魔法の授業 1
やる気になったので、早速魔法使いギルドに行って練習につきあってもらうことにした。
青の風刃と別れ、魔法使いギルドに行く。そこで、ジョハナとの面会を希望すると、すぐに会ってくれた。
「本当に来たわね。あなた、テイムなんかを覚える気?」
「はい。よろしくおねがいします」
「まあ、いいけどね。授業料は一回百シクル。出せる?」
「はいっ」
私はジョハナに百シクル払った。
「確かに。あと、言っておくけど、もし授業を受けても、魔法を覚えられない時、それは本人の才能の有無が大きいから、私を逆恨みしないように」
「わかりました」
「だといいけど。それじゃあ、ええと、あなた名前は?」
「二リハです」
「二リハ。もう他の魔法は使える?」
「いえ、全然。1つも」
「それじゃあ、本当の最初から。魔力を感じるところから始めないとね」
そう言うとジョハナは私に近づいた。
「にゃー!」
(お前、敵か!)
「きゅー!」
(えーっ、そうなんですかー!)
「モエル、シャイン。大丈夫。彼女は味方、私の先生なの」
「ここにテイムモンスターを置いておくのも不安ね。それじゃあ一度、場所を変えましょうか」
「はい」
私達は一度、部屋を出て、そのまま外に出た。
ここは、ギルドの裏庭。地面は固く、更にいくつも大きな岩が乱立している。
そしてその大岩に、1人の魔法使いが雷魔法を浴びせていた。あれは、練習か何かだろうか。
「ここで練習しましょう。それじゃあニリハ。私と手をつないで」
「はい」
言われた通り手をつなぐ。
「今から二リハに魔力を送る。それを感じて。それができたら次は、自分の魔力を感じるの」
「は、はい」
「これだけは感覚的なものだから、説明は難しいんだけど、初めは魔力は、温かいと思う。それか、色として見えたり、ざわざわと感じたりするようになるから」
「はい」
「じゃあ、始めるわよ」
「はい」
そのまま私達は静かになった。
ま、魔力を、流されてるのかな、これ?
わ、わからない。
「ジョハナ」
「何?」
「魔力、私に流れてるんですよね?」
「ええ、そうよ。といっても、手に触れたところでほぼ霧散してるけど。手に何か感じない?」
「はい」
「まあ、人によっては一週間とか十年とかかかるらしいから、正直言って運ね」
「運」
「とにかく、意識を集中して。神経を研ぎ澄ませたら、感じられるかもしれないから。はい、集中」
「はい」
私はそのままじっとし続け、なんとかジョハナの魔力を感じようと努力した。
そして結果は、進歩なし。
ただ時間が経っただけで、魔法の授業は終わった。
「じゃあ、今日はこれでおしまいね」
「はい。お疲れ様でした」
「本当、これでも疲れるのよ。魔力を使うのって」
「はい」
なんだか、凄くいたたまれない。
「魔力を感じるだけのトレーニングなら、他の魔法使いでもできるから、そっちを頼ってもいいわよ。私の魔力も有限だから、付き合えるのは一日に一回の授業分だけね」
「はい。わかりました」
「まあ、こういうのもなんだけど、頑張って」
「はい」
「あと、マジックアイテムに切り替えるなら早い方が良いわよ」
「はい。わかりました」
「ああ、別にあなたの魔法を期待してないわけじゃないけど、ほら、才能ある魔法使いは、すぐ自力で魔法覚えちゃうから。魔法使いになる才能のボーダーラインが、まずそこなのよ」
「そうですね」
「トレーニング次第で覚えたって話も聞くから、努力でもできるようになるんだろうけど、そういうのは、あんまり聞かないから」
「そうですか」
ジョハナの言葉が全部、肩にのしかかってくるかのようだ。
「じゃあね、二リハ」
「はい。ありがとうございました。ジョハナ」
こうして私は、第一回魔法授業を終えた。
でも、私はまだテイムを諦めていない。もう少し粘ろう。
十回、いや、二十回くらいやってダメなら、すっぱり諦められる。
そういえばと、宿の部屋がきれいじゃなかったことを思い出した。
暗くなる前に、どこか他の宿屋を探すか。
「すいません。泊まれる宿屋を探したいんですけど。できればきれいめで」
そう、魔法使いギルドの受付に聞いた。
折角受付嬢がここにいるんだから、聞くだけいいよね。
「宿ですか? ああ、それなら、いくつか知ってますよ」
受付嬢は営業スマイルを浮かべて言った。
「高め、安め? どっちの宿賃がいいですか?」
「えっと、じゃあ、安めで」
ここでも財布のヒモはしっかりめでいく。だって所詮宿だし。十回泊まったら十泊分の値段だし。
「安めですか。それでしたら、カンテラ通りの宿がオススメですね。名前は、チラーリだったかな」
「カンテラ通り?」
「ここを出たら右に行って、3つ目? の十字路を右に曲がって、少し行ったら、道の左右にカンテラがつけられた通りに来るんです。そこを、えっと、右じゃなくて、左、でもなくて、やっぱり右に行けば、チラーリに着けますよ」
受付嬢さん。記憶力がいまいちのようだ。やたら古い情報なのだろうか。
「ありがとうございました。行ってみます」
「はい。どうぞ」
私は早速、チラーリに行ってみることにした。
「モエル、シャイン。お待たせ。行こう」
「にゃー」
(待つの飽きたー)
「きゅー」
(出発ですっ)
チラーリは無事見つかった。受付嬢の記憶はまだ正確だったようだ。
宿泊料は一泊120シクル。モエルとシャインの食事代がちょっとかかった。
でも、これでも結構泊まれる値段だ。部屋を見てみると、村で泊まった時とほぼ同じだった。
食事は野菜多め。シチューは絶品だった。しかしモエルとシャインには不満だったため、今後はほぼ素材の状態で届けてもらうことにする。
宿屋の主人に銭湯の場所も聞くと、すぐに入れた。人はこみこみで、ちょっと忙しなかったけど、モエルとシャインはしっかり洗えた。
そしてお待ちかねの、きれいなベッドと布団で就寝。
「にゃー」
(気持ちよいー)
「きゅー」
(さらさらしてるー)
「そうね。おやすみ、モエル、シャイン」
「にゃー」
(おやすみ)
「きゅー」
(おやすみー)
明日は、魔法を覚えられなかった気持ちを切り替えるため、依頼を探そう。




