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人を出迎える神(4)

 真奈美は、アイスを咥えたままその華をじっくりと眺めると、よく琴美にせがまれてシロツメクサで冠を作っていたことを懐かしく思った。


「その華好きなの?」


(……?)


 不意に聞こえた声に真奈美は振り向いた。目の前には白いノースリーブの服を着て、お団子結びの頭をした小学1、2年生くらいの女の子が立っている。小さな子ながら目が大きく可愛いというよりむしろ綺麗という言葉が浮かんできた。その子が不思議そうな顔をして真奈美を見つめる。


「うん。よくこの華で遊んだなって見ていたの。お姉ちゃんが、あなたくらいのときかな。この華が沢山咲いていたところなんてまるで夢の世界のようで綺麗だったな」


 真奈美は、女の子の雰囲気に琴美を重ねながら答えた。


「そうなんだ。じゃあ、お姉ちゃんにあげる」


 女の子はそう言ってシロツメクサを引き抜こうと手を伸ばした。


「やめよう」


 真奈美は女の子の手を素早くそして優しく受けて止めた。


「この華、こんな場所でも懸命に華を咲かせてる。このままにしてあげよう」


 真奈美は女の子に笑顔のままお願いをした。女の子も真奈美の笑顔に応えて手を止めると、その目は真奈美が食べているアイスに向けられた。


「それ、美味しいの?」


 女の子は興味深げに聞いた。真奈美はほとんど無くなって溶けかけているアイスを見ると、さすがにこれをあげるにはと思って苦笑いした。


「これはアイスキャンディーだけど、食べても大丈夫なの?」


 真奈美の言葉に女の子は「何でも食べるよ」と笑って頷いた。


「じゃあ、お華を助けてくれたからご馳走するね」


 真奈美は自分のアイスを一口で片づけると、女の子の手を握り売店へと向かった。

 

 クーラーボックスの中を楽しそうに眺める女の子は、イチゴ味の赤いアイスキャンディーに手を伸ばした。真奈美もついでだとばかりにチョコ味を手にしたそのとき、後ろに誰かがいるのを感じた。振り向いて目にしたのは、オカッパ頭の同じ服を着た女の子が立っている姿。見かけは同じ服でも目の前の子はお世辞にも可愛いとは言えず、体型もふくよかであった。歳も小学3、4年生と言うところだろうか。


 真奈美はその子を興味深く見入っていた。


「あなただけズルい!」


 女の子は、アイスを持っていた子を指さして言った。


「お姉ちゃん!」


 お団子頭の子がビックリした声を上げる。


「一緒に待つように言われたのに、離れちゃ駄目じゃない。それに、あなただけズルいぞ」


 オカッパの子は腕組みしてムゥーとした。


(この子たち、姉妹なのかな)


 真奈美は()()を何とも懐かしくそれでいて不思議な気持ちで眺めていた。


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