがミドリの分」
「ピー!」
(わーい!)
「にゃあ」
(むう。ここの肉はまあまあだな。なんだかちょっとあっさりしてるけど)
「きゅー!」
(木の実は結構美味しいみたいですよ、嬉しい!)
さて、私も食べよう。
どうやらここのお肉は、鳥肉のようだ。やっぱり、このあたりは鳥が多くとれるのね。
って、ミドリは鳥肉食べていいのかしら。
「ピー!」
(美味しい、生じゃない!)
良かった、大丈夫みたいね。




