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厄介な友人からの面倒ごと

親愛なる友人、ロイス記者


グリーンベル新聞社の記者トミー・クライスだ。


元気に過ごしているだろうか。

君に手紙を書くのはホフマン男爵の件以来かな。

あの事件では大変お世話になったよ。

君の協力のおかげで我が社の売り上げも好調で、編集長の機嫌が頗る良いのさ。

今度改めて一杯奢るよ。


さて、君は『鮮血の魔女』事件に興味はあるだろうか。

そう、グラットン公爵家次女のドリス嬢が起こした一家惨殺事件のことだ。

夕食の席で起こった家族団欒の日常を塗り替える鮮血の惨状が、

純白だったドレスを返り血で真っ赤に染めたドリス嬢の姿が、

目撃した調査官によって表現された『鮮血の魔女』という言葉が、

魔女の悪しき様とともに噂となって城下にも広まっている。


あれから半月が経とうとしているが、ドリス嬢が公開処刑されるまでは

噂が下火になることはないだろう。

一部では減刑の嘆願も出ているようだが、極刑が覆ることはないだろうね。


しかし毎回思うのだが、綺麗な宝石やドレスで着飾っただけの者たちが

歪んだ笑みを浮かべながら魔女について語る様は胸糞が悪くなる。

人の欲望に塗れた好奇心というのは本当に醜いものだよ。

まあその好奇心というものが、我が新聞の売り上げに繋がるわけだが...。

おっと、話が逸れたね。


公爵家の令嬢といえば、権力も名声も金も持った雲の上の存在だ。

俺たち下々の者からすれば、首が痛くなるほど見上げる必要のある殿上人さ。

そのように望めば何でも手に入れることのできる存在が

何を考えてこのような凶行に及んだのか興味を抱かないかい?

少なくとも俺の読者たちは興味津々さ。


真実に対する君の探究心というものは実に素晴らしいと俺は思う。

この事件の真相を暴くために君の協力が是非とも欲しい。


君は悪意や嘘にまみれた噂から真実を救い出すために、

俺は新聞の売上と読者の好奇心を満たすために、

俺たちは手を組む必要があるとは思わないか?


詳細は後日連絡するので予定を開けておいて欲しい

では後ほど


君の友人 トミーより

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