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集団依頼 4

「何してるの、あなた達!」

 私は思わず叫んだ。

「いや、だって、見ただろ、今の攻撃を。あんなの受けきれるわけがない」

 優美なる勇姿の魔法使いがそう言う。

 私は怒りのあまり、頭の中が真っ白になった。

「戦え、臆病者!」

 気がつくと、叫ぶ。

「冒険者なら、戦って死になさい! 逃げるなら、皆でよ。それができなきゃ、今ここにいる意味がない!」

 私はそう言うと、断壁へと走った。

 断壁は今、盾使い2人が倒され、魔法使い2人にもツルの攻撃が通っているところだった。これはまずい。早く加勢しなきゃ!

「サポートガード!」

 魔法使いをターゲットにして、必死に走る。

「きゅー!」

(ボクも行きますよ!)

 シャインは再び肩へ。お願いシャイン、今こそあなたの力が必要よ。

「シャイン、断壁の皆を回復して!」

「きゅー!」

(わっかりました!)

 私は次の攻撃までに、なんとか間に合う。私とシャインだけじゃ力不足だけど、それでも力になりたい!


 そう思った時、フェスティバルプラントの体に大きな炎がぶつけられた。


 それで、相手の攻撃が止まった。

 今だ、この隙に断壁を立て直す!

「きゅー!」

(回復魔法、回復魔法!)

 シャインが断壁達に回復魔法をかけていく。

「ありがとう」

「痛みがひいていく」

 良かった、彼らはまだ大丈夫だ。

「い、今のうちなら攻撃できる!」

「や、やるぞ。この隙を見逃すな!」

 優美なる勇姿達も前に出る。

 良かった。私達はまだ戦える。まだ負けてない。

 でも、さっきの火は、一体誰が?

 炎が見えた位置は、私達の方だった気がするけど。

 そう思った時、私は1つの不安を抱いた。


「モエル!」


 モエルは今、私の近くにはいない。フェスティバルプラントに近づいていったきりだ。

 ひょっとして、今のはモエルが?

 そう思った直後、再びフェスティバルプラントの近くで大きな炎が上がった。

 私はそこへ、急いでダッシュする。

「サポートガード!」

 姿は見えていないけど、モエルの方に行くと思うと私の足が加速した。

 早く、モエルの元へ!

 フェスティバルプラントは、魔法攻撃を与えた相手に攻撃を集中させる傾向があった。

 だとするならば、フェスティバルプラントの動きを止める程の炎をとばしたモエルは、かなり相手から怒りを向けられているはずだ。

 案の定、フェスティバルプラントのほぼ全てのツルが、私が向かっている先へと向伸びた。

「モエル、逃げて!」

 私じゃ間に合わない。百近いツルが地面を叩く。

「にゃあー!」

(うわー!)

 すると、そこからモエルがとばされてきた。

「モエルー!」

「きゅー!」

(先輩ー!)

 私はなんとかモエルをキャッチする。

 でもその後すぐに、百近くのツルが私に向けて振られた。

 いや、これは私を狙っているんじゃない。モエルを、私の大事な仲間を狙っているんだ。

 させない。こんなやつに、モエルをやらせはしない!

 私はとっさにモエルとシャインをだきしめて、かばった。

 次の瞬間、息が詰まる程の強い衝撃が、何度も体のあちこちを襲った。

 およそ百回分の、ツル攻撃が私を打つ。私はふきとばされ、転がり、痛みに耐えた。

「にゃー!」

(ニリハ!)

「きゅー!」

(回復魔法!)

 幸いシャインのおかげで、痛みは和らぐ。けど、なんとか立てるか?

 震える体を叱咤して、時間をかけて立ち上がる。そして、フェスティバルプラントを見る。

 フェスティバルプラントは、また私に向けて多くのツルを振り上げた。

 この攻撃は、盾で防ぐことも、避けることもできないだろう。

 けれど、気持ちだけは、負けない!

 私は勇気を奮い立たせて、フェスティバルプラントを睨んだ。

 すると、フェスティバルプラントに数十の魔法がとんでいった。

 火が、風が、石が、水が、フェスティバルプラントを傷つける。

 今、魔法使いの皆が果敢に攻撃してくれてるんだ。

 すると、フェスティバルプラントは再びひるんだ。

「何をしてる、ニリハ!」

「戻ってこい、守ってやる!」

 振り返ると、断壁達がこっちへ近づいていた。魔法使いは、魔法を撃ちながら。

「二リハ、今こそ5ランクの槍さばき、見せてやる!」

「良いところ無しでは終われないからな!」

 優美なる勇姿達も、魔法使いを守りながら接近している。

「うん!」

 これなら、いける。フェスティバルプラントに、勝てる!

 そう思った直後、フェスティバルプラントのツルがようやく私に向けて振られた。

 私はまだまだ力不足だけど、他にも仲間がいる今なら!

 この戦い、絶対勝てる!

「サポートガード!」

 私はドッダに狙いをつけて、走った。

 どうやら少しでも守る気があれば、サポートガードは使えるらしい。

 私は加速しながら、フェスティバルプラントのツル攻撃を避けた。

 走って、避けて、後ろを見て、また避けて。

「にゃー!」

(ニリハ!)

「きゅー!」

(頑張れ!)

「うん!」

 奇跡的に、ツル攻撃を全て避けきり、ドッダの元まで戻る。

「二リハ、よくやった!」

「ううん、私はやってない、何も!」

「謙遜するな、この流れはカジーニャが作った!」

 そう言っている間にも、各方位から魔法使いが魔法を放ち続ける。

 よく見ると、フェスティバルプラントのツルの動きが弱々しくなってきている気がする。

 けれどフェスティバルプラントは、まだツルを振ってきた。

 また私達に向かって、百近い数が迫ってくる。

「後は任せろ!」

「ここが腕の見せ所だ!」

 ドッダ達と優美なる勇姿達が前に出た。

「アブソリュートガード!」

「ハンドレッドエッジ!」

 彼らの技が、全てのツルを防ぎきった。

「すごい」

 私はその光景を後ろから見て、素直にそう思った。

「やった、初めてできた!」

「ぐ、これ以上は、もたないぞ!」

 まあ、かっこよかったのはそこまでだったけど。

「ならこれで仕留める、火魔法!」

「石魔法!」

 魔法使い達が気合いを入れて魔法を放った。

 するとそこでちょうど、全てのフェスティバルプラントのツルが力なく落ちた。

 こうして、敵の攻撃が完全に止まる。

 ここで、笛の音が鳴った。

「やったの?」

「ああ、やったんだ。俺たちが、フェスティバルプラントを倒した」

 私の問いに、ドッダが答えた。

 こうして、私の初の集団依頼は成功した。


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