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4ランク 1

 カラエと話をして考えた結果、私はテイムを覚えることを諦めることにした。

 よく考えてみれば、もともと無理な話だったのだ。剣士で、モンスターテイマーで、魔法使いなんて、わがままにも程がある。テイムの魔法はテイマーの範囲かもしれないけど、とにかく、冷静に考えてみれば、明らかに高望みしすぎだった。

 というか、今はモンスターテイマー、剣士として強くなることが一番重要ではないのだろうか。旅を続けたいのなら、強くなれるだけ強くなっておいた方が良いに決まっている。

 というわけで、ここからは冒険者の依頼をこなして強くなろうと思う。モエルとシャインのレベルアップも考えよう。

「シャイン、これからはあなたも前に出てほしいの。私の邪魔をしない程度に、相手の視線を誘導する。やってくれる?」

 ビクッ。シャインは震えた。

「きゅ、きゅー?」

(ぼ、ボクが、戦う?)

「ううん、戦うまではしなくていい。けれど、前みたいに複数の敵に攻撃されたら、私では受けきれない。だから、少しでも相手の注意を引いてほしいの。お願い」

「きゅー」

(ううー)

「にゃあ!」

(新入り!)

「きゅー!」

(はい!)

「にゃあにゃあにゃあ!」

(お前男だろ、やれ!)

「きゅー!」

(ボク男じゃないです!)

「にゃー!」

(そして二リハがピンチの時は、俺も前に出る!)

「きゅ、きゅー?」

(え、先輩もですか?)

「そうね。モエルにも火魔法を操りながら、敵の注意を分散させてほしい。お願いね。モエル」

「にゃー!」

(任せておけ!)

「きゅ、きゅー!」

(え、ええー!)

「にゃーにゃー!」

(だから新入りも、やれ!)

「きゅ、きゅううー」

(は、はいいー)

 ふたりには申し訳ないが、私の実力不足が目立つ以上、完全に後衛にはさせられない。

 これから三人で、強くなろうと思う。


 それからは、オシヨセソウの討伐依頼を続けて受けた。

 オシヨセソウは毎日依頼があった。そして毎日見つかる。ギリギリ倒せる相手だし、ちょうどいい相手となった。

 雨の日は休む。それくらいのたくわえはある。オシヨセソウもちょっとはお金になるし、ジボロ演劇団の他の演目も見に行ったりした。

 そうしていると、だんだん気温が暖かく、いや、暑くなってきた。

 歩いているだけで汗が出そうになる頃合いになる。もう、夏か。これからは水不足に注意しよう。

 そして、目下課題の自身のパワーアップだけど。

 こっちは魔法の授業とは違い、上手くいった。


「プライドガード!」

 私は新しく覚えた盾技を使い、オシヨセソウ7体に突っ込む。

 プライドガードは、自分の防御力と盾を扱う腕を上昇させる技。これがあれば、持久力が大分違う。まあ、効果時間は2、3分くらいだけど。これが今の私の手堅い初手技だ。

 オシヨセソウもこちらに気づいて、全員で押し寄せてきた。相変わらずどっしんどっしんと跳ねて移動し、重そうだ。

 けれど、もう私は以前の私ではない。この程度の敵なら、なにかアクシデントにでもでくわさない限り大丈夫だ。

「ゲイザースラッシュ!」

 まずは一度、全力攻撃をおみまいする。それで一番近くのオシヨセソウを一撃で屠り、次の相手をする。もうオシヨセソウは百体くらい倒した。だから、これくらいのことはできる。

 オシヨセソウは残り6体。やつらは仲間がやられても恐れずに、私に体当たりをしかける。

 一体は盾でしのいで、もう一体は剣で受けた。そのまま一旦下がる。オシヨセソウの攻撃は1パターンなので、何度もくらってとうとう見切れるようになった。シャインありがとう。あなたのおかげで一回もポーション代を払わなかったよ。

 息を整えたら、横へ逃げながら攻撃。とにかく動き続けることが大事だ。今いた場所にすぐオシヨセソウが押し寄せるから、走りながらの戦いというのも大分慣れた。

「ツヴァイブレード!」

 こちらは剣技の新技。とうとう私も覚えた。ジュージのような速さはないが、オシヨセソウを相手にするならこれで十分。

 狙い通り、ツヴァイブレードを受けたオシヨセソウは一気に動きが悪くなった。必殺とはいかないが、動きを遅くしただけで十分。こうなったら後でゆっくり倒す。

 そんな感じの要領で、私は、ツヴァイブレード、ゲイザースラッシュを使いながら、オシヨセソウを一体ずつ減らしていった。

 そして、最後の一体。

「ふっ」

 技を使うまでもなく、ツヴァイブレードで瀕死になった相手を斬りつけ、倒す。

 長い時間戦い、動き続けたせいで、息は上がっている。体も疲れた。でも、倒せた。1人で。怪我は無し。完勝だ。

「にゃー!」

(にリハー!)

「きゅー!」

(ニリハー!)

 モエルとシャインが飛びついてくる。私は剣をしまって、ふたりをなでた。

「ふふふ。ふたりとも、とうとう倒せたよ。私1人で!」

「にゃー!」

(さすがニリハだぜ!)

「きゅー!」

(大丈夫ってわかってたけど、ハラハラしました!)

「ありがとう、モエル、シャイン。さあ、それじゃあ、売れる部分を剥ぎ取ったら、今日はもう帰ろう。そして明日は、モエルとシャインの番ね」

「にゃー!」

(ああ、任せろ!)

「きゅー!」

(やってやりますよ!)

 明日はモエルとシャインの実力証明として、ふたりだけでオシヨセソウの相手をしてもらう。

 でも、昨日の戦いで感じた限りでは、ふたりとももう大丈夫だ。オシヨセソウになら勝てる。十体相手でも勝てる。それくらい強くなった。

 そしたら次は、4ランクの依頼だ。

 実は4ランクには、もう既になっている。オシヨセソウを倒している内に上がったのだ。けれど私達はオシヨセソウと戦って比較的安全に強くなることを目指していたため、ここで足踏みし、力を溜めていたのだ。

 この判断が正しかったかはまだわからないが、際限なく現れるオシヨセソウのおかげでそれなりに強くなれた。お金も少したまった。ありがとう、オシヨセソウ。

 あなた達を倒したお金で、そろそろ新しい装備を買うわ。

 今日も暗くなる前に帰る。オシヨセソウと戦って帰ると、ちょうど夕方に間に合うから良かった。討伐証明部位も小さくて軽くてかさばらないし、まあまあやりやすい相手だった。

 なんで私しかこの依頼受けなかったんだろう?

 ちょっと疑問だ。


 翌日、モエルとシャインがふたりがかりで、オシヨセソウ8体の群れを倒した。

「にゃー!」

(余裕余裕!)

「きゅー!」

(慣れれば、回避なんて簡単です!)

 モエルは火魔法を撒き散らしながら回避を続ける。

 シャインもモエルが見える位置に常にいつつ、余裕があるときに相手にどついて視線を誘導する。

 シャインに攻撃力はないが、モエルの火力が高いから、倒し終えるのに時間はあまりかからなかった。

 前よりもモエルの魔力量も火力も増えているみたいだし、オシヨセソウ討伐連続の甲斐はかなりあったと思う。

「やった、ふたりとも、ありがとう!」

「にゃー!」

(ニリハ、頭をなでろー!)

「きゅー!」

(ボクもお願いしますー!)

 私はふたりを存分になでてから、討伐証明部位を剥ぎ取る。

「これで、オシヨセソウ討伐ももう終わりかな。明日から、4ランクの依頼に挑もうね」

「にゃー!」

(わかった!)

「きゅー!」

(了解しました!)

「よし、それじゃあ帰ろう」

「にゃ、にゃー!」

(待て、二リハ!)

「ん、どうしたの、モエル?」

「にゃー!」

(なにかくる、敵だ!)

 そのモエルの言葉に、ハッとする。

 そうだ。ここはまだ町の外。何時モンスターが現れるかわからない場所。

 気を抜いてなんていられない。私はすぐにモエルが見ている方向を見た。

 その先から、火の球が私に向かってとんできた。




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