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プロローグ ~泡沫の人生~
不定期更新です
……あなたは、いつも曇っていた。
どんなに嬉しそうに、どんなに楽しそうにしていても、瞳は常に曇っていた。
私はそれを見るたびに悲しくなって……そのたびに、あなたは私の頭を撫でてくれた。
だけど、そんなことがあっても、あなたは曇ったままだった。
ただ、何回かあなたの瞳が晴れたときがあった。
――あなたが、私を救うために死んだとき。
そのときだけはとても晴れやかで、何回も、何回も、必ず晴れた。
そして――ああ、今回も。
あなたは私に晴れた眼差しを向け、私は平衡感覚を失い、落ちていく。
次に目が覚めるときは、何を覚えているか。それは変わらず、前回とまったく同じだろう。
私が覚えてるのは、あなたへの恋慕と、あなたと私の間に生まれる時間の齟齬だけ。
今回生きた人生も忘れて、私は、過去に落ちる――