石砕きの刃と共に 3
翌朝。
久しぶりのベッドは、快適だった。
できるなら、手放したくない、この心地。
でも、だからこそ、今晩もこのベッドで眠るために頑張らないとね。
「んー、よく寝たー。おはよう皆」
「にゃあ」
(俺もっと寝てるう)
「キュー!」
(おはようございます、二リハ!)
「ピー!」
(おはよう!)
「モエル、身支度を整えたらごはん食べに行くわよ」
「にゃあ!」
(おう、早くいくぞ!)
よし。皆も元気ね。
冒険者ギルドに行くと、キュール達とはすぐに会えた。
キュールとランゾは入口付近で待ってくれていたのだ。
「おはようございます、二リハさん!」
「おはようございます」
「ええ、おはよう。ポリシャは?」
「今、依頼を見に行ってます。まあ、大していつもと変わらないだろうけど」
「あー。やっぱりここも、出現モンスターは結構きまってるんだ?」
「はい。二リハさんランクの相手なら、クラウドマンですね」
「雲の体を持ったモンスターね。やっぱりこのあたりだと有名?」
「はい。ここで4ランクと言ったら、クラウドマンかゲジーラですから」
「ゲジーラ?」
そのモンスター情報は見てなかったかも。
「どんなモンスターなの?」
「あの、二リハさん。ゲジーラはおすすめしません」
「そうなの、キュール?」
「ゲジーラは、毒を持ってるんです。ていうか、全身が毒で」
ランゾがそう言う。へえ、それは厄介そうね。
「ランゾ、気にするところが違うわよ!」
「ん」
「キュール、どういうこと?」
「二リハさん。ゲジーラは、全身が毛だらけなんです。しかも見た目はワームで、ぞわぞわと動くんです!」
「うっ」
それは、辛い。
ちょっと想像してから思う。想像したくない姿だ。
「たしかに、戦いたくはないわね」
「そうですよね。あんなもの好きで見たくはありません!」
「だがキュール。ゲジーラは放っておくと増えて、出現率が上がる。注意するにこしたことはないぞ」
「注意する以前に見たくないの!」
ごもっとも。
「そうね。キュールの言う通りだわ」
誰だって、好き好んでおぞましいものを見たくはないだろう。
「あ、そうだ。毒といえば、毒耐性のアクセサリーを持ってたわ」
「へえ、良いですね。二リハさん」
「ええ」
私はちょっと迷ってから、2人に言った。
「ねえ。もしあなた達のおかげで依頼がスムーズに進んで、助かったと思ったら、あなた達への報酬、いや、褒美でこの耐毒のネックレスをあげるわ」
「え、いいんですか?」
「ええ。このあたりに毒モンスターがいるのなら、使いたい人が使えばいいと思うから」
今のところ使う機会はなかったし、別にいいだろう。
この子達にも、頑張ってもらいたいしね。
「でも、ただでもらったら悪いので」
「だったら、これから稼いだお金で私から買ってほしいわ。もちろん、いらないというならこの町で売るという選択肢もあるけど、せっかくこれから一緒に依頼をこなすんだから、できるかぎりなにかしてあげたいなって」
「そんな、ありがとうございます。二リハさん!」
「ありがとうございます」
「まだ何もしてないわ。あ、そうだ。たしかこの耐毒のネックレス、4ランクまでの毒しか防がないから、気をつけてね」
「二リハさん、おはようございます。今依頼を見てきました!」
あ、ポリシャが来た。
「ありがとう、ポリシャ。で、どんな依頼があったの?」
「はい。二リハさんならもしかしたら、クラウドホースも倒せるんじゃないかって。どうですか、二リハさん!」
「え?」
「クラウドホース?」
その名前も初めて聞くわね。
「ポリシャ。あんたってやつは。いきなりクラウドホースはないでしょう!」
どうやらキュールは知っているみたいだ。
「え、でも、二リハさんだし」
「まずはクラウドマン。二リハさんも、そうしましょう」
「え、ええ」
ひとまずうなずいておく。まあ、これまで注意していたのは、クラウドマンだったし。
「まあ、クラウドマンにも楽勝だったら、いいですけど」
「あの、まず、クラウドホースって?」
そう訊くと、キュールが答えた。
「簡単に言うと、クラウドマンより強い4ランクのモンスターです」
なるほど。
4ランクだけど、4ランクモンスターより強いのか。
「ちょっと興味あるわね」
「でしょ。そうですよね!」
ポリシャは元気だ。でも。
「そのクラウドホースは、めったに出てこないの?」
「いえ。クラウドマンが現れる霧の森の奥で、普通に見えるそうです」
「そう。なら、今日はクラウドマンを倒しに行くわ。まずは様子見ね」
クラウドマンを倒しに行くのが、どれだけ大変かもわからないしね。
「そうですか」
「それがいいと思います。それじゃあ、私達はアースフロッグね」
「そうだな」
「ちっ。それしかねえかなあ」
ランゾがうなずき、ポリシャが舌打ちする。
「ポリシャ。絶対今無理はダメよ。スタンプホースに苦戦したんでしょ」
「あ、あれは。はい」
「今なら、私もいるから。根気よく強くなりましょう。時間があれば、また模擬戦をしてあげるわよ」
「え、あ、はい。ありがとうございます」
「二リハさん強いからな。まあだからこそ、やる意味はあるんだが」
ランゾがそう言ったので、私は思わず笑った。
「さあ、それじゃあ依頼を受けましょうか」
立ち話を続けるのも、時間がもったいないわよね。




