集団依頼 2
私はドッダと他愛もない話をする。
私は今まで通り、シイドと出会った話から順に。ドッダは自分のパーティの戦術から、倒したモンスターのことまで話してくれた。
「へえ。ドッダのパーティは魔法使いが2人いるのね」
「ああ。俺ともう1人の盾使いが守って、後衛の魔法使い2人が攻撃する。結構強いぜ。魔法の威力が強すぎて倒したモンスターの素材が上手くさばけない時もあるがな」
「ええ、それはわかるわ。うちのモエルが燃やしたモンスターも、上手く換金できない時があるの。魔法自体は頼りになるんだけどね」
「だが、おかげで俺たちはもう5ランクだ。モンスターごとに有利不利はあるが、今回のフェスティバルプラント戦では結構活躍できるぜ」
「そう。なら、頼もしいわ。無事倒せたらいいわね」
「ああ。しかし、二リハが4ランクだというのも驚いたな。てっきり3ランクくらいだと思った。カジーニャと癒やしラビットをつれてるしな」
「この子達も、もう見た目以上に強いわよ。あなた達程じゃないけど、それでも十分活躍はするつもり」
「なるほど、自信はあるっていうことだな」
しばらく話をしていると、この部屋に冒険者がどんどん集まっていった。
そして、話をしている途中で更に1パーティが寄ってきて、私に声をかけてくる。
「ごきげんよう。君たちもフェスティバルプラントをやるんだね」
そう言ったのは、槍使いの青年だった。
「ええ。よろしく」
「ああ、もちろんだとも」
「にゃー!」
(お前も近寄るな!)
「きゅー」
(でも先輩、二リハがお行儀よくしてろって言ってましたよ)
「ん? なんだこいつらは」
剣士がモエルとシャインを見て、怪訝な顔をする。
「この子達はモエルとシャイン。私の仲間よ」
「は? こんなちっこいやつらが?」
青年は爽やかな態度を一変させ、途端に意地悪な顔になって私を見た。
「お前、5ランクじゃないのかよ」
「私は4ランクよ」
「はっ。4ランクか。本当か?」
「そういうお前たちは、たしか、優美なる勇姿だな」
ダッドがそう言う。
「ほう、俺たちのことを知っていたか。少しは上のランクを敬う気持ちがあるんだな」
「一応言っておくが、俺も5ランクだ。断壁のダッド、よろしくな」
ダッドがそう言うと、青年は態度を少しは和らげた。
「ほう、そうだったか。それはすまない。4ランク程度と話をしていたから、つい勘違いしてしまった。しかし、なぜダッドはこんなやつと話をしているんだ?」
「こんなやつ呼ばわりはないでしょ」
なんとも失礼なやつである。
「大体、ここに集まった冒険者は全員でフェスティバルプラントと戦うんでしょ。だったら協力し合うのが普通じゃないの?」
「はっ。低ランクが言うじゃないか。言っておくが、戦いの要はほとんどが俺達みたいな高ランクになる。低ランクは怪我をしないように気をつけるのが精一杯だろうよ」
「そうかもしれないけど、だからといってあなた達だけで勝てるわけじゃないでしょ。集団依頼なんだもの。連携は大事なはずよ」
「ふんっ。口だけは達者だな。鎧にリーリスの素材を使っていたから腕が立つのかと思ったが、どうやら見掛け倒しのようだ」
青年はそう言って仲間たちを見た。
「いこう、皆」
「そうだな」
「無駄な時間だったな」
「たまにいるんだ、ああいうやつが」
優美なる勇姿達はそう言いながら、私達から離れる。
「せいぜい足を引っ張るなよ、4ランク」
最後にそう言い残して。
「何なの、あいつら」
「たまにいるんだ、ああいうやつらが」
ダッドは肩をすくめて言った。
「自分達の方がランクが高いだけで、低ランクの冒険者を見下す。そういう冒険者は、割と少なくないぜ」
「そうなのね。私は頼りになる高ランクの冒険者を知っているから、全然そんなこと気にしたことなかった」
そういえばジュージはこの場には、いないな。
まあ、いなくても別にいいけど。私と組むと調子が狂うらしいし。
流石にジュージの足を引っぱりたいとは思わない。
「気を悪くしないでくれ。どうせそうそう出会わない。あいつらとの縁なんてこれっきりだ」
「そうね。そう思っておくわ」
その後、ギルドの指揮官達がぞろぞろ現れて、フェスティバルプラントの特徴と、こちらの戦術を伝えた後、冒険者の組分けとなった。
そして私は、冒険者パーティ断壁、優美なる勇姿と組むことになった。
運が良いのやら、悪いのやら。
ああもう、どうしてこうなるの。
「最後になにか、聞きたいことはあるか?」
総指揮官がそう言ったので、私はひとまず質問してみる。
「あの、テイムモンスターにも青札はもらえますか?」
「モンスターに青札が持てるのか?」
総指揮官にそう返され、周りから笑いをもらった。
「青札は1人に1つだ。テイムモンスターには渡せん。質問の答えはこれでいいな?」
「はい」
まあ、もらえればラッキー程度だったから、それでもいいけど、でも笑われたのはムカつく。
これは、フェステイバルプラント戦でうさを晴らさないと。
「では各自青札をもらえ。準備が終わり次第出発する」
こうして私達は、フェスティバルプラント討伐に向かった。
「部隊指揮官はいっぱいいますからね。俺のことはジンク指揮官と呼んでください」
線が細い青年指揮官が、そう言って私に笑いかける。
「はい。ジンク指揮官」
「よろしい。では行きましょう」
指揮官達は馬に乗って移動する。私達はそれについていく。
「まさか、4ランクと組むことになるとはな。だが、よろしく、断壁」
優美なる勇姿の槍使い青年がダッド達にそう言った。優美なる勇姿に槍使いの青年は2人いたけど、あの私に話しかけてきた方だ。
「ああ、よろしく」
ダッド達は快く挨拶した。どうやら彼らは向こうと仲良くするつもりらしい。
「二リハも、よろしく」
「一緒に頑張りましょう」
そして、断壁の魔法使い2人にそう言われた。
「ええ、よろしく」
彼らは、私とも仲良くしてくれるらしい。
断壁は良い人たち、そう思っておこう。
「ふんっ」
そして間髪おかず、優美なる勇姿の青年が不満そうに鼻を鳴らした。
移動は順調。低ランクのモンスターとよく会うが、見つけたらそうそうに近くの冒険者達が部隊ごとに戦い、勝利する。
数は力だ。3ランク以上の冒険者が十人前後の数で数組に分けられている今、私達の戦力、突破力は今まで体験した以上のものだった。
あいや、今まで見た中で一番強かったのはシイドだけど。
でも、これだけ冒険者を集めないと勝てないフェスティバルプラントって、どれだけ強いんだろう?
そう思っていたら、草原の前方に大きな姿が見えてきた。
あれは、木? にしては、全体が緑色すぎる気がする。けど、岩や家とも違う。
というか、なんだかちょっと動いているようだ。
「各自、フェスティバルプラントが目視できた。これからターゲットの包囲を始める。君たちは俺に続け」
そう言ってジンク指揮官が冒険者集団から離れだした。いや、各冒険者達がぞろぞろ散っていく。
そうか、あれがフェスティバルプラントか。
たしかに、家より大きい。あれを倒すのか。
ストックが切れたので、次回は数日後になります。




