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神と人の御霊(7)

 白新地しらあらたのちの空に白い雲がゆっくりと流れる。イワコが肩にとまっていた隼を飛び立たせた。隼は空高く舞い上がるとコノハたちが向かっていった方へと消えていった。


 実菜穂は、その素早く美しい隼の姿に見とれてホォーっと口を開けて眺めていた。


「紗雪、死神が巫女をとる理由はなんですか」


 陽向は氷の器を握ったまま顔をまっすぐ見据えた。紗雪は、軽く眼を閉じて一つ間を取ると陽向を見つめて答えた。


「先ほども言いましたが、巫女とは本来、神の意志を伝えるのが役目の人です。古来より神の声が聞こえぬ人へ神の意志、導きを伝えるために巫女は存在していました。ときには、巫女自身が神となることもありました。それは、お二人とも経験したのではありませんか」


「神霊同体!」


 実菜穂と陽向は一斉に思い当たる言葉を口にした。


「そう、神霊同体。これは、巫女が神となり人に言葉を伝え、あるいは神を実体化し人を助けるための重要な手段です。ただ、この神霊同体には思わぬ副産物がありました。それは、神が本来持っている力が人と御霊を一体にすることで何倍にも高まるのです。もちろん、神本来の力の高さにもよりますが、人との相性によっては、太古の神の力をも凌ぐことがあります。それゆえ、太古神のなかには神霊同体を危惧する神もいます。その一方、積極的に人に交わろうとする神もいました。もっとも、無理に神霊同体と成れば、神自身が消えてしまうことになりますが。ここまで言えば察しがつくことでしょう。死神は、巫女の素質をもつ琴美と巡り会いました。琴美が巫女になることを承知したとすれば、死神は神霊同体と成れる人を得たことになります。さあ、何か見えてきませんか」


 紗雪はクスリとまた笑った。その笑いは、先の見通しが立った余裕なのか、何か別の意図があるのか実菜穂には奥深く白い光が見えて背筋が凍るように感じた。けれども、紗雪は実菜穂にとって力強い味方にも思えた。


「死神は力を得ようとしている」


 陽向の言葉が静かに響いた。

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