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絶望をしたときに期待されているもの(11)

 秋人が神社にやってきた。もともと塾の帰りに祭りの準備を手伝うつもりでいたのだが、実菜穂からのメッセージを受けたこともあり何かあったのかという顔で実菜穂を見ている。


 実菜穂は、今までの出来事とこれから実行することを説明した。


「事情はある程度は理解できたけど。大丈夫なのか?女の子3人で?」


 秋人は不安ありげな顔で実菜穂を見た。


「大丈夫、大丈夫。あの陽向ちゃんと真奈美さんだし。みなもからお守りも預かったし」


 実菜穂は腕組みをしながら自信満々に言い放った。正直なところは、事の大きさに不安も怖さもあるが、これくらいの勢いで言わなければ秋人は納得しないだろうなと思った。


「一緒に行ければいいのだろうけど、どうにも行けそうな雰囲気じゃないな。何か俺が手伝えることはないのか?」


 秋人らしい気を回した答えだった。秋人が口に手を当てている姿は、実菜穂を気遣うためにあれこれ思案するときの決まったスタイルとなっていた。みなもはこれを待っていたとばかりに笑みをこぼした。実菜穂の中から秋人に語りかけた。


『秋人、儂の声が聞こえておるであろう』

「……実菜穂、何か言った?」


 秋人は周りを見渡して何もないことを確認しながら実菜穂に聞いた。実菜穂は、笑みを浮かべて横に首を振った。


『秋人、聞こえておろう、お主の力なら実菜穂を通して直接声が聞こえておるはずじゃ。お主が言う水の神じゃ』

「水の神様?実菜穂から直接聞こえるのがそうなのか」


 秋人は、実菜穂を見ながらその奥にあるみなもの影を感じていた。 

うっすらとではあるが、実菜穂が水の神の姿をしているのが見えていた。

『秋人、お主の感はなかなか良い。素直なところもある。実菜穂が触れぬとも、儂の姿が少しは見えておろう』


 秋人はようやく自分が見聞きしていることが現実であることを受け入れて、頷いた。


「何となくだが、以前に見えた女の子……そのときよりもう少し成長した面影が見えます」


 秋人は感じるままを素直に口にした。


『その感じは間違ってはおらぬ。いずれ、儂の姿もはっきりと見えるようになろう。時がないから話にはいるが、実菜穂から事の成り行きは聞いたとおりじゃ。儂が動けぬゆえ、実菜穂が動く。お主が実菜穂を心配すること、儂は嬉しく思っておる』

(みなも、ちょっと……)


 その言葉に実菜穂は、思わず割って入った。秋人も実菜穂の驚く顔に照れた思いがこみ上げて目をそらせてしまった。


『大切に思う人がいること。それは何よりも己を強くする。実菜穂は、儂にとって大切な人。それゆえ、儂の代わりとなる守りを渡しておる。案ずるには及ばぬ』


 みんなもの言葉に秋人は頷いた。


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