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ユウナミの思い(6)

 お目当ての塩ラーメンが運ばれてきた。


「わーっ、綺麗。これ絵になってるよー」

 

 器の中を見た実菜穂が思わず声を上げる。真奈美も微かに声を上げて同じように眺めている。


 美菜穂が見つめるのは、器の中の小さな世界。透き通ったスープと麺が海面の波のように見える。蒸した鯛が海面から顔を出す岩である。添えられた野菜と煮卵がちょうど夕日のようなアクセントをつけている。器の中に海の世界が描かれているのだ。


 味は、陽向のお勧めの言葉以上に満足のいくものであった。魚介の出汁の塩味さっぱりスープに泳ぐ中細麺は、スルっと食べられるので次々に口に運ばれてしまう。さらに、ギョウザと唐揚げの濃い味との相性が抜群で、思わず大盛りでもいけるのではないかと夢中になるほどだ。最後の方は、三人とも言葉も少なく食べる方に意識が傾いていた。


 お腹もふくれて満足した頃に、塩アイスが運ばれてきた。


「真一さん。お願いがあるの」


 陽向は真一に手を合わせて頭を下げた。


「なになに?陽向ちゃんのお願いなら聞いちゃうよ」


 真一が二つ返事で応じた。


 陽向は割り箸の袋を取り上げると、そこに描かれている剣の絵を指さした。絵は両刃の剣二本がちょうど×の印に交わっているものだ。


「このお店の家紋の話を聞きたいの」


 陽向のお願いに真一は笑顔ながらも困った顔をしていた。


「陽向ちゃんに神話を語るのは、釈迦になんとかだよ。しかもユウナミの神のことなんて。参ったなあ」

「いいのいいの。真一さんの話が好きだから。二人にも聞かせて欲しいの」


 陽向のお願いポーズに真一は「任しとけ!」とばかりに、胸を叩いて引き受けた。


「うわー、あの笑顔にはかなわないね」

 

 実菜穂は真奈美と頷き合っていた。


 真一が店に掲げている絵を指さす。


「あれは、カムナ=ニギのつるぎ。聖剣だよ。ユウナミの神が地上神討伐のときに最高神アマテの神から授かったもの。神の世界でも二度と作れないと言われる伝説の剣。それがなぜ、二本あるのか?それにはこんな物語があるのです」


 真一はラジオドラマのような講釈で話を始めた。


 実菜穂と真奈美は、真一の語り口に引き込まれていった。


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