3話 緒田の頼みー03
家に帰ろうとする俺を、緒田は全身の体重をかけて帰らせまいとする。
ずるずると引きずりながら、何とか玄関まで来たものの、ここからどうしよう。緒田は俺のズボンを離す様子がない。
このまま道路を引きずって帰ってやろうか、とも一瞬考えたが、それはさすがにかわいそうなので止めておく。
やれやれ、どうやって引き剥がそうかな。
だいたい、いきなり電話で呼び出したと思ったら、何だよこの人を舐めたような話は。
何だか切羽詰った声だったから慌てて来てやったのに。
警察が犯人って言ってるんだから、コイツが何と言おうと、穂高さんが犯人なのだろう。
友達を信じるべきなのかもしれないが、……………無理だろ。
「ええい、離せ。」
「離さない、お前が相談に乗ってくれるまでは。」
「相談って、……………じゃあ言えよ、結局俺に何をさせたいんだ?」
「真犯人探し。俺と一緒に。」
「帰る。」
ふたたびずるずると移動を開始する。
もうこんな奴、道路でも何処でも、引っ張って行ってやる。
靴を履く。
というか緒田の奴、本当に離さないな。ズボン弁償させるぞ。
「もういい加減離せよ。」
「嫌だ。俺とお前なら、きっと出来る。絶対出来る。」
「何が出来るんだよ。いる筈の無い真犯人探しなんて、俺は絶対やだからな。」
「居るかもしれないだろ?やる前から諦めるのは止めようぜ。」
言いながら、ぐいぐい引っ張る緒田、お前マジでズボン弁償させるぞ。
「諦めも時には肝心なんだよ。」
「諦めたらそこで終わりだ。」
さっきから、どこのスポーツマンなんだ、お前は。
「だって、警察が犯人は穂高ちゃんって言ってるんだぜ?警察の力を過小評価するなよ、お前。日本の警察は優秀なんだぞ。」
「分かってるよ。だから俺たちがやるんだ。」
「【だから】の使い方がおかしいぞ、緒田。警察に出来ないのなら、俺たちに出来る筈がない。」
「出来る。」
「出来る筈がない。お前はちょっと頭を冷やせ、国家権力に出来ないことが、何処の馬の骨とも知れない高校生二人に出来る分けが無い。」
「分かった、言い方を帰る。俺たちにしか出来ない。」
「漫画の読みすぎだ。カッコよく言えばされるとでも思ってるのか?」
「違う。警察はやろうとしてないから、俺たちがやるしかないんだ。」
「付き合ってられん。他の奴に当たれ。」
「俺の親友はお前だけだ。」
「知るか。」
もう何を言われても、俺は帰るつもりだった。
しかし、その時ちょうど家に帰って来た人物が、俺のその選択を捻じ曲げる事になった。