表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/171

門を守る神(4)

 昼休みが終わり、午後の授業を告げるチャイムが鳴った。実菜穂も陽向も名残惜しがったが、授業に向かうことにした。そのとき、東門仙は二柱に目配せをした。それに気づいたみなもと火の神は、しばらく東門仙と話をしたいから残ると言うと、実菜穂は手提げ袋から黒糖饅頭を取り出してみなもに渡した。


「東門仙様、食べるかな。昼休みに食べようと思ってたけど、みんなで食べて」


 実菜穂と陽向は東門仙に手を振りその場を離れた。東門仙も笑顔で手を振って見送った。


 みなもは、実菜穂から渡された黒糖饅頭を東門仙と火の神に手渡した。

餡がずっしりと詰まった、手のひらに乗るくらいの食べ応えありそうな饅頭であった。実菜穂がこれをみんなで食べようと用意しているところを想像すると何となく可愛らしく、笑いがこみ上げてきた。


「実菜穂から気を利かせてもろうた。有り難く頂こう」


 みなもがそう言うと、東門仙と火の神も笑顔で応えた。


「出過ぎたことであるとは承知ですが、実菜穂殿、陽向殿。お二人とも光るものを持っている。水と火その心が二柱と繋がっているのが分かります。いずれ、神に近き人になると感じますが」


 東門仙は、そう言うと手にしていた饅頭を一口食した。その動作一つからも若き神ながら、どこか落ち着きのある雰囲気を持っていた。みなもと火の神も饅頭を食した。


「そう言われると、儂も正直嬉しく思う。陽向もそうであるが、儂は実菜穂からこの世界に留まるための時間を与えてもろた。それに儂にとっても唯一御霊を合わせられる人じゃ。陽向は近いうちに火の神の巫女となろう。実際もうその力もある。あとは火の神次第じゃ。じゃが、儂はといえば……迷うておる」


 みなもは火の神に目をやってから、東門仙に言った。東門仙は、みなもの気持ちを察してゆっくり頷いた。


「それにしても、ここに俺らを引き留めたのは、何か話があるのでは」


 火の神は、東門仙の目配せが気になり、みなもが聞くよりも先に聞いた。


「はい。お二人の前では話すことを思い止まりまして」


 東門仙はそう言うと、みなもと火の神に黒き瞳を向けて話した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ