アラケルへ 5
ジレト村を出発して少し歩くと、道が森の中に入った。
更に少し歩くと、私達が歩いている側から青い体毛を持つ猿が現れた。数は3匹。
「ウキー!」
「ハードモンキーか。ニリハ、一匹任せる」
「わかったわ」
「敵だ!」
ジュージが一声叫んでから、まっすぐ接近する。私もジュージに続く。
「にゃー!」
(俺が倒すよ!)
「わかったわ。じゃあモエル、全力でやって!」
「にゃー!」
(えい、火魔法!)
モエルの火魔法が直撃する。
「ウキー!」
一匹のハードモンキー一体が火だるまになり、動きを止めた。この隙、逃さない。
「ハードスラッシュ!」
ハードモンキーの顔を狙う。少し手で防がれたけど、かなり深く剣先が刺さる。
「ウキャー!」
ハードモンキーは更にひるんだ。私は火が移らないように一度下がり、もう一度モエルを頼る。
「モエル、もう一度火魔法!」
「にゃあ!」
(わかった!)
この攻撃で、ハードモンキーは倒れた。
「ふう、やった」
「にゃー」
(えっへん)
「おお、まあまあ上手いな。少しオーバーキル気味、魔法も使いすぎだが」
近づいてきたジュージを見ると、そっちももう二匹倒し終えていた。
「さすがね、ジュージは。もう倒してる」
「まあ、これくらいはな。じゃないと6ランクにはなれねえよ」
「おお、ハードモンキーか。そいつは500シクルで買い取ろう」
デミングルが嬉しそうに近づいてくる。
「よし、売った」
「私も」
「ああ。しかし、燃え尽きたハードモンキーはまだ熱くて運べないだろう。そっちは買い取れないよ」
「そうですか。残念」
「にゃー」
(ニリハ、残念?)
「ううん。あんまり。それより、私もモエルも怪我がなくてよかったよ」
モエルの火魔法は強力だけど、倒した後の素材回収が難しい。
でもモエルもよく戦いたがるし、今は素材優先じゃないから、これでいいかな。
500シクルは、ちょっともったいないと思ったけど。
更に進むと、今度はサークルリーフが現れた。
「お前たち、来てくれ。前からだ!」
デミングルに呼ばれて、走って前に出る。すると、空中に、緑色の薄い板のようなものが回りながら浮いていた。
あれは、本で絵を見た気がする。サークルリーフか。
「シャインシールド!」
ジュージが盾を構えると、盾が白く光った。するとサークルリーフがジュージへとまっすぐ向かってくる。
「ふっ」
ジュージは高速で襲い来るサークルリーフを一撃で倒した。
「助かった。サークルリーフは場所を取らないからな。500シクルで買い取る」
「わかった」
これもジュージの取り分か。さすが6ランク。
「ジュージ、今の光る盾も技なの?」
「ああ。狙った相手の注意を引く技だ。まあ大体盾を狙ってくるから、受けるだけなら便利な技だ」
「へえ。どうやったら覚えられるの?」
「努力だな。けどまあこればっかりは、運だ。盾技は覚えるの難しいって言うしな」
「どうして?」
「防ぎきれない攻撃を受けたら、そのままやられるからだよ。どう頑張っても攻撃には用いづらいしな。まあ、地道に頑張れ」
「うん。そうする」
「にゃー」
(これ、まずそう)
モエルは両断されたサークルリーフの匂いを嗅いでそう言った。
そのままサークルリーフは、馬車に載せられてジュージの利益となった。
サークルリーフがまた現れた。今度は二体。私達がいる側からだ。
「ニャー!」
(ニリハ、来る!)
「敵だって、こっちから!」
私はモエルが睨んでいる方を見る。するとすぐにサークルリーフが現れた。
一体はジュージの方へ。もう一体は私の方へ来る。
「ハードガード!」
私は身構えていたから、なんとか体当たりを耐える。甲高い音がして、回転するサークルリーフを弾いた。
サークルリーフは円を描くように動き、再び私の元へ来る。
「にゃー!」
(火魔法!)
モエルが魔法を放った。
サークルリーフは火に直撃し、燃える、かと思いきや、まさかの火を両断してそのまま突っ込んできた。
「ハードガード!」
私は再び盾で防ぐ。火魔法を攻略されたことも予想外だったけど、それ以上に、速い!
どうする、私。
「二リハ、手を貸すか?」
視界外からジュージの声がとんできた。ジュージはもうサークルリーフを一体倒している。
それをしたらきっと楽だろう。でも。
「ううん。もう少し、やってみる!」
これを倒せなきゃ、私は3ランクとしてやっていけないだろう。それは、嫌だ。
サークルリーフがまた来る。
盾で防いでもまた繰り返し。剣で狙うには相手が速すぎる。
狙えないなら、狙わずに倒せばいい。
今思いついたんだから、やってみる!
「ハードスラッシュ!」
私は剣を光らせつつ盾を捨て、剣を両手でしっかりと握り、盾のかわりに構えた。
するとサークルリーフは剣に突っ込み、自分の力で剣に食い込み、切れた。
高速回転していたサークルリーフは、私の目の前で止まった。本当にギリギリだ。少しでも剣が相手の力に流されていたら、私も深手を負っていたかもしれない。
けれど、どうにか倒せた。これで一安心だ。
「なかなかやるじゃねえか。今の実力なら上出来だ」
ジュージがそう言って、私の剣からサークルリーフを外した。
「ありがと」
私はそれだけ言って、今自分が無事でいることに安堵した。
盾をあえて使わない試みだったけど、内心ヒヤリとした。次はもっとスマートに勝ちたい。ジュージみたいに。
その後、更にサークルリーフが一体、青の風刃の側から現れた。
かれらはダメージを負いつつも、なんとか倒したらしい。その傷も、ナーラが回復魔法で癒やした。
4ランクのモンスターは、これよりも強いらしい。本当に、ジュージの背中に隠れる準備だけはしておこう。
あと、やはり今晩も寝る前に、必ずジュージと稽古をしよう。今なら、一戦だけならタダだし。




