旅の仲間 3
「それでテイムの札だけど、更に買っとく?」
「あ、いいえ。もういいです」
もうモエルは仲間になったし、それに何回も大金を出すわけにはいかない。
「そう。なんかあなたはもっと何か拾ってきそうなものだけどねえ」
「そんなことないですよ」
「まあ、いいや。これで用は終わりだね」
「はい」
「そのカジーニャ、いや、モエル、仲間だっていう印に何かつけてあげな。首輪とかいるんじゃない?」
「はい。そうします。ありがとうございました」
「にゃあ」
「行こう、モエル」
「にゃー」
(うん)
モエルは私の腕の中からとびおりて、自分で歩き出した。本当にもう大丈夫のようだ。
魔法ギルドを出て、フエバリスさんの言う通り、モエルに何か買ってあげよう。
道具屋に行けばいいのかな?
ひとまず道具屋を見る。
「いらっしゃい」
「あの、この子に何かつけてあげたいんですけど」
「にゃあ」
「そいつは、カジーニャか?」
「はい。私の仲間、テイムモンスターです」
「ほ、なんだ。それなら良かった。くれぐれも火事は起こさないでくれ」
「はい」
「つまり目印か。スカーフならあるけど、見る?」
私は数枚のスカーフを見比べた後、モエルに訊いた。
「モエル、どれがいい?」
「にゃー」
(これ)
モエルが選んだ赤いスカーフを買って、モエルの首にまく。
「にゃー」
(なんか首が変)
「慣れてちょうだい。とってもかっこいいわよ、モエル」
「にゃー」
(そう?)
ほめられてちょっと嬉しそうだ。
後は、モエルのごはんを買わないと。
「モエルは何が食べたい?」
(肉)
「お肉かあ」
丁度、串焼きの屋台が見つかった。
「おじさん、2本、いえ、3本ください」
「まいどあり」
「にゃー」
(美味しそう)
「待って。ジュアラと一緒に食べたいの。先におうち帰ろう?」
「にゃー」
(わかった)
歩いていると、モエルは人の目をひいた。
やっぱり、モエルはモンスターだから、皆気になるのかな?
でも、モエルはもう私の仲間だから。何かあった時は、私がモエルを守ろう。
すっかり暗くなってから借り長屋に戻ると、ジュアラはもう帰っていた。
「ただいま、ジュアラ」
「おかえり、二リハ。って、猫?」
「にゃー」
(お前、誰?)
「ジュアラ。この子はモエル。私の仲間、テイムモンスターなの。モエル。この子はジュアラ。私の親友よ」
「にゃー?」
(親友?)
「とても大切な仲間ってこと」
「ね、ねえ。二リハって、モンスターをテイムなんてできたの?」
「ううん。魔法使いギルドの人にマジックアイテムを作ってもらったの。それで仲間にできた」
「へええー。良かった、ね?」
「ええ。そうね。モエルは命の恩人なんだから」
「へえ。凄いね! じゃあ、私も、二リハのこと、ありがとう!」
「にゃあ?」
(恩人って、何?)
「あなたが私を助けてくれたから、今、こうして仲良くなれてるってこと」
「にゃー」
(よく、わかんない)
「そっか。でも、私はよくわかってるから、これからいっぱい大事にするね。モエル」
ひとまずまずモエルに、串焼きを一本あげる。
「はい」
「にゃー!」
(お腹すいた!)
そしてジュアラにも渡して、三人で食べた。
そしたら私はジュアラに今日のことを語って、それから寝る。
私とジュアラはモエルを挟んで、2人で抱いて寝た。
「柔らかくて、温かいね。モエル」
「本当。それに、おとなしい」
「にゃあ」
(あんまり触らないで)
「ごめん。やさしく、そっとね」
「おやすみ。2人共」
「うん。おやすみ」
朝。起きたら、すぐに冒険者ギルドに行った。
今日は、ジュージに稽古を頼みたかったのだ。
私はまだ弱い。昨日の蛇との戦いで、それを悟った。今はジュージに鍛えてもらって、安全に強くなるのが良いだろう。
程なくして、ジュージがギルドに来た。
「おはよう、ジュージ!」
「おお、二リハ。おはよう」
「にゃー!」
「お、お前は、カジーニャ?」
「モエルよ。私の仲間なの」
今モエルは、私の腕の中にいる。朝のギルドは人でこんでいるから、仕方なくだ。
いや、モエルを抱くのも、気持ち良いから良いんだけど。
「ふうん。まさかモンスターテイマーになるとはなあ」
「ええ。それでジュージ、今日から、連続で稽古をつけてほしいんだけど」
「ああ。ダメだ。間が悪かったな」
「え?」
ちょ、ちょっと想定外。いきなり予定が狂った。
「ちょうど昨晩、でかい情報が出てな。森の中にダンジョンが出来たらしい」
「ダンジョン?」
「モンスターの巣窟だよ。中には宝だって眠ってる。何より生まれたばかりのダンジョンだから、入れば実入りがありそうでな。もう適当なやつらに声をかけて、今日から行くことになってる。だから、もう稽古なんてつけてられねえのさ」
「そう。それは残念だわ」
「それと、二リハも気をつけろ。どうやら今、ダンジョンからモンスターがあふれているところらしい。前までの森なら奥に行かなければ安全だったが、今は全体がそれなりに危険だって話だ」
「ああ。なら昨日の蛇も、ひょっとしたらダンジョンのモンスターかもしれないわね」
「蛇?」
「薄茶色の蛇よ。剣がほとんど効かなくて、おまけに動きが素早かった。大きさも、普通のよりは大きかった」
「薄茶色の蛇か。たぶんサンドスネークだな。2ランクのモンスターだ。よく生き残れたな」
「この子のおかげ。あと、剣の技も使えるようになった」
「にゃあ」
「そうか。じゃあもう、稽古なんていらねえんじゃねえか? そのまま適当に依頼受けて成長すればいいと思うぜ」
「そうかしら」
「ああ。そうだとも。今気をつけることといえば、森のモンスターくらいだ。草原なら手頃なモンスターがいるだろう」
「なるほど。わかったわ。じゃあ、草原の依頼を見てみる」
「そうしな。じゃあな。二リハ。あとにゃんこ」
そう言ってジュージは、掲示板を見に行った。じゃあなって言った割には、距離が近い。
「じゃあ、私は。昨日の採取アイテムを依頼でさばこうかな」
「にゃー」
ひとまず、薬草採取の依頼書を見てみよう。




