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赤珊瑚と桃珊瑚の見た思い(6)

 随身門は黒い世界に包まれていった。優しく、穏やかな黒の世界。


 真奈美はその世界を感じる間もなく、静かにスッと意識を失いその場に崩れた。首にかけている石が銀色に光ると真奈美を守るように包み込む。真奈美はスヤスヤと眠りについた。


 実菜穂と陽向も同じであった。意識が遠のく。あの眠りに入る何ともいえない意識が薄れる感覚が頭から足先へと伝わる。頭に灯されている光が消えていった。だけど、真奈美と違い二人は立っている。二人に再び光があたる。


 陽向は炎のオーラに包まれると、白い光が帯となり体を包み紅の鎧となった。瞳は鮮やかな紅い光を放ち、勇ましくそして美しい姿となる。その姿はたしかに陽向であるのだが、瞳は日御乃光乃神そのものであった。さらにその手には炎を纏った長剣があった。


 実菜穂の姿が変わる。青い清流のオーラに包まれると、身体に透き通るような水色の胴を纏い、青い光が羽衣となるとその背になびいた。髪は水色となり瞳も青く輝く。陽向の力を発する美しさとは対象に実菜穂は包み込む美しさを纏う。


「門守の神の目からは逃れられぬか」


 実菜穂が青い光を放つ。


「どうするのだ。いまは神霊同体ではない。ただ、身体を借りているだけだ。まさに仮の姿だぞ。紐付きのな」


 陽向が実菜穂を見る。


「お主、この期におよんで面白いこと申すのう。まあ、そのとおりじゃな。じゃが、目をつけられては、とぼけるわけにもいくまい」


 実菜穂が仕方ないなという顔で笑う。その笑う姿を陽向は眺めている。


「それにしても、お前のその姿。久しく見ていないな。最後に見たのは真波姫まなひめのときか」

「古い話をいたすな。儂はこの格好は好きではない。戦いは苦手じゃ」


 陽向が実菜穂の鎧姿に見とれる。水色に光る胴を身につけ、背に延びる羽衣が揺らめきなびく。勇ましい姿でありながら、それ以上に美しい姿に目を奪われる。実菜穂の姿のなかに薄くみなもの影が重なる。



 神に戦いが全くないわけではない。天上神と地上神の争いの後も、小さく争うことはある。荒ぶる神から人を守るために戦うこともある。理由はいろいろだ。戦いを好む神も確かにいる。ものの命に興味のない神もいる。だが、それでも多くの神々は先の大きな争いにより、この小さな世界に生きていた多くの命を消したことを悲しく思っていた。それ故、神々の争いを無くし、生けるものの繁栄を助けるため「神謀かむはかり」が始められた。

 

 みなもは、争いを好まぬ、いや、嫌う神である。そのため、幼き頃から防具や武具を持つことを嫌った。火の神もそのことはよく知っていた。だからこそ、ずっと、みなもを守りたいと考えていた。


 とはいえ、いま目の前にいるのはユウナミの社の門守の神。二柱を相手にするどころか、どちらか一方を相手にしたとしても勝てるかどうか分からない。


(人を守るためということか)


 みなもが防具を身につけたこと。それは覚悟の表れであった。


 実菜穂と陽向はその身体を残し、みなもと火の神に変わっていた。

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