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神と人の御霊(8)

 陽向の言葉に紗雪は『さすがです』と言いたげな表情で二人を見た。


「そうです。死神は自分の力を高めようとしています。琴美という巫女を得ることで。なぜか?それは、死神が倒すべき相手が強大だからです。倒すべきというのは正しくないかな。うーん、倒したいかなあ」


 紗雪は急にのんびりした話し方になると、パァーっと明るい雰囲気を振りまいた。


「その相手を知っているのですか」

「もちろんです。ここで外を見ていればいろいろ分かります。ですが、これをお知らせするのは良い策ではありません。死神をしばらく自由にしておかないと、琴美は帰ることができません」

「帰れなくなるというのは?」

「事はこれから大きくなります。死神が相手にしようとするのは、神です。あら、私ったら・・・・・・」


 紗雪は思わず口を押さえると、可愛らしく笑って二人の胸元を見つめていた。


「実菜穂ちゃん、紗雪って結構、性格大胆だよね。いまのわざとだよ。それに私たちに言ってるような感じじゃないし」


 陽向が実菜穂に耳打ちすると、実菜穂も頷いた。紗雪は気を取り直して話しを続けた。


「死神の意図が太古神に知れ渡ると、死神は天津あまつはら、いわば神の世界に連れ戻されるでしょう。そうなれば、琴美との契りは果たせませんから、琴美も人の世界には戻れず、ユウナミの神のもとで眠りにつくことになります。もっとも、水面みなもの神は死神の考えていることを承知のうえで琴美の御霊を取り戻そうとしています。人のために……ほんとうに水面の神らしい……」


 紗雪は愛おしい思いを込めて言った。その表情に二人は見とれ、一瞬にして心惹かれてしまった。


「ですから、ここで事をお話して水面の神の思いの邪魔をするわけにはいかないのです。どうかお気を悪くなさらぬよう」


 紗雪は二人に深々と頭を下げた。実菜穂も陽向も、紗雪の態度に気後れしてしまい、ただただかしこまるだけであった。

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