ダンジョンに挑戦 2
「じゃあ携帯食料だけ買っておいてくれ。そうしたらすぐ行こう。俺達は門の前で待ってる」
「わかったわ」
私は携帯食料を買いに行った。
「モエル、パンも食べれる?」
「にゃあ」
(パン? たぶん食べれる)
「じゃあ、黒パンを、10個くらい買っておこう」
一番安い黒パンを大量買いする。紙に包んで、背負い袋の中でバラバラにならないようにしておく。
水は、まあ、今まで全部飲みきったことないし、水袋1つだけでいいか。
ただ、ポーションを使い切っていたので、今回も道具屋で買っておく。今回は2つ買う。念のためだ。
よし。これで準備はオーケー。のはず。
「モエル、モンスターと戦いになったら、一緒に戦ってね」
「にゃあ」
(いいよ)
「ああでも、モエルは火魔法が得意よね。他の攻撃方法は、ないか。見た目猫だし」
「にゃあ?」
(爪でひっかけばいいの?)
「ううん。無理はしないで。そうね。手強い敵が現れて、モエルの力が必要になった時、私が魔法を使ってって頼むわ。それまでじっと待機してて」
「にゃあ」
(うーん。頑張る)
「ちなみにモエルは、何回火魔法を使える?」
「にゃあ」
(普通にやって7回、全力で使うと2回かな)
「やっぱり出し惜しみするべきね。モエル、いつもは私だけで戦うから、モエルは怪我しないようにしてて」
「にゃあっ」
(やだ。俺だけ戦わないわけにはいかないっ)
「お願い、言う事聞いて。帰ってきたらまたお肉食べさせてあげるから」
「にゃあ!」
(そんなのいらない、一緒に戦う!)
「お願いよモエル、私に従って。じゃないと、もうお肉を食べさせてあげないわ」
「にゃあー」
(うう、わかった。でも、俺も一緒に戦うから)
「わかってる。いざとなったら、お願いね」
私はモエルと役割を決めて、シラー達の元に向かった。
「本当に女の子が入ってくれるのか!」
「ああ。ここで良いところ見せて、絶対メンバーに入ってもらう!」
「俺も二リハって子見たけど、兜かぶってたけど顔立ちはかなり良かったぜ」
「くっ、遂に俺がモテる時代がきたか!」
「いや、モテるのは俺だから」
「いや、俺だ!」
いた、シラー達だ。
「お待たせ。もう行けるわ」
「ああ、二リハ。それじゃあ、行こう!」
シラーが笑顔で手をふる。
「こんにちは、二リハ。俺はラッシ」
「俺はガッツォ。よろしく」
「よろしく。私は二リハ。この子はモエル」
「にゃー」
(お前ら、目つきがやらしい)
こら、モエル。そんなこと言わないの。
まあ、私にしか伝わってないはずだから、ここでは何も言わないけど。
「ダンジョンの位置はわかってるんだ。一直線に目指そう」
「ええ、わかったわ」
こうして私達は、五人と一匹で出発した。
最初は、順調に進めた。
「ちっ、ブラッドバタフライだ」
「俺が倒すぜ!」
ラッシがそう言って前に出て、槍でブラッドバタフライを突く。羽に穴を空けられたブラッドバタフライは、簡単に秒殺できた。
「へへ。楽勝。どうだ、二リハ!」
「ええ、お見事」
確かに倒すまでの時間は早いが、ブラッドバタフライくらい私でも簡単に倒せる。まだラッシの実力を計ることはできない。
「じゃあ、1ランクのモンスターだから私が素材を優先してもらうわね」
「ああ、どうぞ」
私は急いでブラッドバタフライの口だけを切り取った。
「行きましょう」
「足はいらないのか?」
「足はかさばるし手間だから、いいわ。値段も口より安いし」
それに、一本足が槍で斬られている。これでは買取額も更に安くなるだろう。
「よし、じゃあ進もう!」
「ダンジョンまで一日歩くって話だからな。早く進むにこしたことはない」
更に先を進む。でも皆、どこか注意が足りない。浮ついている。
「二リハはパーティ組もうとか思わないの?」
「ええ。旅がしたいの」
「旅かあ。それもいいかもなあ。俺達も一緒に行こうか?」
「それはやめておいて。私の旅は、そういう感じじゃないの」
しかも森の中で話までしてくる。もうちょっと周囲を警戒してほしい。
「じゃあ、どういう感じの旅?」
「人探しよ」
「ああ。そう」
「会えるといいな」
「ええ、そうね」
そう、皆の空気がゆるみきっている時のことだった。
「にゃあ!」
(ニリハ、この前のやつがくる!)
そのモエルの注意を聞いて、私はすぐに剣を抜く。
「モエル。火魔法の準備、いつでもできるようにして」
「にゃあ!」
(わかった!)
「何、どうしたニリハ。敵か?」
「ええ。サンドスネークよ。きっと来る」
そう言うと、皆自然と立ち止まる。
「にゃあ!」
(来た!)
そして、前方にサンドスネークが二匹現れた。
「シャー」
「シャーッ」
サンドスネーク達はゆっくり体をくねらせて移動し、こちらに迫る。
「サンドスネーク、2ランクモンスターだろ」
「囲めば勝てるはずだ。シラー、ビッホ、回りこめ!」
「ああ!」
「任せろ!」
シラーとビッホが距離をとりながら回り込む。その間にもサンドスネーク二匹はラッシとガッツォに近づく。
「私も」
私は注意深く盾を構えて、槍使い2人の横に立った。
「ニリハは見ててくれ。こんなやつ余裕だ」
「ああ。2ランク相手にビビってられないからな」
ラッシとガッツォがそう言った直後。
「シャー!」
サンドスネーク二匹が、一斉に加速した。
そしてラッシとガッツォは避けるふりすらできず、喉を噛まれた。




