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グランデ 10

 グランデが起きて、食事をして。

 それからはまた、駆け足での戦闘だった。

 グランデは2階のモンスターもたやすく蹴散らしていった。モンスターの種類は一階と変わらなかったけど、数が倍近く多かった。

 私ではすぐ引き返すレベルだ。それをグランデは、苦も無く倒して回る。

 そしてある時、グランデは行き止まりの場所まで来た。

 それだけだったらすぐ引き返すんだけど、そこには謎の箱が1つ置いてあった。

「お、宝箱だ」

 宝箱?

「宝箱って、つまり、このダンジョンのお宝?」

「ああ。まあ、全部が宝ってわけでもないけどな。たまに薬草とか、金が入ってる。ダメージがある時に薬草が出てくるとありがたいけどな。まあ、見つかるかどうかは運だが、その中身の良し悪しもまた運次第だ」

「そう言われると、宝箱は当たりってわけじゃないんだ」

「ああ。たまに宝箱自体に罠があったり、宝箱に擬態したモンスターだったりもするからな」

 そう言われると、私としてはためらってしまう。

「じゃあ、これはそのまま放っておく?」

「いや、開けよう。この宝箱からは嫌な感じがしない。そうだ、記念に中身を二リハにやるよ」

「え、いいの?」

「ああ。2階程度の宝箱なら、どんなに良くてもたかがしれてるしな。俺は問題ない」

「グランデがいいなら、いいけど」

 私も、宝がなんなのか気になるし。

「それじゃあ、二リハが開けるか?」

「いいえ、ここはグランデが開けて」

「ははは。臆病だな」

 グランデはそう言って笑って、宝箱を開けた。

 罠とかじゃ、ないみたいね。

「お、たぶん良い物だぞ」

「そうなの?」

「ああ、アクセサリーだ」

 グランデがそう言って首飾りを私に渡した。

「きれいね」

「そうか。気に入ったなら良かった。どんな効果かはわからないが、つけてみればどうだ?」

「そうね」

 きっと、悪いものじゃないだろう。

 私は首飾りを身に着けた。

「どうだ、なにか感じたか?」

「別になんともないけど、アクセサリーってそういうものなの?」

「たまにな。力が上がったり、モンスターの気配を察知できるようになったり。まあ、効果は本当にさまざまだ。冒険者ギルドで、アイテム鑑定もしてくれるはずだ。気になるならそこで効果を確認すればいい」

「わかったわ」

 どんな効果かわかれば、それだけ安心もできる。逆に使い道を知らないままでは、宝の持ち腐れになってしまうかもしれない。

 私は町に着いたら、すぐにこの首飾りを鑑定しようと決めた。

「グランデ、ありがとう」

「ああ、いいってことよ」

「ところで、鑑定っていくらくらいするのかしら」

「たしか、百シクルだったはずだ」

「高っ」

 その後はまたモンスター退治に戻って、私はダンジョンを走り回ってすっかり疲れた。

 そしてやがて、ある程度モンスターを倒したところで、グランデは立ち止まった。

「さて。このくらいだな。これで俺のマジックバッグは限界だ。もう町まで戻ろう」

「あ、そうなのね。じゃあ、帰りましょう」

「ああ。また一気に行くぞ」

「帰り道、わかるのね」

「ああ。一度通った道は忘れないようにしている。大丈夫、迷わないさ」

「わかった。じゃあ、前をお願い」

「ああ」

 その後何事もなく2階を後にして、ダンジョン一階でも数回モンスターとの戦闘をした後、私達は地上に戻ってきた。

「出れた。けど、やっぱり私の力じゃ一階すら攻略することはできなかったわね」

「最初はそんなもんさ。やっぱりダンジョンにマジックバッグは必須だな。また準備が整えば来るといい」

「ええ、そうするわ」

「それじゃあ、早く帰ろう。二リハ、まだ走れるか?」

「いえ、もう正直限界よ。帰りは歩いて。お願い」

「そうだな。食料もまだ残っているし、それでいいだろう。のんびり帰るのも悪くない」

「いつもは走って帰ってたの?」

「ああ。食料が尽きる頃に帰るからな。死活問題だ」

「よく食べるのも大変なのね」

「がはは。本当に大変なのは、何を食べていいか迷う時だけどな!」

「それは贅沢な悩みね」

 こうして、この後も危なげなく、私達はアラケルまで戻った。

 アラケルに着いたのはほぼ夜で、門がギリギリ閉まる直前だった。なんとか門番に待ってもらいながら、私達は無事アラケルの素材センターで別れた。


 帰ったら宿屋へ直行。武器防具の手入れをしてから、ごはんをもらい、その後清潔なベッドで眠る。

 やはりベッドがあるのと無いのとでは違う。今夜は安らかに眠れた。町にいられる時はこの幸せが身に染みる。

 そして朝、ごはんを食べたら、試しに銭湯に行ってみた。

 グランデと会う前に、体の汚れを落とせたらな。と思ったためだ。もちろんモエルとシャインもきれいになってもらう。

「にゃー!」

(二リハ、俺これ嫌い!)

「ダーメ。モエル、きれいになって」

「きゅー」

(体の臭いを消すのはサバイバルでは常識ですよ。先輩)

 これで私もモエルもシャインもピッカピカ。気分爽快だ。

 昨日のダンジョンで仕入れた討伐証明部位を売って懐もそれなりに温かいから、今日ぐらいはどんな遊びもできる。

 今日はグランデとおもいっきり遊ぼう。


 グランデとの待ち合わせ場所は、冒険社ギルドのバースペースだ。

 私はちょっと遅れたかもしれないと思いながら、心持ち急いで冒険社ギルドに入った。

 すると、扉を通った際に、中から出ようとした冒険者とぶつかりそうになった。

「あ、おっと」

 私は自然と彼、強面の冒険者を避けようとする。

 しかし、その冒険者はなぜか私の前に立ちはだかった。

「おっと、姉ちゃん美人じゃねえか」

「えっと」

「こんなところに何の用だ。せっかくだから俺が相手してやろうか?」

 冒険者がそう言って下卑た笑いをする。

 なんで今日に限って、こんな面倒なことが起こるのだろうか?

 もちろん、私はこんなやつにかまっている暇はない。

「いいえ、結構です。私には用があるので、これで」

「そんなこと言うなって。いいじゃねえか。少しくらい付き合えよ」

 こいつ、どうやって追い払おう。そう思った時のことだった。

「にゃあ?」

(ああん、こいつ、なんだ、燃やすか?)

「きゅー」

(ボクの仲間の二リハにちょっかい出すなら、後悔しますよ)

 なんと、モエルとシャインが間に入ってくれた。

 ありがとう、ふたりとも。でも、ふたりじゃ可愛すぎて威圧感全然無いから、やっぱり私がなんとかするわ。

 と思った時のことだった。

「え、んな、こいつら、もしかして、癒やしの二リハの、連れのモンスター?」

 冒険者のつれがそう言ってうろたえた。

 癒やしの二リハ?

「へ? 癒やしの二リハって、あの、5ランクモンスターも倒す実力があるっていう、癒し系モンスターをつれた、癒やしの二リハ、さん?」

 冒険者がそう言ってきょとんとした目で私を見る。

 癒やしの二リハさんって、私、いつの間にそんな風に呼ばれてたの?

 そう思った時、冒険者の肩がぐいと引かれた。

「おい」

「んだ、なにするてめえ、ひいっ、大食漢のグランデさん!」

 あ、グランデにも変な通り名があった。

 というか、グランデが私を助けにきてくれた。



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