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年上の妹(6)

真奈美が教室を出てからしばらくして、実菜穂が教室の入口でキョロキョロしているのが目に入った。秋人が軽く手を挙げると、実菜穂はそれに気づいて周りを気にしながら近づいてきた。


「どうした?」


 秋人は近づいてきた実菜穂に言った。


「いやあ。やっぱりここは空気が違うなあって。何だか身が引き締まるよね」

「あのな、バカにしてるだろ。それより今日は、泳ぎに行く日じゃなかったのか?俺も帰るとこだけど」


秋人が鞄の中身を整理しながら言うと、実菜穂はさっき真奈美がいた席に座り秋人に小声で話した。


「ちょと一つお願いがあって。もしかしたら、二年生の景山真奈美さんが秋人を訪ねてくるかもしれないけど、悪気はないから怒らないで話しだけ聞いてあげて欲しいんだけど」


 実菜穂が手を合わせてお願いをすると、秋人は思わずプッと吹き出した。


「景山真奈美さんね」

「そう」

「髪が肩まであって、制服を乱れなく着こなしてる二年生の特進クラスの人」

「そうそう、その人。……なんで知ってるの?」


 実菜穂は目を丸くして秋人を見た。


「来たから」

「いつ?」

「実菜穂が来る少し前に。いま座っている席に」


 秋人は実菜穂が座っている席を指さした。


「きーてたかーーーーー!」


 実菜穂は額に手を当てて思わず声を大にした。


 教室の生徒は実菜穂に注目をした。学校では話題の一人であり、特進クラスでもさっき話題になりかけた生徒がそこにいるのである。


「早いなあ。さすが真奈美さんだ」


 実菜穂は、少し考え込んで秋人を見ると頭を下げた。


「ごめんね。さっきも言ったけど、真奈美さん悪気はないから。何かきついこと言われなかった?」


 実菜穂は申し訳なさそうに言った。


「実菜穂が謝ることじゃないだろ。別に変なことは言ってないな。納得できることしか言わなかったよ。でも、どうして俺のところに来たのかな」

「それがね。私が秋人のこと話したんだよね。真奈美さんとこうして話が出来るのは、秋人のおかげだって。ちょうど去年の今頃に秋人が全く分かっていない私に数学を教えてくれたから、この場にいられて真奈美さんに出会えたんだって。だから秋人に感謝しているって」


 実菜穂が席を立つと、クラスの生徒が一斉に挨拶にきた。実菜穂は、来る人みんなに笑顔で丁寧に応えていた。実菜穂に手で挨拶をすると秋人は先に教室を出た。詩織はしばらく実菜穂の様子を眺めてていたが、実菜穂が気づいて会釈をすると軽く返して教室を後にした。


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