グランデ 11
「お前ら、こんなところで何をしている?」
「い、いや、別に、何も。俺等はこれから、用があるから」
「おい、早く行くぞ」
冒険者達はすぐに外へど出ていった。
それを見送ったグランデは、私を見てニッと笑う。
「まったく、迷惑なやつらでしたな。お嬢さん」
お嬢さん?
「だが、全員があんなチンピラみたいなやつではないんですよ。さあ、なにか用があってきたのでしょう。受付はあちらです」
「あの、グランデ?」
「はい、なんでしょうか。もしや、俺に惚れてしまったというのなら、もちろん喜んでお付き合いしますが」
「私、二リハよ」
グランデが私をまっすぐ見た。
「あなたが、二リハ?」
「にゃー」
(なんだあこいつう、やんのかこらあ)
「きゅー」
(先輩やめときましょうよ。そいつは流石にヤバいですよ。強すぎます)
更にグランデは、モエルとシャインも見る。
そして再び私を見る。
「ひとまず、ここじゃ邪魔だからバースペースにいきましょう。なにか食べてたんでしょ?」
「二リハ」
「ん?」
「お前、装備を脱ぐとそんななんだな」
「そうだけど」
お風呂も入ったから、結構今日の見た目は良い感じだと思うのだけど。
「なんで冒険者なんてやってるんだ?」
「それは前にも言ったでしょ。ドラゴンに会いに行くためだけど」
「そうか」
「ほら、グランデ。さっさと歩く。あと、さっきはありがと」
「あ、ああ」
そしてテーブルの一つを見てみると、やっぱり大量の料理を食べている席があった。
グランデって、本当よく食べるわね。
グランデはすぐに食事を済ませ、一緒に外へ出た。
「さて。それじゃあこれから、どこへ行く?」
「そうだな。いくつか考えてたんだが、1つ二リハの役に立ちそうなものがあったんだ。今日はそこへ行かないか?」
「役に立ちそうって?」
「乗馬だ」
「乗馬って、私、乗れないわよ?」
というか、乗ったことがないのだけど。
「そこのところもかねての乗馬だ。冒険者の依頼によっては、乗馬が必要な場合もある。俺も2、3度やってな。その練習に馬屋を利用したことがある」
「へえ」
乗馬。そういうこともあるんだ。
「今日の内に乗馬を覚えればいつか役に立つかもしれないし、それに乗馬もなんだかんだで楽しいぞ。どうだ、二リハ。行かないか?」
「ええ。それじゃあ行くわ」
私も、今日の予定はほとんどグランデに任せるつもりだったし。
「よし。それじゃあ行こう!」
グランデはニッと笑い、私はそんな彼についていった。
馬屋で馬を貸してもらった。
「こいつとこいつが一番大人しい。乗り方は一通り教える?」
「いや、いい。ひとまず昼まで貸してくれ。午後も乗るかは後で決める」
「そう」
馬屋の人が去っていった。ここは馬屋の敷地内の広場だ。
「よし。それじゃあ走るか。二リハ、まず馬はこうやって乗るんだ」
グランデはそう言うと、いとも簡単に馬の背に乗った。
「ブルル、ヒヒーン!」
「どうどうどう」
グランデが乗った馬は少し暴れているけど、本当に今の乗り方でいいのだろうか。
「さあ、それじゃあやってみろ!」
「ええ、わかったわ」
ちょっと緊張するけど、大丈夫。モンスターよりは怖くないわ。
「よろしくね、お馬さん」
「ブルルル」
まずはそう言って頭をなでてあげる。
初めて会うんだし、怖くないアピールだ。
「にゃー」
(へん、俺の方が強いぞ)
「きゅー!」
(ボクの方がかわいいです!)
「ブルル」
今、ふたりが鼻で笑われた気がする。
「にゃー!」
(なに、やるかこいつ!)
「きゅー!」
(ふたりがかりに勝てると思ってるんですかー!)
「モエル、シャイン。一緒に乗る?」
「にゃー」
(んー、うん)
「きゅー」
(んー、はい)
私は両肩にモエルとシャインを乗せて、その状態で馬の背に乗った。
モエルは馬の尻に乗って馬の尻尾をいじっていて、シャインは馬の頭に乗って耳をピンと立たせている。
「にゃー」
(おー。こいつ、動くぞ)
「きゅー!」
(これ結構見通し良いです!)
「ふたりとも、大人しくしててね」
「にゃー」
(はーい)
「きゅー」
(はーい)
「よし、乗ったな。それじゃあ次だ。こうすると進め。こうしたら止まれだ。やってみろ」
「ええ」
私はグランデの手本通りに馬に指示した。
すると、面白いくらい素直に動いてくれた。
「この子、すごく良い子ね」
「ははは、すぐにできるじゃないか。それじゃあ次は、駆け足だ!」
グランデの馬が走り、私はそれについていく。
馬の上にいると結構緊張したが、しばらくするとどんどん楽しくなっていく。
今は夏で日差しは暑いが、風をきって進むと気持ち良い。
「そら、ジャンプ!」
「ヒヒーン!」
グランデは馬をジャンプさせたりもしていた。
その馬はとても迷惑そうだったけど。
私は、モエルとシャインも乗せているのでジャンプはしない。
「にゃー」
(こいつ、なかなか悪くねえじゃねえか)
「きゅー」
(結構良いやつですね。こいつ)
モエルとシャインも気に入ったようだ。
気がつくと私は、すっかり乗馬を楽しんでいた。




