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赤珊瑚と桃珊瑚の見た思い(7)

 いま、黒い世界が随身門を包み込んでいる。その世界が何であるのかは、この場にいる柱は理解していた。


(他にも動く柱がいるということか)


 赤瑚売命せきこのみことが隣の桃瑚売命とこのみことに目をやる。


 桃瑚売命の構えた弓から、みなもに向けて鋭い矢が放たれた。


「まずい!」

「かまわぬ」


 火の神が矢を払おうとするのを、みなもは止めた。みなもに向け矢は飛んできている。左手を前にかざすと避けることもなく、みなもは立っていた。矢は左手の前で水玉になり弾け、飛び散り消えた。


(そうであろうな)


 赤瑚売命が同じように弓を構えると、天に向けて矢を放った。光り輝き突き上がった矢は、無数の流星となり降り注いできた。みなもは同じように上に手をかざす。流星は、みなもが発した光に当たると矢と同じように水玉になり弾け消え去った。


 その様子を門守の二柱は眺めていた。


「あらゆる呪い、法術を受けつけず、武具の攻撃も効かぬ神。まさに水の神。久しく見てはいなかった」


 赤瑚売命が弓をおろし、桃瑚売命を見て頷く。


 その二柱の瞳を見つめ、みなもが火の神の耳元で囁く。


「火の神よ。お主は赤瑚売命を頼む。妹は儂が引き受ける」

「あああ……」


 火の神は目を大きくして、みなもを見た。


「お前、知っておろうが。桃瑚売命の方が武では赤瑚売命より強いのだぞ」

「あっ!……忘れておったわ。まあ、赤いもの同士、気が合うであろう。神に二言はない。二柱の意志だ」

「それでも。お前、何も向こうの言いなりになることもあるまい。それに一対一で勝ち目はあるのか……」

「つべこべぬかすな。お主は相変わらず聞き分けがないのう」

「聞き分けないのは当たり前だろう。俺はお前を……」

「儂をなんじゃ?」


 みなもは、瞳を青く輝かせて火の神を説き伏せる。火の神は、その瞳の前にそれ以上は言葉を出せずにいた。


 後ろから堪えきれないとばかりに笑い声が漏れてきた。火の神は、ムスっとして後ろを振り返り、笑い声の主を探した。火の神のきまり悪そうな顔に、笑い声が高くなる。

 

 その笑い声とともに、前方からは門守の二柱が迫ってくる。


 みなもと火の神は、二柱を相手に迎え撃つべく構えをとった。

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