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秋の俳句(その3)

作者: まのやちお

『ウェブノベル 閉じて秋の 闇の近さよ』



 紙の本を読んでいる時は暗くなるとすぐに気づくのに。

 スマートフォンの場合は画面から顔を上げて初めて、周囲の暗さに驚くことがあります。

 あれは明るくても暗くても関係なく読めますから。


 読んでいる時よりも書いている時のほうが多いかもしれないですね。

 いつも書き物はスマートフォンなので。

 書き上げて少し疲れて顔を上げたら部屋は真っ暗。


 ──えっ、もう夜?


 ──あれ、そういえば今日お昼食べたっけ?


 そんなこともありました。






一匙(ひとさじ)の 葡萄ジュースに ()せし秋』



 皮をむいて、種を取り、スティック式のミキサーで綺麗な紫色のジュースにする。


 トロミ剤(介護コーナーで売られている、飲み物などにトロミをつける無味無臭の粉)は入れすぎないように気をつけて。


 スプーンですくって口元に持っていくと待ちかねていたように口が開く。


 飲み込んで、とたんに()せる。

 果物は特に()せやすい。


 果物を()めて他の飲み物にしようかと迷う。

 そんな気配を察したのか、慌てたように口を開けて、もっと欲しいと主張する。

 葡萄、大好きだもんね。


 ここしばらく、葡萄を買わずにいる。

 もうミキサーで潰したりしなくても良いのにね。





『グランドの子ら 朝霧を 蹴散(けち)らして』



 部活動の朝練(あされん)でしょうか。

 校庭を走るジャージの子達を見かけました。


 夏の頃には熱中症予防のため“運動禁止”の町内アナウンスが流れた日もありました。

 やっと、おもいっきり運動できる季節になったのでしょう。


 まだまだ不安なことが多い中。

 少しずつでもできる事が増えていくと良いですね。





『病院の 公衆電話や 秋夕焼(あきゆや)け』



 病院の公衆電話をさがす。

 財布の中の小銭をさがす。

 財布の中の電話番号のメモをさがす。


 どうして私はスマホの充電をしておかなかったのか。


 公衆電話のかけ方を思い出せ!


 視界が赤く(にじ)むのは救急車の赤色灯? 夏よりも早く沈む夕日の色?


 もたもたする自分を追いたてるように周囲はどんどん暗くなっていく……。


 ──忘れられません。




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