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神と人の御霊(10)

 陽向は説明の核心にようやく触れた。


「さすが陽向。もうピンときていることでしょう。私は神と人の御霊両方を持っています。もうすでに神霊同体と成っています。しかも、神の御霊は太古神のもの。これでは、他の太古神は心配で夜もおちおち眠れないことでしょう。そこでアサナミの神とユウナミの神が私を預かるということで、他の太古神を納得させているのです。いわば、保護観察といったところでしょうか。ですから、私はこの白新地を作りここに留まっています。うかつには目立って動くことはできないのです。もし、人の世界にでも行き目立つことをすれば、二柱に責めがいきますゆえ」


 紗雪はそう言ってまた笑った。その笑顔は、みなもと同じで本当に可愛らしいとしか表現できなかった。

 

 実菜穂はその笑顔につられて喉の奥に引っかかって気になっていたことが口から出てきた。


「事情は飲み込めました。ところで、紗雪は夜神をご存知ですか?」

「はい。もちろん知っています」


 実菜穂の唐突な質問に紗雪は、興味深げに返事をした。


「みなもと夜神は神謀りの場で何かあったようなのですが、知っていますか?」

「ああ、ひょっとしたらあのことですか……」


 紗雪は実菜穂のお守りがある胸元を見つめるとクスクス笑いながら話した。


 紗雪の話はこうである。


 水面の神と夜神がまだ末座にいた頃。夜神は月の神に憧れ、恋をしていた。けれども夜神は大人しく、恥ずかしがり屋な神であった。遠くから憧れて眺めるだけの日々。神謀りの場でも、モジモジしている始末。その様子を見て水面の神が言った。「どうして、月の神に好いていると伝えないのか」と。夜神は顔を赤らめて、恥ずかしがるばかり。水面の神は見るに見かねて、ついに上座の月の神のところに向かった。末座の神が上座に行くことは本来あってはならないこと。けれども水面の神は気にも止めず、月の神に「夜神が好いていることは、知っておろう。なぜ、応えてやらぬのだ」と詰め寄った。月の神は、驚いたが他の神々は歓迎の雰囲気だった。けれどもそのことを知った夜神は、恥ずかしさのあまり泣き出し、水面の神に怒ったのだ。


 紗雪の話を聞いて、二人は口を同じく呟いた。


「みなも、そりゃあ、夜神は怒るよ」


 紗雪は笑いながら話を締めくくった。


「でも、結果は良かったのです。月の神は、夜神の気持ちに応えました。お互い好いていたのです。夜神はいまでは水面の神に感謝をしています。ただ、そのときを境に水面の神は神謀りには参上しなくなりましたので、夜神はその気持ちを伝えられていませんが」


 紗雪は実菜穂を見るとニッコリと笑った。


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