9話 第一回会議前半戦ー03
「まず、事件が起こった現場だが―――」
ようやく―――まさにようやくという表現がしっくりくる―――会議が始まった。
緒田が、会議用ボイスで、説明を続ける。
「これはみんな知っていると思うが、穂高ちゃんの自宅だ。」
少なくとも俺は、お前に言われるまでそんな事知らなかったけどな。
「自宅って、あの大きな?」
「そう、この町で知らない者はいないだろうあの麗しき【穂高屋敷】だ。」
確かに、この町に知らない人はいないだろうけど、
その麗しきとかいう形容詞は邪魔だな。
俺の隣りで、渚ちゃんがその可愛らしい右手を挙げる。
「はい。【穂高屋敷】って、町の外れにあるあの大きな家の事だよね?」
「ああそうだ、なんだなぎ?もしかして、事件の起こった場所知らなかったのか?」
「うんん、場所は知ってたけど、確認の為だよ。もしかしたら他にも、私が知らないだけで、【穂高屋敷】っていうのがあるのかもしれないし。」
「確認も何も、あんだけニュースで騒がれてたろ。」
「私、あんまりにゅーすとか見ないから。」
ニュースの発音がかわいい。
じゃなくて、ニュースを余り見ないのは、俺も同じだった。そんなに騒がれていたのか、あの事件。
「なに!?それは駄目だぞ、なぎ。ドラマばっかり見てないで、ちゃんとニュースも見ないと。」
「そうだね。」
「うん、分かればいい。今度から気をつけろよ。」
「分かった。」
何かノリがやたらと軽いな。
まぁ別に構わないけど。