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この子は!(3)

 三人は鳥居の方向を確かめながら先を進んだ。陽向の案内に、実菜穂がスマホで位置情報を確認する。真奈美は二人から逸ればいようにしっかりとついて行った。いくらスマホを見ていてもこの先で待ちかまえる邪魔をする者の前では、役には立たなくなることは想像できた。


 道のりの半分を過ぎた頃、陽向の足が止まった。参道に向かう道にちらほら土産物を売る店が目に付くようになっていた。

 打ち水をしたり、扉を開けたりしている人の姿がある。陽向が周りをうかがう。


「どうしたの?何かあった」


 陽向のただならぬ気配に実菜穂が声を掛けた。


「ここは、違う」

「えっ?陽向ちゃん、道は外れてないよ」


 実菜穂はスマホの画面を陽向に見せた。


「実菜穂ちゃん。神の眼で周りを見て」


 実菜穂は慌てて守りに手を当て、「神の眼」の力を使った。真奈美も同じように意識して周りを見る。守りや札などで「神の眼」の力を得ることはできるが、神の巫女でもないかぎり意識して使わなければ効果は発揮されないのだ。


 周りの景色が変わっていく。家や店は色あせ、形が徐々に崩れていく。店のを開ける準備をしている人たちも、その姿が見る見る変わっていく。背が曲がり、絶望を振りまくような目つきに変わる。邪鬼たちがその姿を現した。辺りは、濃い黒ずんだ霧が舞い始めていた。


「これは、とんだ罠に入ったよ」

  

 陽向が実菜穂と真奈美を庇う。


「陽向ちゃん。これってもしかして」

「うん。間違いないよ。さっき、私たちに幻影を見せていた者がいる」


 陽向が来た方向を睨みつけている。


「じゃあ、これも幻影なの?」

「違う。これが、本当の世界。どうやらここで襲う気です」

「陽向さん、じゃあ、逃げましょう」

「そうですね。二人は逃げてください」

「えっ?陽向さんは」


 真奈美が陽向の腕を引こうと掴んでいた。


「駄目です。逃げきれないでしょう。とにかく、二人は鳥居を目指してください。鳥居に入ればユウナミの神の聖域です。悪意ある者は手出しはできません」

 

 陽向はゆっくり真奈美の手をほどいた。


「今度こそ、残ります。食い止めます。実菜穂ちゃん、あとはお願い。大丈夫。また追いついてみせるから」


 陽向はニッコリと笑った。実菜穂は陽向の手を握ると、頷いて真奈美を引っ張っていった。真奈美は、陽向に手を伸ばしながら実菜穂に引っ張られていった。


「そのまま走って」


 陽向は離れていく二人に叫んだ。

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