水色の飴玉
"何色だい"
お爺ちゃんが飴玉を指差して言う。
"水色だよ。"
僕は見せたあと、飴をなめて、
途中で飽きて
噛んで、飲み込んだ。
お爺ちゃんはその様子を
見るわけでもなく、
ただ、木を眺めていた。
僕の中で具現化された
お爺ちゃんの優しさは
今でも"オレ"を優しくさせる。
まだオレの息子は5歳で、
じいさんになるまで、
だいぶ時間があるが、
オレは息子の子供に、
水色の飴玉をあげたい。
たしかソーダ味だった。
子供時間が伸びやかなのが一番。
じいさんの考え方。
じいさんには、息子は会えなかった。
じいさんは、最期、
ばあさんに笑いかけ、
"ありがとうな"
と言い、翌朝亡くなった。
愛されることを
忘れてもいいけど、
じいさんがくれた飴玉は忘れない。
オレだって、いつかは老いるからな。
待っててくれろ。




