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人を出迎える神(11)

  陽向が入口からの出来事を説明した。実菜穂と真奈美は頷きながら、陽向に佐保里姫から聞いたことを伝えた。


「陽向ちゃん、その子は死神だよ。神様の姿を隠していたみたい」

「そうかあ。何となくそんな感じはしたよ。可愛い女の子だったよ。手がすごく綺麗なのが印象に残ってる」


「手……?」


 実菜穂は、綺麗な手という言葉に思い当たる場面がふと頭に描かれた。


「陽向ちゃん、手って、指先とかかな。白くて指が細く柔らかい感じ」

「あー、そうそう。そんな感じ……実菜穂ちゃんどうして分かるの?」

「うん。ほら、真奈美さんと陽向ちゃんの家に遊びに行こうとした日に私、車にぶつかりそうになったでしょ」


 実菜穂の言葉を真奈美と陽向は頷いている。


「私が道路で車にぶつかりそうになる寸前に、誰かに引っ張られたの。そのとき目に入ったのが手だった。細くて、柔らかそうな指先。綺麗だなと私も思った。でも、あれは現実なのか幻だったのか分からなかったから忘れてたけど、もしかしたら」

「死神が実菜穂ちゃんを助けた!」


 真奈美と陽向が口をそろえて顔を見合わせると、実菜穂は頷いた。


「陽向ちゃんの話からだと絶対そうだよ。あのとき、私を助けたのは死神。そして、邪鬼からも助けてくれた。そうだとすれば、私たちが琴美ちゃんの御霊を取り戻そうとしているのを助けてくれている。いまならそう思える」


 実菜穂は深く考え込んでいた。真奈美は分からないという顔で実菜穂を見ている。


「みなさんは、死神を少し誤解しているようです」


 佐保里姫が、間をとりながら言葉を挟んだ。


「ここで少しお話ししたいと思いましたが、雪の神が先で待っておりますので、この場はお進みください。この先は夏の道です。ただ、夏の神と秋の神はいまはこの世界におりません。外は夏ですし、秋も近づいておりますから」


 佐保里姫は暖かい笑みで三人を送り出した。イワコが先頭を歩き、実菜穂、真奈美、陽向が続いた。コノハは、鼻歌まじりで真奈美に背負われている。


 春の小道は希望と元気を与えるように心に新しい風を吹かしてくれている。だが、それと同時に未知なる世界への不安と新たな疑問の芽も育んでいた。

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