グルリネへ 1
グランデとはもう完全に分かれた。
今後の予定とか話し合わなかったから、今日から別行動だ。
私も、それでいいと思う。好きでグランデのお荷物になりたいわけじゃないし。私は私で旅を続けよう。
せっかくなので、今日グランデからもらったダンジョンの首飾りを鑑定してみる。
朝早くに冒険者ギルドに行ってみたが、鑑定はもっと遅くからやっていると言われた。なので仕方なく待つ。
バースペースでジュースを飲みながら、モエルとシャインを撫で回した。たまにはこういう時間の使い方も良いと思う。
そしてようやく鑑定できるようになり、首飾りを見てもらうと、鑑定士にこう言われた。
「これは耐毒の首飾りですね」
「つまり、これを持っていれば毒に強くなるということですか?」
「はい。ちゃんと装備してくださいよ。でないと効果はありません。お守りではないのですからね」
「はい」
「アイテムランクは4なので、4ランクまでのモンスターの毒を無効化します。それより上は、あまり効果を期待しないでください。多少は効くかもしれませんが、5ランク以上のモンスターの毒は、受ければ基本数秒で倒れてしまいます」
「わかりました。気をつけます」
使えるような、使えないような。まあ、あっても損ではないだろう。
それに、いざとなれば便利なのだから、良い拾い物だったかもしれない。グランデに感謝だ。
「買取価格は、8千シクルといったところですが、どうします?」
「え?」
なかなか良い値段。というか、売れるの?
「ここで買い取ってもらえるんですか?」
「はい。まあ、役に立つアイテムに限らせてもらいますが。耐毒の首飾りならすぐに買い手が見つかるでしょう」
なるほど。臨時収入にもできるのか。
でも、その買い手が未来の私になるかもしれないから、ここはキープかな。
8千シクル程度なら、どうにでもなるし。
「いえ、これは売りません。では、私はこれで」
「はい。またのご利用をお待ちしております」
こうして私は、少し毒に強くなったのだった。
鑑定を頼んだので、微妙な時間になってしまった。
もうギルドの依頼書はまばらにしかない。それに、今から依頼を受けても今日中には終わらないだろう。
でも、昨日はおもいっきり遊んだので、これからどこかに骨休めに行くという気もしない。
よし、ここは余っている依頼を吟味しよう。もしかしたら良い依頼があるかもしれない。
他に依頼を探す冒険者もいないので、モエル達と一緒に端から依頼書を見る。んー、流石に1ランクのものはもう受けたくないなあ。報酬も安いし。
ん、これは?
ランク3〜。護衛依頼。グルリネまで。報酬、一人2万シクル。5人程募集。
護衛依頼だ。グルリネって、どこだろう?
更にちらほら見てみると、護衛依頼は他にもいくつかあった。
でも、グルリネ行きは一人だけで、しかも他の依頼は全て日払いだ。
まあ、報酬はともかく。
いい機会だから、そろそろこの町を出てもいいかもしれない。
まだ4ランクだけど、5ランクを目指しても肝心の5ランクモンスターにはまだ勝てなさそうだ。
それに、旅をしながらでも強くなることはできるはず。
となればだ。私は護衛依頼の目的地を一通り暗記して、図書館を目指した。
私の行き先と一致している依頼があれば、それを受けよう。
調べてみた結果、私は護衛依頼を受けることにした。
丁度、グルリネという町が、ホクア領のすぐそばだったのだ。
ホクア領からマルト領、もしくはラゼンタ領を通れば、私の故郷、ケルーミ領まで行ける。
どのみちグルリネに向かうのならば、早い方が良い。
私はすぐにギルドに戻って、護衛依頼を受けた。
依頼書に書いてある連絡場所へ向かうと、そこは手袋屋さんだった。
ひとまず入ってみる。
「ごめんください」
「はーい!」
店の奥から、一人の青年が出てきた。
「いらっしゃいませ!」
「護衛依頼を引き受けました。二リハです」
「にゃあ」
(お前なんか弱そうだなあ)
「きゅー」
(なにかいろんな臭いしますよ。ボクちょっと苦手です)
「こっちがモエル、こっちがシャイン」
「わあ、可愛いですねえ。それで、護衛を引き受けてくれるって本当ですか!」
青年が目を輝かせて顔を近づけてきた。
「ええ。今のところは」
「ありがとうございます。俺はカルファです。よろしくお願いします!」
笑顔でそう言われる。いきなりそこまで言われてもなあ。
こっちはまだ話をしにきた段階であって。即オーケーとは言わないつもりだ。半分以上は乗り気だけれども。
「それで、報酬なんですが」
「はい、なにか聞きたいことでも?」
「その、この子達の分も報酬、出せますか?」
カルファがモエルとシャインを見た。
「にゃあ!」
(やんのかあ!)
「きゅー!」
(ひょっとしてガンとばしてるんですか!)
「この子達の分も出せば、護衛、引き受けてくれるんですよね?」
「え、ええ。まあ」
一応、ダメでも行かない理由にはならなかったけど。
「失礼ですが、二リハさんのランクは?」
「4です」
「じゃあ出します!」
え、えー。
そんな決め方でいいの?
まあ、こちらとしてはありあがたいけど。
「そうですか。ありがとうございます。それじゃあ護衛、引き受けさせていただきます。あ、この子達も戦えるんで、ご安心ください」
「そうだったんですね。それは頼もしいです!」
モエルとシャインを見てそう断言してくれる人も珍しい。この人、大丈夫かな?
「それじゃあ、すぐに旅の準備をしますね!」
「あ、私も準備が必要なので、明日以降改めて出発しましょう」
「はい。では明日行きましょう!」
決断力早いな。
「あの、本当に良いんですか、予定とかは?」
「ええ、大丈夫です。むしろすぐ行かないといけないんです!」
「そ、そうですか」
「では、明日の朝、町の南門で待ち合わせしましょう!」
「はい」
まあ、私もすぐに出発できる方が良いか。
ひとまず、これから旅の準備を済ませてしまおう。




