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絶望をしたときに期待されているもの(3)

 終業式を終え、生徒もまばらになった教室に実菜穂と陽向は、真奈美と話をしていた。実菜穂は真奈美の正面に座り、陽向は実菜穂の隣にいる。


「真奈美さん、今話したように、琴美ちゃんは、戻るか戻らないかの瀬戸際です。真奈美さん、私に言いましたよね。希望はあると。身体に異常がないのなら、原因が分かれば意識は回復すると。その原因が分かっているんです。手段はあります。行きましょう。琴美ちゃんを連れ戻すことができるのは、真奈美さんだけなんです」


 実菜穂は、真奈美に気後れすることなく詰め寄った。こういうときの実菜穂は一直線で陽向でも思わず息を飲むほどの気迫を持っていた。


「琴美がなぜそんなことに?信じられない。何もかも上手にやって、私をいつも置いてけぼりにして……優等生で周りの人とも仲良しで。私とは正反対なのになぜ?」


 真奈美は、うつむいて肩を振るわせた。


「琴美ちゃんは、真奈美さんを追い越してなんかいません。むしろ、ずっと後を追い続けていた。とても真奈美さんが好きだった。尊敬していた。ずっと一緒にいたかったの」

「私は、琴美を憎らしいとも思ったのよ。それなのに……それなのにいつも『お姉ちゃん、お姉ちゃん』ってついて回る。私、惨めに思えるときもあったのに……」


 真奈美は目を虚ろにしながら呟いた。実菜穂はそんな真奈美に言葉をかけ続けた。


「琴美ちゃんは真奈美さんを目指していたんです。尊敬する真奈美さんに教わることは、琴美さんにとっては喜びだったんです。だから、懸命に学んだ。真奈美さんに恥をかかせたくないから、嫌われたくないから一所懸命だったんです。私も、必死で教わった経験があります。その人に礼を伝えるため、一所懸命でした。だから、琴美ちゃんの気持ち分かるんです。琴美ちゃんを連れ戻せるのは真奈美さんだけなんです」


 実菜穂は真奈美の肩を揺さぶり説得する。しかし、そんな実菜穂の気迫とは裏腹に真奈美は自信喪失と自分への負の思いに心が折れ、生気のない顔で机を眺めていた。


「そんな……そんな私に何ができるの……いまさら私にできるかなあ……」


 真奈美の力ない言葉に、陽向は立ち上がり右手を高く掲げた。


 パァーーーーーーーーーーーーーーッン!


「あ~~~っ、やりおったの」


 みなもは、その光景を見て呟いた。  

 

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