グランデ 3
その後、ファイアグラスを少し倒しつつ、アラケルに戻ってきた。
まずはグランデと一緒に素材センターで換金。
そしてグランデの持ち帰った素材、というより倒したモンスターの数は、大量だった。
グランデはマジックバッグから20体程の倒したモンスターを出したのだ。しかも皆大きい。
「これを換金してくれ。ああ、全部依頼の、北のダンジョンで倒したモンスターだ。これが依頼書」
「ああ、わかった」
「換金に何時までかかる?」
「明日の昼には終わらせておく。少し値はおさえるが、即換金ならすぐ出せるが?」
「俺は待ってもいいが、二リハ、どうする?」
「え、私?」
ちょっとグランデが倒したモンスターを見て唖然としていると、突然話をふられた。
「ああ。この素材の7割が二リハのものだからな。即換金と通常換金、どっちでも選んでいいぞ」
「あの。まず、即換金って?」
「二リハがさっきやってただろう。すぐに換金することだ。ああ、二リハはモンスターをまるまる持ち帰ったことがないか。討伐証明部位だけじゃなく、モンスターごと持ち帰った場合、その倒したモンスターの決まった引き取り値で換金する即換金と、素材センターで解体してもらった素材分の金をもらう通常換金とを選べるんだ」
「それは、即換金の方が素材が受け取れるんだから良いんじゃないの?」
「最初はそう思うかもしれないが、倒したモンスターにレア素材が入っていたり、倒した状態が良かったりすると、即換金より多く報酬が受け取れる場合があるんだ。まあ、逆に傷だらけだったりすると即換金の値段以下になることもあるが、俺の倒したやつはどれもきれいに倒せているから、通常換金の方が多くもらえるぞ。まあ、その分明日まで待たないといけないがな」
グランデがそう言って笑う。
なら私は、即断即決だ。
ちょっと待つだけで多くお金がもらえるんなら、明日の昼まで待つべきだ。
「それじゃあ、通常換金でいいかしら?」
「ああ、わかった。というわけで、明日金を取りに来る」
「ああ、わかった」
「それじゃあ二リハも、明日の昼またここで合流だ。いいか?」
「ええ、いいわ。それじゃあまたね、グランデ」
「ああ。今日はありがとう、二リハ」
こうして私は、一度グランデと別れた。
そして、その後ミトスでモエル、シャインと豪華な食事をしている時に思う。
ここでグランデと会えなくなって、お礼のお金をもらえなかったら、私、ちょっともったいなすぎないか?
あの時素材センターで即換金を選んでおけば、お金もすぐにもらえたはずで、少なくとも今こうして不安になることもなかったかも。
「お金に目がくらんでしまったか」
「にゃー」
(ウマウマ)
「きゅー」
(お野菜美味しいですー)
まあ、そもそもお礼のお金なんだから、あてにしすぎても仕方ないか。
私は期待半分といった感じで、明日グランデを待つことにした。
翌日。昼までゆっくりしてから素材センターに行くと、既にグランデが待っていた。
「よう。二リハ。どうやらもう換金は終わったようだぞ」
「こんにちは、グランデ。それじゃあ、ありがたくいただくわ」
「ああ。遠慮せず持っていけ」
こうして、昨日から感じていた不安はすぐに消え、私はグランデから21万シクルもらった。
それからは、予定通り明日一緒にダンジョンに行くということになって、私は午後から出発の準備にとりかかった。
まず最初に見るのは、グランデに指摘された、装備だ。
私は前回盾を見た防具屋に立ち寄った。
「いらっしゃい。おお、お前か。どうだ、魔法の盾を買う気になったか?」
「ええ、買うわ。運良くお金がたまったの」
「おお、そうか。それじゃあすぐに盾を持ってくるぜ」
「ええ。でもその前に、兜と、靴と、アクセサリーにも興味があって。先にそれを見せてもらってもいいかしら?」
「ああ、いいぜ」
私はまず、兜を見せてもらった。
「これは羽つき帽兜。女性に人気の兜だ。帽子型で、おしゃれだ。もちろん軽くて丈夫。それに魔法効果もある」
「どんな効果?」
「うちにあるのは3種類だな。速度強化に、攻撃力強化、疲労回復。ああ、先に言っておくが、他の装備で同じ魔法の効果を上乗せすることはできないぞ。速度強化を2つつけても、同じ魔法がかかっているんだから、1回分だ。そこは注意しろよ」
「そうなの。ありがとう。値段は?」
「6万シクルだ」
「結構高いのね」
「さっきも言ったが、見た目の良さも重視されてるんだ。その分価値が高くなってる。まあ、素材も良いものを使ってるが」
「買えないこともないけど、これから剣も買うことになってるから。もっと安いのはない?」
「それだとランクが下がるぞ」
私は他に靴、アクセサリーも見せてもらってから、結局魔法の盾だけを買った。
どれも良さそうなものを紹介してもらったんだけど、総じて値段が高い。結局、剣を買ってから判断することに決めたのだ。
「あ、そうだ。防具屋さん。どこか良い武器屋を知らない?」
「俺はクウザだ。武器屋なら、ハウンゼンってところが良いぞ。お客さんは剣を使うんだろ。剣ならハウンゼンだ」
「ありがとう。それじゃあ、詳しい場所を教えて」
「ああ。そこでも買ってやってくれ」
私は防具屋を出て、武器屋ハウンゼンに向かった。
盾は結構かかったけど、剣はいくらくらいするのかしら?
たぶん、同じくらいか、それ以上するわよね。武器だし。
「ここが武器屋ハウンゼンね」
そこには見事なまでにいろんな剣が置いてあった。
私が使えそうな片手剣も充実している。ここならたしかに良い剣がありそう。
「いらっしゃい」
「こんにちは。剣を買いに来ました」
「ああそうですか! どうぞごゆっくり御覧ください!」
「いえ。私、こういうものの目利きはちょっとわからなくて。よければあなたに選んで欲しいんです」
「そうですか! では、どのような剣がご入用でしょう!」
「えっと、そうですね」
「見たところあなたの剣は片手剣ですね。手頃そうだが頑丈にできている。きっと腕の良い職人が打ったのでしょう。まだ新しいようですが、かなり使い込まれている。どうやらよっぽど激しい戦いをいくつもくぐり抜けてきたようですね!」
「え、あ、はい」
「ですが剣の状態は良さそうだ。あ、俺柄を見ただけで剣の状態がある程度わかるんですよ。柄は剣の顔でしてね。顔を見たらその人のことをなんとなくわかるような気がするでしょう? 俺もそうなんです!」
「あ、は、はい」
「剣を見る限り、3ランクのモンスターとやりあったでしょう。かなり激しい使い方をしていますね。だがそれでいて丁寧だ。こんな剣士がいてくれるのは本当うれしいです。やっぱり剣を大事に使ってくれる剣士は好きですから!」
「あ、あの、はい。ですから」
「ちょっとまっててください。今何本か持ってきます。今のあなたに合うピッタリの剣がうちにありますよ!」
「あ、はい。よろしくお願いします」
なんだか、よく喋る武器屋さんだ。正直、気圧される。
武器屋さんが店の奥に引っ込むと、ほっと息を落ち着けた。たぶん、悪い人じゃないと思うんだけど。
しかし、武器屋さんが再び戻ってくると、私はまた喋り続けられていて、気がついたら剣を1本買っていた。
値段はそれなりだったけど、たぶん、良い剣だと思う。
「まいどありがとうございましたー!」
武器屋さんの元気な声を聞きながら、武器屋を後にする。
「にゃー」
(なんかあいつ鬱陶しかった)
「きゅー」
(ちょっと怖かったですねー)
「けど、悪い人じゃないわよ。きっと」
それより、押され気味に買った剣が思いのほかお手頃だったので、防具をもう1つくらい買い替えられそうだ。
明日から4ランクモンスターがはびこるダンジョンに挑むのだから、やっぱり装備は最善の状態にしておこう。
私はもう一度、防具屋に向かった。




