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絶望をしたときに期待されているもの(4)

 教室に乾いた音が響く。生徒が一斉に注目する。

 

 陽向の手はまだ高く掲げられていた。


 真奈美は左頬を抑えて実菜穂を見つめた。実菜穂は頬をぶった手を机に置き、鋭い視線で真奈美を見た。


「『できるかなあ』って。『できるかなあ』じゃないでしょ。やるのよ。手段はある。ここで動かなければ、琴美ちゃんは二度と戻らないの。このときを逃したら、もう二度と会えないの。琴美ちゃんは震えて待ってるんだよ。それなのに、黙って見ているの?私はそんなの耐えられない。奪われたものは、取り戻してみせるの。私は……行くから」


 実菜穂は、真奈美に視線を落としたまま席を立つと教室を出た。みなもがすかさずその後を追った。


「まあ、実菜穂、落ち着け」

「落ち着いてるわよ。いま、バケツいっぱいのイチゴかき氷をイメージしてる。その横にはハワイアンブルーもある」


 実菜穂は心を落ち着かせようと、かき氷をイメージし、早歩きで自分の教室に戻ろうとした。みなもは、実菜穂の前に回り込み、おでこをツンとつついた。実菜穂は、キョトンとしておでこをさする。


「お主の気持ちはよう分かる。じゃが、気ばかり焦らせてもしょうがない。時は確かにないが、かといって準備をする時間はある。儂らが動けぬから、ちと根回しが必要でな。少し時がいる。焦ることはない。それに、お主もやることがあろう。しっかり、補講を終わらせてから事にあたらねば。しかし、お主もようやりおるな。あんな光景初めて見たぞ」


 みなもは、ニヤニヤして実菜穂を見た。


「やりすぎたと反省しています。生意気だったかな。分かったふうなこと言っちゃったし。真奈美さん、傷つけたかな」


 実菜穂は、ばつが悪そうに言った。


「お主の言葉、悪うはない。真奈美は良い方に道をとる。あとは陽向がうまく導いてくれる」


 みなもは、スッと気持ちが軽くなるような明るい笑顔で実菜穂を見ていた。


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