イハサク 3
私達は必死に走る。
ひとまず、イハサクが落ちてくるまでは走り続けないと!
「にゃー!」
(二リハ、あいつこっちに来る!)
「きゅー!」
(ちょっとまずいかもしれないです!)
確かに、イハサクはしっかりとこちらへ向かって落下している気がする。
いけない、なんとかしないと!
「モエル、シャイン、一度離れて!」
そう言って、私はふたりから離れて走った。
せめて、ふたりは確実に回避しないと!
そう思って走ると、どうやらイハサクは私に向かって落ちてくるようだった。そして、衝突までもうあまり時間はない。
モエルとシャインはもう十分に離れている。これならふたりは大丈夫か。
後は、私だけだ!
「サポートガード!」
私はここで、方向転換。モエルの方へ走った。
加速して、なんとかイハサクの攻撃から逃れる。すると、かろうじてイハサクを避け、落ちてきた衝撃の余波を背中で感じることができた。
イハサク落下の衝撃で、風が一気に押し寄せる。すごい威力だ。こんなの盾を使っても受けきれない。
でも、なんとか回避できた。このまま逃げ切れるか?
「にゃー!」
(今がチャンスだー!)
ここで、モエルがイハサクにとびかかった。
だからモエル、逃げてー!
「モエル、だめ!」
「にゃー!」
(すっごく強い、火魔法ー!)
私が止める中、モエルはイハサクの至近距離で火魔法を使った。
その火は、とてつもなく大きい。まるで爆発だ。
魔法の衝撃で、こちらに熱い風がくる。すごい。これは、フェスティバルプラントにも使った魔法?
「きゅー!」
(先輩、やりましたよ!)
シャインの言う通り、イハサクは激しく燃えていた。
燃える葉っぱをいくら飛ばしても、点いた火からは逃れられない。やがて、イハサクは燃えながら逃げ出した。
「お、追わないと!」
私はチャンスを逃さず、イハサクを追う。けれど、近づいて、ふと思う。
イハサクは今、激しく燃えている。今私が近づくのは、危なすぎないか?
わざわざ火傷する必要はない。倒せるかどうかもわかってないし。ここはこのままモエルに倒してもらおうか。
「モエル、とどめ、刺せる?」
「にゃー!」
(いける、火魔法!)
今度は普通の火魔法。
これで、イハサクは動かなくなった。
イハサクが燃え尽きるのを待つ。
私は手も足も出なかったけど、モエルは4ランクモンスターとも戦えた。
今後もモエルに頼りっきりになるかもしれないけど、このまま4ランクモンスターと戦っても、いいかなあ。
私は後から強くなっていこう。4ランクモンスターに挑み続ける方が、良い気がするのよね。
「そろそろ火が燃え尽きるわね」
「にゃー」
(ふっ。なかなか手応えがあったぜ)
「きゅー!」
(マジすごいですよ、先輩!)
「にゃあー」
(まあな)
「モエル、今回も本当にありがとう。おかげで助かったわ」
「にゃー!」
(帰ったらまた美味い肉食わせて!)
「わかったわ。考えとく」
まあ、今回は大手柄だ。それくらいのご褒美は出してもいいだろう。
「イハサクの核は、熱い、けど、焦げてはないわね。なんか、食べ頃って感じ?」
「きゅー!」
(食べていいんですかー!)
「これはだめよ。素材センターで売るから。核じゃない、外の葉っぱなら良いわよ」
「きゅー!」
(それじゃあいただきまーす!)
「にゃあ」
(俺はいいや)
私とモエルは、少しの間シャインがイハサクの葉っぱを食べるのを見ていた。
「きゅー」
(もぐもぐ。この葉っぱ固くてあまり美味しくないです。もういいや)
「あらそう。それじゃあ行きましょう」
「にゃー!」
(肉ー!)
「そうね。またミトスに行きましょう」
「きゅー!」
(ボクもそっち早く食べたいですー!)
「そうね。私も、たまには肉料理にしようかな」
野菜は、今、倒したから。多少罪悪感がある気がする。
「きゅーきゅー」
(二リハ、人の臭いがしますよ)
「にゃー」
(そいつも討伐証明部位とっとくか?)
少し歩くと、モエルとシャインがそんなことを言い出した。
「人の臭い?」
周囲を軽く見回すが、人の姿はない。
「モエル、シャイン。その臭いは近いの?」
「きゅー!」
(近いですよ!)
「にゃー」
(こっちだ)
近いなら、気になる。どこかに潜んでいるということ?
危険なのかな。だったら逆に、避けた方が良いかも。
「きゅー」
(こいつです)
と思ったら、もうシャインがその人物を見つけていた。
「にゃー?」
(こいつ、どこが売れるんだ?)
「もう、モエル。変なこと言わないで」
見つけたなら仕方ない。一応確認はしよう。
そう思って確かめると、草原の上で人が倒れていた。
「え?」
草原の上に、人が倒れている?
「あ、あのお。大丈夫です、か?」
返事はない。
いや、ちょっとまって。これって、大変じゃない?
ぐうううー。
その時、倒れている人からそんな音が聞こえた。
これは、お腹の鳴る音?




