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泣いているんだね。もういいんだよ(1)

 実菜穂と真奈美は鳥居を目指して走っていく。逃げるために走っているが、できればこのまま何事もなく駆け抜けたいと願っていた。幻影を見せられ命を落としそうになり、殺伐とした世界を見せられれば、頭も心も乱れてしまうのは当然である。実際、いま走っている世界でさえ、自分が生活していた世界なのかあやしく思えてくる。見えざるものが見える。それは厄介なことなのだ。


 真奈美は鳥居に近づくにつれ、その大きさに息をのんだ。。大きく、そして天に向かいそびえ立つ存在感。ユウナミの神の聖域を示すにふさわしい姿である。


「真奈美さん、この道で間違いないです。このまま行きます」


 実菜穂が位置情報を確認しながら案内する。真奈美は、周囲を気にしながらついて行った。辺りは参道らしい街並みの景色となっていた。参拝者をもてなす店が多く並んでいる。


(ここまでは何もない。陽向ちゃんが祓ってくれたのかな。このまま鳥居につけば)


 そう、思った瞬間、実菜穂の足は何かに捕まれたように後ろに引っ張られた。

  

 キャァーッ!!!


 叫び声を上げるのと同時に地面へと転がり倒れた。真奈美も同じように倒れてしまった。足に何かが絡みついたのだ。


 実菜穂は倒れた痛みを感じる暇もなく、地面を引きずられた。無我夢中で足に絡みついた物を取り除こうと必死で手を伸ばし、起きあがる。だが、目の前に現れた者の姿を目にしたとき、熱していた体が一瞬にしてが凍りついた。


「えっ……あっ、あれは、蜘蛛!」


 実菜穂が見たのは、巨大な蜘蛛であった。その大きさは、図鑑や映像で見る蜘蛛など比較にもならない。体つきだけで牛一頭分はある。それに長く巨大な足が伸びていれば見た目は三倍にもなる。足に絡まっているのはその蜘蛛から吐き出された糸であった。白い太い糸は、強力に絡みついていた。


「真奈美さん、大丈夫ですか?」


 実菜穂の声に真奈美がようやく目の前の状況を把握した。


「実菜穂ちゃん、あれは蜘蛛だよね。私たちが小さくなった?いや、そうでなくてもあれは現実に存在する大きさじゃないよ」


 真奈美はこの状態に、冷静ともいえる反応で答える。実菜穂も神の眼から生物としての蜘蛛ではないことは分かった。


「あれは、多分神様です」

「神様!でも、私たち捕らわれて引っ張られているわよ」


 真奈美の言葉のとおり、二人は足に糸が絡まりそのまま蜘蛛へと引き寄せられていた。


 二人は必死で糸をほどこうともがいた。


(これは、まずい)


 真奈美は引き寄せられながら、何とか抗う術を探していた。

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