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人を出迎える神(12)

 夏の道は、まさにこの世界に入る前の外の世界そのままであった。小道沿いに流れる小川が涼しげな音を響かせる。道の先の空には見事な入道雲が立ち広がっていた。

 先に進むと大きな木が小道の側に立っている。幹は大人でも五、六人で輪になるほどの太さがあり、歴史ある姿はさながら御神木といった感じである。その木を通り過ぎようとしたとき、イワコはただならぬ気配に警戒するよう三人に忠告した。


 イワコの言葉が終わるとそれを合図にするかのように、巨木はみるみる人のような生ける物に姿を変えていった。ウネウネと姿をくゆらせていくなか、やがて完成したその姿に三人は目を見張る。


 三人の目の前には、巨大な一つ目の巨人がその姿を現したのだ。神話にでも出てきそうな巨人は、足を踏みならし地響きをさせて、通り過ぎるのを遮っている。三人は驚いて、跳び上がった。


「ねぇえー。イワコちゃん。佐保里姫、夏の神はいないって言ったよね。なにあれえ~。夏の神様はほかにもいるの?」


 実菜穂は、イワコの手を引きながら後ずさりしていた。真奈美は、コノハをしっかりと背負いなおした。コノハは嬉しそうにはしゃいでいる。


「まるでキュクロプスね」


 陽向が構えながら守りに手を当てようとすると、巨人が暴れ出した。陽向は、実菜穂の前に入る。


「キュクロプスはギリシャの太古の神様でしょ。陽向ちゃんここ日本だよ。海外出張?」

「実菜穂ちゃん、そんな悠長なこと言わないで」


 実菜穂の陽向へのつっこみに真奈美がつっこむ。


イワコは、実菜穂に引かれながら仕方ないなという表情をしていた。陽向が再び守りに手をかざそうとしたとき、実菜穂の守りが一瞬輝き、一気に巨人に向けて龍の姿の青い光が突き抜けていった。


「うぁぁー」


 叫び声があがり、木の上から少年が落っこちてきた。半袖に短パン。昔の小学生のような格好。歳もイワコと同級生のような感じだった。ただ、顔つきはどことなく今風で髪型さえ整えれば、学校では女子から声をかけられそうである。


 巨人の姿は消え去り、御神木に見えた巨木は青々と葉を茂らせたケヤキの姿に変わっていた。


水闍喜みじゃきか。お前はこの人たちを誰か知っているのか?雪の神のお客だぞ。悪戯がひどいと言いつけるよ」


 イワコは水闍喜と呼ばれる少年の前に立ちはだかり腕組みをしていた。

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