グランデ 8
ジャンピングモンキーとランブルバタフライは倒したばかりだけど、ブデリンは初遭遇だ。こいつも無事に倒せたらいいんだけど。
私が戸惑っている内に、ジャイアントバタフライが暴風を起こす。同時にジャンピングモンキーがこちらにジャンプしてきた。
「にゃー!」
(うわー!)
「きゅー!」
(またふっとばされるー!)
モエルとシャインはまたしても翻弄されている。私は魔法の盾で風をやり過ごしたけど、代わりにジャンピングモンキーが襲ってきた。
「ウキー!」
「ハードガード、ツヴァイブレード!」
とっさに攻撃を防ぐ。同時に反撃。
攻防どちらも上手くいったけど、ジャンピングモンキーは更に攻撃を続ける。加えてランブルバタフライとブデリンも近づいてきた。
これはちょっと形勢が悪い。
仕方なく、ジャンピングモンキーの攻撃を防ぎつつ下がる。私1人だけならこの3体には勝てないけど、今はモエルもシャインもいる。グランデもいる。少ししのいでいれば、きっとチャンスがくる!
「にゃー!」
(二リハ、火魔法!)
すぐにモエルの援護が飛んできた。火魔法がブデリンに当たる。
ここで私も、攻めてみるべきか。
「パワーアップ、ゲイザースラッシュ!」
ジャンピングモンキーの胸に良い一撃が入る。これでジャンピングモンキーが倒れた。
けど代わりに、ランブルバタフライの体当たりをまともに受けてしまった。
「うっ」
幸い斬られたりしていないので、あるのは衝撃だけだ。けど、それだけでもかなり効く。体がふきとばされる。
よろめいて、立て続けに体当たりをしかけられた。おかげでその場に倒れてしまう。
ランブルバタフライはそのまま私におおいかぶさると、そのやけに大きな目で私を見つめてきた。
「にゃー!」
(火魔法!)
そのランブルバタフライの口が伸ばされる瞬間、モエルの炎が相手の身を燃やした。今回の口も私の顔からはずれ、空を切り裂く。
私はとっさに転がりつつ立ち上がる。見るとランブルバタフライは、その場で踊りつつ、ゆっくり落下すし、倒れるところだった。
けどそんなことは関係なしにと、今度はブデリンが近づいてくる。
長い鼻、まるまる太った体、青黒い肌。片手ずつに剣を持っている。人型のモンスター。
そいつが私を見下ろしつつ、両手の剣で切りつけてきた。
私はとっさに盾と剣で受ける。それがいけなかった。
相手の力に押され、私の体がよろめく。その隙を狙って、ブデリンが更に攻撃してきた。
私はそれを、まともに受ける。
切りつけられたのは腕と腹。私の鎧が半ば切り裂かれながらも、ギリギリのところで止めてくれる。
私はそれに内心底冷えしつつ、同時に反撃を試みた。
「ツヴァイブレード!」
私の剣がブデリンの肌を切り裂く。けれど、それは浅かった。
ブデリンは私の攻撃なんかに構いもせず、容赦なく剣を振るい続ける。
「ハードガード、パワースラッシュ!」
今度はなんとか技で受ける。おかげで押されはしなかったが、それだけだった。
ブデリンの攻撃をしのぐので精一杯。そして、それは長くは続かない。
「にゃー!」
(火魔法!)
そんな時、モエルが火魔法を放ってくれた。
爆発のような炎がブデリンを包み込む。ブデリンはそれで動きを止め、悶え苦しんだ。
私は火から離れるように、ブデリンから離れる。
なんとか助かった。けれど、これでどうにかなった。
そう思いながら眼の前の光景を見ていると、ブデリンはなかなか倒れなかった。
「ブフー!」
そして、ブデリンが一鳴きすると、その身を燃やす炎が、だんだんと消えていく。
「嘘、でしょ」
結局ブデリンは、まだ息を残して立っていた。全身黒焦げながらも、両手に剣を握りしめている。
「ブフウー!」
そしてブデリンは、ここでモエルを見た。
「にゃあ!」
(く、やるか!)
モエルが身構える中、ブデリンがモエルへと走り出す。
それを見ていた私は、思わず走り出した!
「モエル!」
私の攻撃は、効くかどうかわからない。モエルの魔法も、受けきられてしまった。
それでも、まだ戦わないと、今私がここにいる意味がない!
戦いの基本は、ジュージから教えてもらった。
考える暇があったら、攻撃しろ!
「ゲイザースラッシュ!」
私もブデリンめがけて走り、全力の攻撃をした。
ブデリンは当然それに気づき、剣を振って抵抗する。
私はその剣を盾でそらし、全力で相手の首を切り裂いた。
私の剣が、ブデリンの首を半ばまで断ち切る。
そこで、ブデリンは倒れた。
「はあ、はあ、はあ」
どうにか、倒せた。
「にゃー!」
(二リハ、やったあ!)
「きゅー!」
(ま、まだです、二リハ、危ない!)
「え?」
思わずふたりを見ようとしたその時、視界の端に傷だらけのジャンピングモンキーが私にとびかかってくるのが見えた。
そのジャンピングモンキーが、私の後ろから伸びてきた剣に貫かれ、事切れる。
「ったく。最後に気を抜きすぎだぜ。二リハ」
「グランデ」
助けて、くれたんだ。
「ランブルバタフライは麻痺毒の一撃が怖い。ブデリンはその防御力が厄介だ。だがジャンピングモンキーは、どれだけ傷ついても襲ってくる凶暴性がある。4ランクモンスターは、どれもこれも簡単じゃないぜ。最後まで気を引き締めな」
「うん。ありがと、グランデ」
どうやら、最後にグランデに助けられてしまったようだ。
「守ってくれて、本当にありがとう。助けられちゃった」
「ああ。まあ、なんだ。あともう少しって、ところだったな」
グランデはそう言って、ニッと笑った。
やっぱり私、装備をほとんど整えてもまだまだなんだなあ。
「にゃー!」
(二リハ、危なかったな!)
「きゅー!」
(気をつけてください、二リハ!)
モエルとシャインが寄ってくる。
私はしゃがんでふたりをなでた。
「ごめんなさい、ふたりとも。心配させたわね」
「にゃー」
(まったくだぜ)
「きゅー」
(ちゃんとしっかりしてくださいよ。怪我は治せても、痛いんですから)
「うん。次は大丈夫」
だって大丈夫にならないと、この先も旅を続けられないもの。
「さて、それじゃあこいつらからも討伐証明部位を切り取るか。と思ったが、次の客が来たようだぜ」
グランデの言葉を聞いて周囲を見てみると、この四角い空間には通路が3つつながっており、その内の2つから新たなモンスターがやって来ていた。
これがダンジョン。本当に、危険が詰まった場所だ。
「グランデ。もう私達に戦う力は残ってないわ」
私も今日は、技をかなり使った。
それにそもそも、このランクのモンスターが相手だと一対一でしか戦えない。
「わかった。それじゃあ後は俺の番だな」
グランデはそう言って、剣を構えて前に出る。
「それじゃあそこから見てろ、二リハ、ちび共。これが6ランクの戦いだ」
そう言った直後、新たに現れたモンスター達がグランデに襲いかかった。




