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泣いているんだね。もういいんだよ(4)

 実菜穂が蜘蛛の前に立ちはだかる。


「真奈美さん、早く鳥居の中に」


 真奈美は実菜穂の言葉に後ずさりをしている。後一歩で入るところで、蜘蛛は口から太い毒針を幾本も吐き出した。針は空気を裂き、実菜穂の頬スレスレで突き抜け、真奈美めがけて飛んでいく。真奈美は避けることができず身を固めていた。


「真奈美さん!」


 実菜穂が振り返る。その目に映る光景に釘付けになった。


 

 真奈美は実菜穂の声で我に返り、硬直したまま目をゆっくりと開けた。一瞬、自分の状態が分からなくなっていたが、すぐに冷静になり目の前で太い針が止まっていることを理解した。その目に映っていたのは、きれいな手がしっかりと毒針を握り止めている光景。止めたのは女の子。紫の袴姿。背まで伸びた髪は白いリボンで一括りにされている。


死神しがみだ!)


 実菜穂は女の子の瞳からそれが分かった。真奈美はまだ気がついていないようだった。


「アワ蜘蛛。どういった理由でここをうろついている。まあ、聞きたいこともあるが」


 バキッ!!!


 豪快な音をたて女の子は握っていた毒針をへし折ると、大鎌を握りしめて実菜穂に近づいていく。


「おまえは死神」


 大鎌を目にした真奈美が大声で叫びながら、追いかけようとした。


「琴美に会いたいのなら、そのまま奥に引っ込んでいることだ。次は命の保証はない」


 女の子は振り返ることなく、実菜穂のそばに行くと瞬時に糸を切り裂いた。実菜穂は再び自由になった。


 真奈美はその場を動くことなく、ジッと死神を見ている。死神は実菜穂を後ろにさげると、蜘蛛の前に立った。


「ここに何の用だ」


 アワ蜘蛛は、ジッとして動かない。死神は大鎌を突きつける。


「質問を変える。お前をここによこしたのはあるじか?それとも別の者か?答えねば、その御霊を刈る」


 死神は淡々とした口調でアワ蜘蛛に答えを迫った。


 動きを止めていたアワ蜘蛛の足が微かに震えていた。


(恐れている?いや、違う。それだけじゃない。死神とこのアワ蜘蛛はお互いを知っている。邪魔するものの正体をこのアワ蜘蛛は知ってる。なら、死神が狙う理由も当然知っている。なのになぜ、アワ蜘蛛は死神の邪魔をしないのか)


 死神とアワ蜘蛛を見ながら実菜穂は不思議に思った。


 死神がアワ蜘蛛を睨みながら大鎌を振り上げた。

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