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集団依頼 3

 ある程度の距離まで近づいてみると、フェスティバルプラントは大きな花だということがわかった。

 赤茶色い壁みたいな体の上に、赤と黄色の大きな花びらが屋根のように広がっている。見た目はそれだけ。いたってシンプル。扉がどこかにあれば完全に大きな建物だ。

 いや、フェスティバルプラントはわずかに動いて移動している。ここからでは見えないが、下に足でもあるんだろうか?

「ここからは全員待機。準備が整いしだい、全員でフェスティバルプラントを攻撃する」

 ジンク指揮官がそう言った。

「作戦通り、魔法使いが攻撃。戦士達は魔法使いの守りに専念。相手の攻撃手段、ツルには気をつけろよ。油断すると痛い目にあうぞ」

「手はずはわかってるんだ。手こずることはないさ」

 優美なる勇姿の1人がそう言った。彼らは空気が緩んでる気がする。

 けど、私が言っても、聞いてくれないわよね。きっと。

「断壁の方々も、傷ついたら回復してさしあげます。遠慮せず声をかけてください」

「わかった」

「4ランクは、ご勝手にどうぞ」

「ええ、私達にもシャインがいるから、回復はできるわ」

「きゅーっ」

(お任せくださいっ)

「ふん」

 本当に愛想のない人たちだ。まあ、強ければそこもある程度は気にしないが。

 しばらくすると、この一帯に2回、笛の音が鳴った。

「作戦開始の合図です。皆さん、攻撃開始!」

「ようやく出番だぜ」

 ジンク指揮官の指示を受けて、優美なる勇姿達が一斉に走る。断壁も続いた。

 私もいこう。

「あれを倒すよ、モエル、シャイン!」

「にゃー!」

(あれか、大きいな。腕がなるぜ!)

「きゅー!」

(無理そうだったら大人しく逃げましょうねー!)

 シャインは弱気である。でも退くのもまた勇気。状況判断は正確にしなければ。

 ある程度まで近づくと、フェスティバルプラントに反応があった。

 花の上から、一度に大量のツルを伸ばしてきたのだ。

 その数、百はありそう?

 少し異様すぎて、現実感があまりない。

「敵が動いたぞ!」

「攻撃できるか?」

「無理だ、遠すぎる。もっと近づかせてくれ!」

「ここからじゃ威力が半減する!」

「こっちも同じです!」

 どうやら断壁と優美なる勇姿の魔法使い達は、同じ意見らしい。

「モエル、ここから狙える?」

「にゃー!」

(やってみる、火魔法!)

 モエルがここから魔法を放った。

 火魔法は小さくなって飛んでいく。そしてフェスティバルプラントに当たったが、効果は無かった。

「やっぱりここからじゃ効かないな」

「カジーニャの火力で計っても意味ないがな」

 優美なる勇姿のやつらがそう言う。

 けれどそうしている間に、フェスティバルプラントから無数のツルがこちらに向かって伸びてきた。

「プライドガード!」

 私やドッダ達は盾技を使い、防御の準備をする。

 こちらの前衛は5人。そこに十本程度のツルがとんできた。

「きゅー!」

(こっちも見ろー!)

 あ、シャインも前に出てくれている。前衛はこれでプラス1だ。

 ツルは速かったが、既に見えていたので、防御は簡単だった。けれど、攻撃力が高い。

 衝撃で体が吹き飛びそうになる。それをなんとかこらえた。

「この程度なら、なんとかなるか!」

「1、2本程度ならなっ」

 ドッダ達は大丈夫そうだ。

「パワーランス!」

「おら、くらえ!」

 優美なる勇姿の2人も槍でさばいている。私も負けてられない。

「モエル、もっと近づいて、強い魔法を当てて。私達が、そこまでつれてくから!」

「にゃー!」

(わかった!)

 モエルがそう言ってフェスティバルプラントへと全力疾走する。

 でも、その速度は速すぎだ。私がついていけない。

「ああ、待って!」

「きゅー!」

(ニリハ、次がくる!)

 くっ、ツルの一本が私を狙っていて、上手く前に出れない!

「前衛、もっと前へ進め。もう少し近づいたら攻撃する!」

「わかった!」

 断壁と優美なる勇姿の2パーティは私を置いて先に進む。

 くっ、私はここでは、足手まといか!

 それでも、シャインと共にツルの1本ずつを相手することはできている。その分魔法使い達への攻撃は減らせているはずだ。

 多少は役に立っていると信じたい。

「ぐ、ぐあ!」

「ぎゃああ!」

 まあ、それでも魔法使いへの攻撃は0ではないけど。

 今、優美なる勇姿の魔法使いと回復魔法使いがやられた。断壁の方の2人は、守られ慣れてるのか、被弾0のまま進む。

 そして、他の部隊では既に魔法使い達の攻撃が始まっていた。

 それを機に、フェスティバルプラントの攻撃が少し緩む。これはチャンスだ。今の内に、私も前に進む!

「シャイン、行くよ!」

「きゅー!」

(はい!)

 勇気を出してダッシュする。大丈夫、今なら再合流できる!

「よし、ここからならいける。火魔法!」

「石魔法!」

 ここから断壁の魔法攻撃が始まった。

 大きな火と尖った石がフェスティバルプラントへと飛んでいく。それは確かに当たり、更に立て続けに魔法を放ち続けた。

 すると、フェスティバルプラントのツルの動きが、激しくうねり始めた。

 そして、急に断壁へのツル攻撃が集中し始める。

 1本や2本だけじゃない。10数本のツルが、魔法使い2人を狙って迫る!

「くっ、ハードガード!」

「ハードガード!」

 ドッダ達はその場に踏みとどまるが、到底2人だけじゃ防ぎきれない。

 せめて、私もあそこに行かなきゃ!

「サポートガード!」

 私はドッダをターゲットにして、サポートガードを使った。

 急速に足が速くなり、一気に残りわずかの距離を走り切る。

「きゅー!」

(ボクもつれてってください!)

 その際シャインが私の肩に器用に乗り、私達はなんとかツルの攻撃に間に合った。

「ハードガード!」

 私はツル攻撃3本を止める。

 しかし小さな盾では1本しか防御できず、体にその衝撃を受け、ふきとんだ。

「きゃああ!」

 地面に倒れる。けれどすぐに立ち上がる。幸い痛みは少ない。新しい防具のおかげか。

「きゅー!」

(回復魔法!)

 更にシャインの魔法で、すぐに痛みは引いた。これならすぐに戦える。

 見ると幸い、ドッダ達はツル攻撃に耐えていた。けれど、再びツルが迫る。

 私では次の攻撃に間に合わない。でも、そうだ。ここには優美なる勇姿の槍使いが2人いる!

 私はとっさに彼らを頼りにして、優美なる勇姿の姿を探した。

 すると彼らは、私の少し後ろで立ち止まっていた。


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